モンゴル「トヨタ」正規ディーラー内製BPを3年で黒字化! ビーライト小野代表が“BP技術力の底上げ”に邁進 | CAR CARE PLUS

モンゴル「トヨタ」正規ディーラー内製BPを3年で黒字化! ビーライト小野代表が“BP技術力の底上げ”に邁進

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モンゴル「トヨタ」正規ディーラー内製BPを3年で黒字化! ビーライト小野代表が“BP技術力の底上げ”に邁進
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モンゴルの首都ウランバートルでは、マイナス30度を超える極寒かつ悪路でも走る燃費が良いクルマとして以前から日本の中古車が人気で、特にトヨタのハイブリッド車のニーズが高く旧型プリウスが溢れ、富裕層はSUVのランドクルーザーを選ぶ傾向があるようだ。

日本だと価値が低い10万キロ超えの過走行車が、モンゴル市内では “まだまだ乗れる魅力的な中古車”として販売されており修理需要も高いのだが、工具や設備、塗料、副資材などを扱うサプライヤーがモンゴルにはなく、海外から輸入しようにも高額すぎて手が出せない状況があるようだ。このため現地のメカニックたちはホームセンターなどで購入した金槌などで作業をするのが一般的で、“修復歴が目で見てわかる仕上がりがスタンダード”になっているという。

そういった背景がある中で、ジーライオングループのライガーホールディングインターナショナルが50%、元横綱の白鵬関のお姉さんが50%出資で展開する、モンゴルのトヨタ正規ディーラー「トヨタ ムンフハダ(TOYOTA Munkhada )」には、“ジャパンクオリティ”の修理技術力を強みとする内製BPセンターがあり、高品質な修理を希望する現地のカーオーナーから注目を集めている。

内製BPセンターは莫大な設備投資を行って2016年に新設され、投資額を5~10年でペイする計画だった中、なんと3年で黒字化を達成。現在、首都ウランバートルにある全BPセンターの中で、顧客評価ナンバーワンの修理品質を実現しているという。

内製BPセンター「黒字化」の舞台裏

トヨタ ムンフハダの内製BPセンターが、高品質な修理を実現できた舞台裏には、鈑金塗装の匠として知る人ぞ知る、小野隆二氏の存在がある。

小野氏は、アストンマーティン車のボディに関する全ての修理が可能な工場に与えられる「アストンマーティン・ボディリペア・センター・カテゴリーA」認定を2004年に日本で初めて取得した、大阪府箕面市の自動車整備工場「B-RIGHT(ビーライト)」の代表取締役であり、小野氏が内製BPセンターの立ち上げと総合的なコンサルティングを行ったからこそ、3年で黒字化達成という成果につながっている。

複数メーカーの「認定工場」資格を取得

小野氏は、常に最先端の鈑金塗装技術を追求し続けている根っからの職人。13歳から車体整備に携わり、10年後の1981年に23歳で自社ビーライトを起業。50年以上にわたって鈑金塗装の技術研鑽に注力している。

小野氏は、アストンマーティンだけでなく、ジャガー、ランドローバー、TESLA、ランボルギーニといった各メーカー認定修理工場の資格を取得しており、2011年には英国でカーボン修復トレーニングを受けてCFRP修復認定資格も取得。さらに2018年には、東京工業大学で40時間のトレーニングを受け、欧州最大の接着接合技術分野における研究機関・フランフォーファIFAMによる国内唯一の認定資格も取得している。常に最先端の修理技術を追い求め習得し続ける、日本随一の鈑金塗装職人と言っても過言ではないだろう。

独自の『鈑金塗装カリキュラム』を策定

小野氏は、トヨタ ムンフハダからの依頼で内製BPセンター立ち上げと総合コンサルを引き受ける中で、工場設計や導入設備の選定に加え、独自の『鈑金塗装カリキュラム』を策定。BP作業の工程を細かく分類し、効率化しながらレベルアップしていくメカニックたちの育成制度も作り上げた。高品質な修理に見合う修理見積書作成のアドバイスも行うなど、高級志向のブランディング戦略を打ち立てた。初期ごろはトヨタ ムンフハダ経営陣から反対の声もあったようだが、小野氏は自身の考えを徹底的に貫いた。

内製BPセンターの建設期間中は、モンゴルの中堅メカニックを大阪府箕面市の自社ビーライトに招いて、二ヶ月間の技術トレーニングに注力。開設後の2017年からは年4回、小野氏がモンゴルに赴いて現地メカニックたちへの技術トレーニングを現在も継続している。

小野氏は現地メカニックたちから“先生”と呼ばれ、内製BPセンターの技術力をアピールするCM動画にも登場。小野氏は「事故が起こった車両だとわからないように仕上げるのが基本の修理です」と日本語でコメントしている。

日本の鈑金塗装の技術力を底上げしたい

トヨタ ムンフハダの内製BPセンター立ち上げで成果を挙げた小野氏は、ミャンマーのトヨタ正規ディーラーからも同様の依頼があり、内製BPセンターのトータルプロデュースを行っている。さらに上海アストンマーティンやベントレー、TESLAの内製BPセンター立ち上げやコンサルティングの相談もあるという。

海外事業に携わる機会が増えている小野氏だが、日本の鈑金塗装業界の技術力が年々低下し続けていることを、数年前から強く問題視している。

「日本の鈑金塗装の現場では、効率や利益ばかりが追求され、部品交換が当たり前。交換ばかりで部品代のコストがかさみ、肝心な技術料は残らず技術を教える環境もない。効率化や仕上がり品質の統一化は確かに重要だが、日本の鈑金塗装の技術力はドンドン低下している。修理をできる “エンジニア” がおらず、部品交換しかできない “チェンジニア” ばかりで、それでは技術者と呼べない」と率直な思いを語ってくれた。

今後、最も注力したいことを尋ねたら「日本の鈑金塗装の技術力の底上げにつながる活動をしたい」と即答。独自の鈑金塗装カリキュラムをベースとした、小野氏による技術トレーニングを受けられるアカデミー事業を日本で注力したいと話す。

小野氏は、すでに動き出している。昨年2023年9月に、全国の自動車アフターマーケット事業者に向けて新規ビジネスや地域連携促進につながる情報提供などを行っている「ARCネットワークサービス(ARC)」利用者を対象とした特別研修の講師として登壇。『最新の車体整備動向』をテーマにしたセミナーと、最新設備が揃う自社ビーライトの工場視察も行われた。

この研修に参加した事業者たちは、小野氏の講演に感銘を受け、貴重な情報収集・情報交換の場になったとの声があり、ARC利用者が自由に視聴できる研修アーカイブ動画の再生回数も伸びている。小野氏によるコンサルティングや個別の技術トレーニングを希望する事業者についてはARC事務局(03-5422-9446)が窓口となり受付ている。日本の鈑金塗装の技術力向上のために邁進する小野氏の今後の活動に目が離せない。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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