好きなクルマに「後付け改造」して福祉車両に…“人生を前向きにする車”を提案 岐阜県・坪井自動車鈑金 おくるま専科 | CAR CARE PLUS

好きなクルマに「後付け改造」して福祉車両に…“人生を前向きにする車”を提案 岐阜県・坪井自動車鈑金 おくるま専科

特集記事 コラム
好きなクルマに「後付け改造」して福祉車両に…“人生を前向きにする車”を提案する岐阜県・坪井自動車鈑金 おくるま専科
  • 好きなクルマに「後付け改造」して福祉車両に…“人生を前向きにする車”を提案する岐阜県・坪井自動車鈑金 おくるま専科
  • 「電動補助ステップ」
  • 「アクセルリング&ブレーキレバー」
  • 「電動回転昇降シート」
  • 岐阜県大垣市の坪井自動車鈑金 おくるま専科
  • 「一般社団法人 日本福祉車輌協会」Webサイト
  • 「株式会社オフィス清水」Webサイト
  • 坪井自動車鈑金 坪井英倖代表取締役社長

足腰が弱く不安や痛みがあったり、歩行が難しいなどの理由で、日常的に車椅子を利用するユーザーの移動時に活躍する「福祉車両」は、今後ますます高齢化が進む日本社会で重要な役割りを担うクルマといえるだろう。

福祉車両は、大きく分けて、介護や送迎時に利用する「介護式車両」と、車椅子ユーザー自らが運転できるように補助装置を取り付けた「自操式車両」がある。

自動車メーカー各社が製造販売する福祉車両のラインアップから選ぶのが一般的だが、実はもうひとつ選択肢がある。好きなクルマや長年乗り続けている愛車に補助装置を後付けして福祉車両に改造する方法だ。

マイカーへの後付けで福祉車両化!

福祉車両改造の事例として、岐阜県大垣市の坪井自動車鈑金 おくるま専科(安井町3丁目5番地/坪井英倖代表取締役社長)の取り組みを紹介したい。

同社は“人生を前向きにする車”をモットーに、身体が不自由なユーザーの困りごとをサポートすべく、必要な部分だけを改造する『プチカスタムde福祉車両』サービスに注力している。

ドアの開閉に合わせて、電動でステップが出てくる「電動補助ステップ」は、膝の痛みで足をあまり上げられず、乗り降りに苦労しているユーザーに最適。LED照明が標準装備されているため、夜間でも安心して利用できる。

足でアクセルやブレーキを操作できないユーザーには、両手でハンドルに触れながら、アクセルとブレーキ操作を可能にする手動運転装置「アクセルリング&ブレーキレバー」を提案している。

電動でシートが回転し、楽に乗り降りができる「電動回転昇降シート」は、車椅子座面の高さまでシートを下降させることもできる。

ここで紹介したものはごく一部で、多数の後付け改造装置を提案。自社サイトでは詳細な説明や改造の参考価格も記載されている。

坪井自動車鈑金は、大垣市で老舗の自動車整備・修理工場

坪井自動車鈑金は、地元・岐阜県大垣市で老舗の自動車整備・修理工場として知られる存在で、今年で創業64年を迎える。

2018年に国際的な第三者認証機関であるテュフラインランドジャパンの厳しい監査をクリアし、岐阜県で初めて「プラチナ認証」を取得。2020年にはBMW Japanの独自基準による監査を受けて「BMW認定鈑金塗装工場」となった。

鈑金塗装だけでなく、車検や車両販売、ロードサービス、自動車保険など幅広く展開。現在普及が進むASV(先進安全自動車)の修理や整備を行える設備や技術、専門知識も豊富だ。このほか自社の古宮工場では、薄板加工やエレベーター制作といった鉄工事業も行っている。

一般社団法人 日本福祉車輌協会に加盟

坪井自動車鈑金が、本格的に福祉車両事業に取り組み始めたのは2017年からで、前年の2016年に一般社団法人 日本福祉車輌協会に加盟。「普通乗用車とは異なる福祉車両の整備・修理に携わる鈑金塗装事業者として、いい加減ではなく、きちんと福祉車両の修理・整備技術を習得すべきだと考えました」と坪井社長は思いを語る。

オフィス清水にたどり着く

坪井社長は、日本福祉車輌協会の研修や講習を受けて専門知識を身につけ、福祉車両取扱士と福祉車両インストラクターの資格を取得。自動車メーカーが製造した福祉車両の修理・整備実績が増えてきた頃、車椅子ユーザーからマイカーを福祉車両に改造したいと相談を受け、その方法を探す中で、株式会社オフィス清水(東京都荒川区/清水 深代表取締役)の存在を知る。

オフィス清水は、福祉先進国であるヨーロッパ社製の改造装置を輸入して福祉車両改造を行っている企業で、2017年には株式会社ヤナセオートシステムズが行う福祉車両事業の業務協力に合意している。坪井社長は、オフィス清水の清水社長の考えや取り組みに深い感銘を受け、2018年から同社の認定取扱店として、福祉車両の改造を開始するようになったという。

坪井社長は「後付けの改造装置をマイカーに取り付ければ、それで終わりと思われがちですが、そうではありません。握力や筋力など、ユーザーそれぞれでまったく異なるため、ユーザーの体調の変化に合わせて、その都度、調整し続ける必要があるのです」と話し、その言葉に真摯な思いを感じた。福祉車両が必要になったとき、好きな車種やマイカーを福祉車両にカスタマイズする選択肢があることを覚えておいて損はないだろう。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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