愛知県の南東部、国内最大規模の自動車輸出入の拠点として栄える豊橋市。東三河地方の中心都市でもあり約38万人が暮らすこの街に、睦(むつみ)自動車(愛知県豊橋市東脇2-15-1・伊藤友二社長)はある。
JR豊橋駅西口から豊橋港方向へクルマで10分ほど、飲食店や銀行が建ち並ぶ大通り沿いに本社を構える。シルバーと黒のモダンなデザインが目を引くオシャレな店舗だ。
国土交通省の指定工場として自社で車検、整備を行う本社工場では、新車・中古車の販売や各種保険の代理店業務を行うほか、鈑金修理の受付窓口も兼ねており、クルマのことを気軽に相談できる。
同社では、国家資格を持つ自動車検査員が1台1台丁寧にクルマをチェックし、ユーザーの使い方や要望などに合わせ、必要に応じて的確な提案をしてくれる。また、最近のクルマの整備に欠かすことのできない「故障診断機」を各種取り揃えていて、国産車から輸入車まで幅広い車種に対応し、いかなるクルマでも正確に故障の原因を特定できる環境を整えている。加えて、経験豊富な整備士が、オーディオやETCなどの部品の取付から、エンジンの載せ替えといった重整備まで、どんな依頼でも快く引き受けてくれるのが嬉しいトコロだ。
「牛川工場」で鈑金塗装を開始
睦自動車の始まりは1972年。父である先代社長から、家業の整備工場を引き継いだ伊藤社長の「クルマのことなら、どんなことでも対応できるようにしたい」という強い思いから、2002年に牛川工場を開設。鈑金塗装を開始する。その後、リサイクルパーツの取り扱いやロードサービスも行うようになり、着実に業務を拡大していった。
その牛川工場では、小さなキズやヘコミだけでなく、損傷の程度が激しいクルマの修理にも対応するため、最新のフレーム修正機や高性能な塗装ブースなどを導入している。また、作業を担当する社員の健康と、環境に配慮した「水性塗料」を使用しており、万全の態勢で修理に当っている。
さらに、作業工程の管理を行うシステムを使い、本社や牛川工場での作業工程の「見える化」を行うなど、品質向上や納期厳守のための様々な取り組みで顧客満足の向上を目指している。大手損害保険会社13社の指定修理工場に認定されていることに加え、修理をしたクルマに対しての「永久修理保証書」も発行してくれるので、大切な愛車の修理を安心して任せられる。
整備業界の未来のために
地元民から強い信頼を集める老舗工場が、その座に甘んじることなく、今も進化を続けているのは、ここまでの説明で分かっていただけたと思う。そんな睦自動車だが情熱を向けるのは、何も作業のみではない。業界の未来を見据え、人材採用や育成にも積極的なのだ。
自動ブレーキなどの先進技術が搭載された車両が急速に普及している昨今、これまでとはまったく違う修理や鈑金技術が求めらるようになった。従来のやり方では対応できなくなることが懸念される中、整備業界の人材不足は深刻化している。現場のスタッフたちは日々の業務に追われ、新しい技術を習得する時間や環境がない状態で、業界としても大きな問題として捉えている。
「整備業界で働く人たちの助けとなりたい。地域の若い人を育て、少しでも業界に貢献したい」
そんな思いを胸に秘める伊藤社長は、自社の社内報を活用し、事業内容や採用情報を積極的に社内外に発信するなど人材採用に尽力する。
また育成の面では、最高水準の環境で研修を行える豊川工場を計画中。“構想期間2年”のこの施設には、次世代自動車の修理にも対応できる最新鋭の設備が整う。ここを、自社の新人研修や技術習得の場として活用するのだという。
「自動車の整備や鈑金なんかに興味があったら、経験に関わらず、ぜひウチの門を叩いて欲しいです」と力強い口調で話す伊藤社長。言葉だけでなく、様々な工夫を凝らし、その思いを現実のものとしている実行力は感服の一言だ。
「かかりつけの主治医」のような存在
取材の終わりに、「メーカーを問わずあらゆるクルマに対応し、しっかり診断できるのがディーラーにない整備事業者の強みなのではないでしょうか。私たちは、ガソリン以外の全てを提供するのが本来の姿で、“かかりつけの主治医”のような存在だと思います。自社のスタンスを守り、自信を持ってお客さまと向き合うことが大切なのだと考えています」と思いを語った伊藤社長。
2017年に創業45周年を迎えた睦自動車は、総勢40名のスタッフが在籍。東三河地方の全域をカバーする老舗店として高い信頼を集め、自社のモットーとして掲げる『トータルオートサービス』を実現している。地元のお客さまに最高品質のサービスを提供するとともに、整備業界を盛り上げる強い心意気は今後も揺らぐことはない。
<店舗情報>
睦自動車 mutsumiauto.com
〒441-8083 愛知県豊橋市東脇2-15-1
0532-31-7465
営業時間:平日8:30~17:30