全4回に分けて連載してきた、BMW木場サービス・センターの潜入レポートもいよいよ最終回を迎える。今回は、1Fの整備専用フロアからお客さま受付・待合スペースと、巨大な部品庫を紹介! まだまだ盛り沢山の内容をぎゅぎゅっとまとめて報告したい。◆ただ広いだけではない!長い時間をかけて1Fまで降りてきた取材陣は、最も多くの入庫車両を捌く、整備専用フロアの扉を開いた。その広さには慣れてきたものの、全てのフロアが専用化されているせいなのか、各階によって印象が違うのが面白い。1Fフロアで目を奪われたのは、作業用リフトの支柱の部分。一見、地味なポイントのように思えるが、この支柱こそがフロア全体をすっきりとした印象にしている。「二柱」と呼ばれる、文字通り2本の支柱で支えるタイプのリフトが使用されているのだが、通常の整備工場で見かけるのは、この支柱部分が出っぱなしの状態のもの。こちらのフロアでは、柱が床に埋め込まれているので、使用する時にその高さ分だけ柱がにょっきり顔を出す作りになっているのだ。見た目もすっきりだが、大事なのは車両の出し入れが安全で楽なこと。通常、二柱リフトは支柱が邪魔になり、出し入れにはそれなりの手間がかかる。設置する時も、フラットタイプという支柱を使用しないタイプのリフトと比べると広いスペースが必要になるが、二柱リフトのメリットは、フラットタイプと比べ対応できる作業内容に制限がないことだ。1Fフロアではその広さを活かして、8台もの二柱リフトを完備していて、作業内容に対してリフトのやり繰りをする必要がなく効率的な作りとなっている。月300台の車検と、少なくとも200~300台の一般整備を請け負う1Fフロアは、効率やスピードが求められる。それをスムーズに実現するために、効果的で最良な設備投資が行われていることがわかった。また、車検の検査ラインや洗車場、コントロールルームがコンパクトにまとめられていて、とても機能的な作りとなっている。必要な設備は全て揃っていて、作業にあたるスタッフも効率的な仕事をしていることが容易に想像できた。◆徹底した品質管理どのフロアでも共通して感じたのが、とにかく明るく清潔なことだ。真っ白い壁や床は汚すことをためらう。取材をしている間、どこにいても床に工具が転がっていることもなく、それこそボルトの1本も落ちてはいなかった。さながらF1のファクトリーや航空機の整備場を想像させる徹底した品質管理は、ユーザーを安心させる。◆部品在庫が豊富すぎる個人的に、どうしても紹介したいのが部品庫。工場棟の1、2F部分に設けられた2階建て構造の部屋で、足を踏み入れた瞬間にその部品の量に圧倒された。最近の流行りとしては、極力部品在庫を持たないで、必要な物を必要になった時に仕入れるのが常識だと思っていたので、衝撃的な眺めだった。主に、2階部分にバンパーやガラスなどの大物、1階部分には消耗品が在庫されている。「常時、8,000万円分ほどの部品を在庫しています」と大崎さんの説明を受けた取材陣。誰もがその金額に腰を抜かした。そのぐらいの量の部品を在庫していないと、月1,000台の入庫には対応しきれないのだという。輸入車といえば、修理に出しても部品がなかなか揃わないイメージだったので、この体制には本当に驚かされた。作業の効率もあるのだろうが、ユーザーとしても愛車を預ける時間が短いのはありがたいことだと思う。◆ゆったりとした時間が流れる待合いスペースと受付最後になるが、同サービスセンターの顔である、1Fワークショップ部分について紹介する。車両展示用のショールームはないが、一般のお客さま向けの整備受付と、待合いスペースが用意されている。ガラス張りの作りなので、差し込む光と真っ白い壁と床で明るいショップ内。受付も待合いスペースも1席ごとに、広々とゆったりとした空間が確保されていて、待ち時間も苦にならないように配慮されている。この何気ない気遣いがBMWというべきだろう。◆取材を終えて取材中は、その広さと高性能な最新設備に終始圧倒されるばかりだった。その後、お聞きした話や撮影した写真を整理し、冷静に考えをまとめてわかったことがある。それは、BMWユーザーの愛車を本当の意味で丁重に扱い、最高の状態で安全に乗車してもらうための工夫が随所に散りばめられていたことだ。今回の取材を通して、BMWというブランドの顧客サービスに関する考え方が理解できたような気がした。同センターは、たくさんの鈑金や整備を請け負う中で、BMWファンをさらに増やしていく存在になっていくだろう。
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