国土交通省は、今冬の立ち往生の発生を抑止するため、大雪時の大型車立ち往生防止対策を実施する(11月29日発表)。
冬用タイヤの装着やチェーンの携行・装着の徹底や、運送事業者に対する輸送安全を確保するために必要な措置の実施を求め、運輸局による指導・監査を強化する。荷主対策も実施し、大雪時の立ち往生防止を図る。
トラック・バス運送事業者には、年末年始の輸送等に関する安全総点検実施項目「大雪に対する輸送の安全確保の実施状況」について、重点的に確認するよう要請する。また、運送事業者に、大雪時等輸送の安全確保に支障を生ずるおそれがある際、運行中止の指示や、冬用タイヤの溝の深さ、滑り止めの措置の確認など、輸送の安全を確保するために必要な措置を求める。
雪道で、悪質な立ち往生事例が発生した場合は、監査で事実関係を確認した上で、対策が不十分と判断された場合、行政処分の対象となる。
また、荷主にも、大雪などの異常気象による突発的な事象で、運送経路の変更、運送中止となり、その原因の事象がやむを得ないと認められる場合、運送経路の変更を認めるよう求めていく。
さらに、大雪などの異常気象で、運送に支障がでることが予想される場合、配送拠点に留置する在庫積み増し、予定されていた配送時間の前倒し、運送可能域内での物資を融通するなどで、トラック事業者への不要不急の運送依頼を控えることも求めていく。
以下、積雪・凍結路での走行について、国交省の資料から抜粋。適切な冬用タイヤを装着するとともに、チェーンの携行・早めの装着を心掛けること。
●冬用タイヤ
オールシーズンタイヤは、ちらつく程度の降雪で路面と一部接触可能な積雪状況を想定したタイヤだ。路面を覆うほどの積雪路・凍結路においては、スタッドレス表記(国内表記)またはスノーフレークマーク(国際表記)が表示されている冬用タイヤを全車輪に装着すること。
冬用タイヤは全車輪に装着しないと挙動が安定しない。
タイヤ溝深さが50%以上残っていることを「プラットホーム」で確認すること(一部海外メーカー品は除く)。運行前に必ず確認する。
●チェーン
チェーンを駆動輪に装着すると、冬用タイヤより積雪・凍結路での発進・登坂性能が向上する。チェーンのサイズや締め方が不適切な場合、タイヤとの間で滑りが生じ、効果が得られない。
大雪警報が発表されるなど、相当量の積雪が見込まれる場合等にはチェーンを携行すること。降雪時には早めのチェーン装着を心掛ける。立ち往生した後の装着は極めて困難だ。
●性能限界
冬用タイヤおよびチェーンのいずれも性能限界があり、万能ではない。例えば、車両のバンパーに接触するような新雪の深い積雪路は走行困難だ。運行前に道路・気象情報を確認し、運行の可否や経路を検討すること。
●立ち往生が発生しやすい車両
一輪駆動車……二軸駆動車に比べて駆動軸が空転しやすい。
連結車……トレーラー付近の積雪により走行抵抗が増大する。
空荷状態……駆動軸に十分な荷重がかからず、発進性能が低下する。
年式の古い車両……トラクションコントロール等の機能が搭載されていない。
●積雪・凍結道路における運転上の注意
低速ギアでゆっくり発進し、タイヤを空転させない。
急坂道では登り終わるまで低速ギアを使用し、ギヤチェンジしない。
急発進、急加速、急旋回及び急停止は避ける。
カーブに入る前に減速する。速度は控えめ。十分な車間距離。
冬用タイヤの性能には限界がある。
冬用タイヤを乾燥路や湿潤路で使用する場合は走行速度に注意する。