事故を起こした時はもちろん、普通に走行している時にも、飛び石などが原因でヒビが入るというのは、よくあるケースです。
こうなった時、ガラスを“交換”するというのが一般的な方法でした。しかし、小さなキズでも丸々交換すると時間がかかる場合もあるし、何よりも交換費用が高くて二の足を踏んでしまうという人も多いのではないでしょうか。
ここで今回紹介したいのが「ウインドウリペア(補修)」という施工法です。交換するのではなく、キズがついた部分をピンポイントに直す手法で、短時間(1~2時間程度)での修繕が可能なうえに、通常10万円以上もするウインドシールドの交換を回避することもできます。
2012年の保険料率改訂などを背景に注目を集め、今ではディーラーや、カーディテイリングショップでも導入が進んでいるウインドウリペアについて、少し勉強しましょう!
◆ガラスが破損する原因は?
実際にウインドウリペアの説明に入る前に、まずはガラスの破損にはどのようなものがあるのかを知っておきましょう。
ガラスのキズは、表面に小さな打撃点が開き、ガラス内部の分子間に空気の隙間が生じることで発生します。そして、やがて目に見える破損状態となり、車の振動や風圧、温度の変化などにより「ヒビ割れ」となるのです。
単純にヒビ割れと言っても、軽度のものから、危険度が高い重症のケースまで種類はさまざま。そこで、写真を参照しながら、ヒビの種類を見ていきましょう。
《さまざまな種類のヒビ》
ブルズアイブレーク:振動などによりヒビが伸びる危険度は低く、リペアも比較的容易な割れ。
スターブレイク:ヒビが伸びる危険度が高い割れ。ヒビの末端まで補修液を浸透させるのが難しいため、修復には高度な技術が必要。
コンビネーションブレーク:ブルズアイブレークとスターブレイクの複合タイプの割れ。雨水やチリなども溜まりやすい構造のため、最もヒビが伸びる危険度が高い。
◆そのヒビが入ったガラス、交換する?それともリペア?
このように、クルマのフロントガラスにヒビが入ってしまったら、そのままでは車検に適合しません。運転手の視界が確保できなくなることや、強度が弱まることで極端に割れやすくなることなどが理由として挙げられます。
安全を確保するためにも、ヒビの無いガラスに戻す必要がでてくるのですが、ここでガラス一枚を丸々交換するのか、それともリペアかという選択が生じます。
◆リペアってどうやっているの?
では、リペアとは一体どういう施工なのでしょうか?
リペアはガラスのヒビ内部にレジンという透明な特殊樹脂を注入し、そのレジンを光や紫外線で固め、外観上の修復とキズの進行を防ぐという施工法です。
レジンは光学的にガラスと同等で、一見するとキズが無くなったかのように見えます。なので、元通りに直すものではなく、「直ったように見える」という方が正確な表現かもしれません。
◆ウインドウリペアのメリットと注意点
ウインドウリペアの最大のメリットは、初めに紹介したように、短時間かつ低価格で破損部分を直すことができるということです。だいたい1万円位から施工できることが多いので、交換に比べるとだいぶ安いですよね。これで、車検も問題なく通すことができると言われれば…。注目を集めるのも、うなずけます。
ただし注意点も。先ほども言った通り、あくまでもヒビを無くすわけではないので、状態によっては修復跡が残ることもあります。完全な修復をしたい方は交換することをオススメします!
またヒビの程度によってはリペアができず、交換が必要となるケースもあります。修復可能なヒビは30mm(500円玉程度)以下といわれており、それ以上になるとリペアで乗り切るのは難しくなってきます。他にも、ヒビの場所が工具が使える位置にあるかどうかなど、リペアをするためにはいくつか乗り越えなくてはいけないポイントがあります。
◆キズ、ヒビの放置は厳禁!!
色々な注意点はあるにせよ、リペアという方法があるという事を知っておくだけでも、愛車のガラスが傷ついた時、少しは気が楽になりますよね。
交換しか方法を知らないと、例えば小さいヒビが入った時などに「これ位なら大丈夫だよな…」と見て見ぬ振りをしてしまう事もあるかもしれません。しかし、そうやって放っておくとヒビはどんどん広がります。さらにガラスの強度が弱まっているため、走行中にほんの少し力が加わっただけで、一気にヒビ割れが拡がる…なんて事も十分考えられます。
ヒビが入った場合は、大小に関わらず必ず専門家に見てもらってください。そして、その時にリペアという選択肢も準備しておくといいかもしれませんね。