国産車の場合、多くはハブ側からスタッドボルトが伸びていて、そこにホイールを取り付け、ナットで取れないように締め付けている。
このホイールナットにもチューニングやカスタマイズがある。また、この締め付け具合が重要。締め足りなければホイールが外れてしまうし、逆に締め過ぎもホイールが外れる原因になってしまう。そして、そのパーツも1種類ではない。実は多くの種類があり、合致したものを使わなければならない。さらにホイールナットだけでなく、ホイールのセンター部であるハブがきっちり噛み合うことも重要なのだ。
◆自動車メーカーによってホイールナットの形状が違うので要注意!
純正ホイールは多くの場合専用のホイールナットでクルマに取り付けられている。このナットも車種やメーカーによっても異なる。多いのはナットとホイールが接合する部分が60°のテーパー角になっているもの。テーパー角によって均一に締めていくとホイールが中心に来るようになっている。
だが、トヨタ車に多い平座ナットタイプだとテーパー角のないナットが使われる。このタイプだとホイール側もテーパー角になっていないので注意が必要。平座ナットのクルマに他のテーパー角タイプのホイールを取り付けるならテーパー角のついたナットが必要になる。
逆にもともとテーパー角のある車種に、平座タイプの純正ホイールを流用する場合はナットも平座タイプ専用品を使わなければならない。ホイールとナットはセットで考えなければならないのだ。
さらに独自の規格を使っているホイールもある。ポルシェによく使われるタイプだと、このテーパー部分が球面になっている。純正ホイールもナットも球面になっているので、セットで使わなければきちんと取り付けることができないのだ。
◆超重要なホイールナットのトルク管理!
そして、気をつけたいのが締め付けるトルク管理。緩ければナットが取れてしまうのは当然だが、締め過ぎればボルトが折れてこれもホイールが取れてしまう原因になる。
車種によって変わってくるのだが、概ね70~120Nmくらいで締めるように指定されていて、締め過ぎとトルク不足を防止するためにトルクレンチが使われる。トルクレンチは適正な力で締め付けているかを確認できる装置。
だが、同時に気をつけたいのがボルトの潤滑だ。国産車の多くの場合はボルトにグリスを塗るのは厳禁とされている。しかし、ホイールを取り付けたり外したりを繰り返すレースやタイムアタックの世界ではグリスを塗るのが一般的。スタッドボルトが度重なる締めたり緩めたりで摩耗することを防ぐ狙いだ。
年間に何度も外すことはある人は摩耗を防げるし、降雪地帯で融雪剤でボルト・ナットが錆びやすい場合なども潤滑することで固着を防ぐのには有効。塗るならはほんのわずかにボルトのネジ部に塗ればOK。
怖いのはグリスを塗りすぎてナットのテーパー部を潤滑してしまうこと。こうなるとホイールとナットのそれぞれのテーパー部がこすれることによって発生している摩擦が減ってしまう。そうなると適正トルクでナットを締めても、ボルト側をとんでもない力で引っ張ってしまい、ボルトが折れるトラブルが起きてしまいやすい。
◆必ず気をつけたい社外ホイールを履くときのチェックポイント
ほかに気をつけたいのがアフターパーツのホイールを使う際のハブでの嵌合だ。純正ホイールはほとんどの場合、ホイールの中心がハブ側とがっちり噛み合っている。こうすることでホイールは常に中心に取り付けることができるので、ステアリングがブレたりすることが起きない。また、荷重をボルトだけでなく、このセンター部で受けることができるので、ボルトに対する負担を減らすこともできる。
このハブの大きさがクルマによって異なるので、アフターパーツのホイールではかなりハブ径を大きめに作ってある。そこでクルマ側とピッタリなサイズになるようにハブリングを装着して、ホイールを取り付けるのがただしいのだが、ついハブ径が合わずガタガタなままホイールを取り付けている場合が多い。
それでもホイールは取り付けられてしまうわけだが、本来の性能を引き出せるかといえばNOである。せっかくの軽量高剛性なホイールの性能を活かそうと思うならハブリング装着によるハブの支持をきっちり使ってホイールを取り付けるように心がけたい。