マツダは、自社の試験場と生産工場がある山口県にてメディア向けに「マツダ体験会」を開催した。この体験会は、2日間にわたって開催され、初日はマツダが所有するテストコースである美祢試験場(山口県美祢市)にて、マツダのクルマづくりの根幹である「人馬一体」についてのプレゼンテーションと、『ロードスター』の歴代4車種を含めたマツダ車ラインナップ試乗会が開催された。◆「人馬一体」を頭で知るさて、試験場に到着した我々参加者らは、早速会議室でマツダの「人馬一体」プレゼンテーションを受けることになった。マツダが掲げるこの「人馬一体」とは、文字通り人と馬、つまりクルマが一体となることを指している。すなわち、人とクルマが一体となれば、クルマを意のままに操ることが可能となり、安心感や走る歓びにつながっていく。これはマツダの哲学だそうだ。では、この「人馬一体」を体現するためにマツダは取り組んでいることがなにか。それは、「馬」ばかりの研究開発ではなく「人」を研究し開発する人間中心のモノづくりだ。特に、人の歩行はクルマの理想状態の追求に繋がっていく。誰しも歩行する際に、手足の位置や重心の移動を常々意識して歩いてる人はいないだろう。全て無意識に、バランスをとって自然に行っているプロセスにほかならない。この“自然に行える”ということを、マツダはクルマ造りに反映させている。つまり、マツダが考えるクルマの理想な状態とは、まるでクルマが自分の手足になったような一体感、人が歩行をしている時のように、自然でバランスが取りやすい滑らかな動きが出来るということだ。この状態の追求のために、マツダはドライビングポジションにおいて全ての関節の理想角度を決定しているという。この理想な角度は、人が最も安心安全で疲れにくい姿勢である脱力状態に近い角度で、この姿勢はクルマの運転に不可欠な素早く正確な動作に繋がり、ひいては安心安全に繋がっていくのだという。さらに、ペダルレイアウトは、前輪をより前方へ配置し、ペダル部分の横のクリアランスを確保することで、従来車体中心線寄りにずれていたアクセルペダルを、より自然な状態である足を伸ばした位置に配置している。このアクセルペダルも、量販車でよく見られる吊り下げ式のペダルではなく、高級車などに多く採用されるオルガン式ペダルを採用するこだわり。このオルガン式ペダルによる適度な反発力が運転の疲れを軽減すると同時に操作時の軸をブレさすこと無く、人が足の平で最も感覚をつかみやすい拇指球で直感的に操作を出来るような工夫が施されている。◆マツダ流ドライビングポジションの合わせ方ではここで、マツダ車のドライビングポジションの合わせ方を紹介しよう。まずはじめに、座席のリクライニングをお腹にストレスを感じるまで起こしていく。ストレスを感じたら、すぐに止めその状態から少し緩める。次に、足をペダルの上においた状態で、シートを足にストレスが掛かるまで前に出す。ストレスを感じたら先程のように少し緩める。目線の高さは、ボンネットの4分の1が見える程度に調整し、ハンドルのポジションは、手を伸ばした状態で、ハンドルの上部が手首の位置になるように合わせていく。以上がマツダ流ドライビングポジションの合わせ方だ。筆者は普段のドライビングポジションより若干前側になり、若干窮屈に感じた。◆「人馬一体」を身体で感じる1時間半程の続いたプレゼンテーションの後は試乗だ。今回、マツダ側が用意したコースはそれぞれ「人馬一体」アカデミーコース、歴代ロードスター試乗コース、そしてマツダ車ラインナップ試乗コースの3つだ。まずはじめの「人馬一体」アカデミーコースでは、5ドアハッチバックである『アクセラ』に試乗した。試乗会の前に、教授されたドライビングポジションの合わせ方で座席を調整し、いざ走り出す。コースに出るとすぐ横に同乗するマツダの技術者の指示で、まずは20km/hほどの低速域で速度保持を体験した。意外と街乗りで使う頻度の多い速度域であるが、速度計を見ながら徐々にアクセルを踏んでいき、そろそろ20km/hだと思ったタイミングで離すとその速度で車の加速がスッと止まる。マツダの技術者によると、ドライバーが意図したアクセル感覚と車の加速感がぴたりと一致し、速度域を保ちやすいのがマツダ車の特徴なのだとか。次に、緩いカーブに差し掛かる。ここでも、マツダの技術者から「このステア角でカーブを曲がれると思ったタイミングからステアリングを操作しないでください」と指示が。言われたとおりにステアリングを一度だけ切り、その状態をキープする。切り直しは無しだ。すると、アクセラはドライバーの思い描くコースラインに沿って進んでいく。驚いたことに、ほとんど切り直す必要が無いのだ。もちろん加減速の具合で修正が必要だが、他の車に比べると切り直しの頻度が少なく感じた。さらに、その先で大きく加速する時、マツダ車は適度にエンジン音を車内に響かせ、加速のフィーリングをより能動的にドライバーに伝えているという。これにより、自車のスピード感をより正確に掴みやすくなるのだとか。まさに、人馬一体アカデミーという名に相応しい体験であった。◆シリーズ約30年の歴代ロードスターを一気乗り次に、歴代ロードスターの一気乗り体験だ。試乗車には初代NA型ロードスターから現行のND型までのマニュアルトランスミッション4車種。約30年の歴史を1時間半で味わうという贅沢で貴重な体験である。乗車前に担当者が「是非、ロードスターの歴史を肌で感じて下さい」言っていたが、初代が発売された頃は筆者はこの世に存在していない。そう思うと、なんだか恐縮する。天候にも恵まれた日だったので、全試乗車はオープントップの状態で試乗。自分の年齢以上の車とは思えない乗り心地で終始感動の筆者だったが、どんどん新しい世代に乗り換えていくごとに、機能装備の進化はあれども、どのロードスターも本質は変わらない、走る歓びを具現化した素晴らしい車種であることを改めて実感した。◆どのクラスでも手を抜かないマツダのクルマ造り続いてのマツダ車ラインナップ試乗体験では、ハードトップで2リットルエンジンを搭載した『ロードスター RF』からコンパクトカー『デミオ』、「アクセラ」ハッチバック、『アテンザ』セダン、SUVファミリーの『CX-3』、『CX-5』そして『CX-8』までを一気に試乗。試乗コースは、100km/hを超えるホームストレートの高速域から急ハンドルが続くカーブなどが存在する旧MINEサーキットコース上で行った。どの車種も、前に述べたオルガン式ペダルなどの手を抜かないクルマづくりで、ハンドルを切ったその瞬間からマツダの哲学を感じるビリビリと感じるクルマであった。特にCX-8は、CX-5より一回りも大きい巨体と重さを全く感じさせない軽快なハンドリングと走りで驚嘆。急ハンドルでもロールを抑え軽々と旋回し、ガツンと踏んでレスポンスの良いディーゼルエンジンから感じる野太いトルクは車重を忘れさせる。今回の試乗した多くの車種中でも記憶に残る素晴らしいクルマだと感じた。ほぼ半日マツダ車に乗りっぱなしであったこの体験会初日。人馬一体を頭と体で感じた貴重な経験であった。
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