全4回のシリーズでお伝えしているBMW木場サービス・センターの現場レポート。3回目となる今回は、国内で唯一のカーボン・フレーム、アルミ・ボディ修理に対応した鈑金専用フロアと、駐車棟について報告する。◆2F鈑金専用フロアへ!3Fの塗装フロアの見学を終え、興奮冷めやらぬままエレベーターで2Fに案内された取材陣。新たな驚きを求めてフロアに足を踏み入れた。2Fは鈑金作業専用のフロアが広がり、中には「スパベイ」と呼ばれる完成車両の洗車やコーティングを行うスペースも設けられている。また、スパベイの隣には在庫部品の保管スペースもとられていて、機能的な作りだ。部品については、ここ以外に広大な部品庫も用意されている。そちらの詳細については次回お伝えする予定なので、お待ちいただきたい。◆最新鋭の設備で整備2Fフロアで真っ先に目を奪われたのが、大型のフレーム修正機。全長5メートルほどの機械には「MAX4,200kg」の文字があり、大型やロングボディの車両の作業にも対応していることが読み取れた。強度の高い、最新のフレームの歪みの修正にも対応しているという。また、その横には見たことのない大きさのスポット溶接機が置かれていた。「最近のクルマはボディの剛性がどんどん高くなっているので、少し前の機械では溶接しきれないんです」と説明してくれた原さん。日々、進化し続けるクルマに対して、遅れることなく対応する姿は愛車を預けるユーザーを安心させてくれる。◆国内最高の設備と技術さらに、最新のカーボン修理に対応した専用工具についても説明を受けた。カーボンは軽くて高剛性のため、i3やi8といった重たい電池を積む電気自動車や、今後の新型車にも順次採用されていく最先端の強化樹脂だ。それだけ硬いので、ダイヤモンド素材の工具を使用して切削や研磨などを行う。カーボンやアルミの削りカスに対応した集塵機が複数台あり、可動式の溶接煙吸引器も完備していて、働くスタッフの健康にも徹底的に気遣った設備となっている。また、設備だけでなく、カーボンを取り扱うには高い技術も必要になる。BMWの指定するトレーニングを修了し、認定を受けていないと整備することができない。同センターでは認定を受ける3名が在籍し作業に当たっていて、全ての面において、最高峰のレベルで対応する態勢を整えている。◆ゆったりとしたスパベイでクルマもスッキリLED照明と白い壁で明るく清潔な同センターだが、その中でもひときわ目立つのがスパベイのあるスペース。「スパ」は私たちがリフレッシュするために行く、あの温浴施設に由来する。1Fにも洗車スペースはあるが、こちらは洗車場とはいえ汚れを落とすというよりは仕上げをする場所になる。完成車両の洗車はもちろん、引き渡し前の商品車や修理車両のボディコーティングの施工もしている。実は、スパベイの壁に使われているタイルにも一工夫がある。他の作業ベイとは違い、敢えて光が反射しないタイルを使用していて、ボディへの映りこみを抑えている。こうすることで、汚れが目立つようにして、作業の見落としがないようにするためだ。スパベイで作業されているクルマはピカピカに磨かれ、まるで湯上がりの素肌のよう。スッキリとリフレッシュした印象を受け、このスペースをスパベイと呼ぶ理由がよく理解できた瞬間だった。クルマ好きであれば、愛車のこの姿には思わず目を細めてしまうかもしれない。◆巨大駐車棟から読み取れる思い工場棟の設備に圧倒されるばかりだが、併設する駐車棟についても紹介したい。3階建の工場棟の屋上部分とほぼ同じ高さの立体駐車場で、300台ものクルマを収容できる。東京23区でこの台数を確保していることにも驚きだが、工場棟の各フロアとスロープで行き来できる作りに感心した。ナンバーの付いていない車両の移動が容易なことに加え、公道に出る必要がなくなるので事故に遭うリスクがほとんどない。木場サービス・センター全体の大きな特徴のひとつが、クルマを移動させる時の動線の確保がよくできていることだと思う。不用意な事故を極力避けるという、お客さまのクルマを大切に取り扱う姿勢に好感が持てた。また、この駐車棟には至る所にEVやPHV用の普通充電器が設置されていて、車社会の今後を見据えた作りに強いこだわりを感じた。今回は2Fフロアを中心に報告をしてきた。アルミやカーボンに対応した最新設備に目がいってしまいがちだったが、基本的な考え方や建物の作りに共感する部分が多かった。次回で最終回となるが、余すことなくその魅力を伝えたい。
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