2021年9月の国内における新車販売台数は、前年の9月に比べて32%減少した。小型/普通車は30%、軽自動車は36%と大幅に減った。2021年7月は5%、8月は2%のマイナスだったから、9月に入って大幅に落ち込んでいる。売れ行きを下げた原因は、コロナ禍の影響によって生じた「納期の遅れ」だ。トヨタの販売店では「2021年10月上旬に契約をいただいて、納車できるのは、大半の車種が2022年1月以降。以前なら11月から12月に納車できたが、今は来年になる。『ヤリスクロス』は3月以降、『ハリアーハイブリッド』は6月以降に遅れる」と述べている。◆滞る部品の供給と、増加する需要納期が伸びた一番の理由は、部品の供給が滞っていることだ。頻繁に報道される半導体に加えて、ワイヤーハーネスなども幅広く不足している。その結果、各メーカーともに減産や生産調整を強いられ、工場の操業停止も発生している。従来通り順調に生産しているメーカーはない。部品の供給が滞る主な理由はコロナ禍だが、事情はさまざまだ。感染の拡大によって生産が安定しない一方で、地域によってはコロナ禍が終息に向かって経済活動が活発化してきた。半導体などの供給が不安定なのに、需要が増えて供給状況がさらに悪化した事情もある。またコロナ禍により自宅の滞在時間が増えて、パソコンなどの売れ行きが伸びたり、国や地域によっては二酸化炭素排出抑制のために火力発電所の稼働が抑えられ、生産が滞ったケースもある。コロナ禍に加えてエコロジーまで絡む。◆新車の乗り換え時に注意したいのはクルマは数万点の部品で構成され、供給体制も多岐にわたるから、世界各国の事情が生産に影響を与える。コロナ禍が完全に収まるまで、納期が突発的に伸びることもあるだろう。各メーカーの販売店ともに「納期の先行きが見通せない。契約を頂いても納期を約束できない」と口をそろえる。特に今は新車需要の約80%が乗り替えに基づく。新車の納期が遅れると、納車される前に、下取りに出す愛車の車検期間が満了することも考えられる。そうなると納車を待つために車検を取り直したり、下取り車を先に売却して、クルマのない生活を強いられたりする。愛車を売却して新車に乗り替える場合は、商談を早めに開始したい。また販売店では「ETCユニットなどのディーラーオプションが遅れて、納車できない場合もある。お客様が希望された時は、ディーラーオプションが装着されていない状態で納車して、後日、改めて加える方法もある」という。メーカーオプションは、後から装着することが困難だが、ディーラーオプションのETCユニットなどでは可能だ。