「カーセブン」と言えば中古車流通のブランドだが、業界内ではむしろ、カーライフビジネス向けのクラウドツールを提供するASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)として注目を集めている。中古車流通業者が提供するASPとは何か、なぜ注目を集めているのか、その理由を聞いた。◆自分たちで使って便利なものをカーセブンが提供するサービスは4種類。すべてクラウドベースで動作しており、サービスの利用用途に応じてパソコンやタブレット、スマートフォンで利用することができる。各サービスは連携して利用することもできるが、単独で選ぶこともできる。本業は中古車流通業であるカーセブンが、競合ともいえるカーライフ事業者に向けて、クラウドサービスを提供するようになった経緯は、聞けば非常に合理的なものだ。カーセブンディベロプメント社長の井上貴之氏はこう説明する。「もともと自社で使うために作っていた営業管理や在庫管理、査定システムがあり、便利なものができたので、それを同じような業態の他社に提供することにしました。ですから、汎用的な営業支援ツールよりもよほど競争力があります」。サービスの開発を担当するグループマネージャーの中村次郎氏も続ける。「自社の事業で確実に使えるものを大前提としています。逆に言えば、事業に寄与するもの以外は作らない。この点は揺るぎません。中古車の現場で便利なシステムを、同じ業種のお客様に展開しているので、利便性が高いと判断してもらえるはずです」。カーセブンのシステムは、驚いたことに、まさに競合他社と見られる中古車買い取りで有名な某チェーンブランドも利用しているという。「競合だからと言って切るのではなく、同じ業種なら利便性が高いのは同じなので、膨大なお金を掛けて作るよりも、シェアしましょうということです」(中村氏)。以下、同業他社からも高く評価されているカーセブンの4種類のクラウドサービスを、利用事例を交えながら紹介する。◆一括査定サイトからの情報を自動取り込み今回紹介するのは、4種類のクラウドサービスのなかでも中心となる顧客・商談管理システム「COREシステム」。特に好評なのが、買い取り一括査定サイトから送信される大量の顧客情報を、自動で取り込むことができる点だ。中村氏は説明する。「多いところだと、お客様情報を月500件以上登録しなければならないという場合もあります。500人のお客様に対応することを考えると、メールやファックスではとても追いつかないので、そういった場合にCOREシステムを利用いただいています」。買い取り一括査定サイトからの情報は、COREシステムに自動的に登録される。登録されたあとは、それぞれの顧客に対してどういう対応をするか、管理者が商談ステップを設定。商談ステップは、顧客の状況によって既定のステップのなかから選ぶか、あるいは自分で設定することも可能だ。中村氏は続ける。「優秀な営業マンは、お客様の状況に応じて商談の段取りを考えて、フォローしていきます。年式が古い車はこういったアプローチ、小売りのお客様ならこう、インターネット経由のお客様ならこう、などという段取りを、カーセブン本部の推奨ステップとして提供しているので、まずはその段取りどおりに動いてみましょう、ということですね。優秀な営業マンの段取りをシステム化することによって、入ったばかりの新人の方でも商談をステップごとに進めていくことができます。そして、ここまで基本的に手入力をせずに進めることができるのが特徴です」。いわば、自動車の売買に特化したSFA(セールスフォース・オートメーション)ツールということになる。◆商談ステップを設定して一括管理COREシステムのここまでの流れを整理すると、まず、査定サイトから顧客データが自動的に取り込まれる。次に、管理者が顧客ごとに商談ステップを設定し、営業マンに割り振る。そして、そのステップに沿って営業マンが顧客のフォローを開始する。「商談ステップを設定すれば、行動スケジュールができあがります。今日は何をする、明日は何をする、一週間後は…ということです。それらの業務が一覧となってリストに表示されるので、それを実施していき、終了したらチェックを入れます。すると次のステップが表示される、という流れです」(中村氏)。◆中古車買い取り以外にもCOREシステムは、具体的にはどのような会社が利用しているのだろうか。クラウドサービスのセールスを担当するシニアマネージャーの今井崇文氏は話す。「やはり多いのは中古車買い取り業者さんです。なかには有名なところもあります。あとは車検をやってらっしゃるところで、販売に参入するタイミングで利用されるケースもありました。そして最近では、板金業者さんも中古車売買を始めるケースがあります。その場合は、買い取りの商談ステップとは違うので、みずから商談ステップを設定して使っていただくことが多いですね」。
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