自動車修理のプロフェッショナルとして様々なメディアに取り上げられてきた株式会社イチムラボディーショップ(山梨県南アルプス市)の市村智代表取締役が、夢メッセみやぎ(宮城県仙台市)で2023年9月22~23日の2日間にわたって開催された自動車アフターマーケットの展示会「オートアフターマーケット東北 2023」の最終日にセミナー講師として登壇した。
「本物の修理、本物のサービスを提供したい」という考えのもと日々精進し、2013年には鈑金・塗装・見積りの日本一を競うBPグランプリの見積り部門で優勝(鈑金部門でも同社のスタッフが優勝)という経歴を持つ市村氏は、「これからの車体整備事業のありかた~クルマの進化とルールの変化に対応した自動車修理の高度化~」というテーマで45分間のセミナーを行った。
市村氏はセミナーの中で“安全・安心(※安心・安全ではない)”という医療業界や食品業界でも使われる言葉を用いて車体整備業のあるべき姿を説いた。市村氏はあくまでも自分が一番腑に落ちた解釈として、安全とは“不完全ではないということを科学的に立証すること”であり、安心とは“その事実を知り感じる安堵感”だと説明した。そのうえで市村氏は「お客様に安全であることの根拠を示すことのできない状態で仕事をすることがどうしても嫌で、投資に対し恐怖感が非常に大きかったが意を決して設備の整った新工場を建てました。お客様の命を守ることが我々の仕事の一丁目一番地である。人の命を守る素晴らしい仕事だからこそ、いい加減なことはできない」と、国内外から取材や見学の依頼が絶えない最新設備とこだわりの詰まった現在の工場建設への想いを語った。
特定整備認証によって安全性能に対する整備責任が問われる時代において、ますます高度化する自動車の修理に対応するためには、従来の勘や経験に頼った修理では不十分であり、お客様に“安全・安心”を提供するためには、安全であることの根拠を示せる設備が必要となる。市村氏は「クルマは人の命を乗せて走るものであり、人の命を奪いかねないものでもあります。“設備投資の資金が”とか“人手不足で”などといった自社都合で安全性を蔑ろにしてはいけない」と、これからの車体整備業のあり方について厳しいメッセージを投げかけた。
なお市村氏は、2023年11月11~12日に福岡県福岡市のマリンメッセ福岡で開催される「オートアフターマーケット九州」においても、同様のテーマでセミナーを行う予定(12日、14:30~)だ。