どんな熟練ドライバーでも、回避がなかなか難しいのがフロントガラスへの飛び石。前走車両が巻き上げた小石などを受けて小傷やヒビが入ってしまい、場合によってはリペアできず、フロントガラスの交換を余儀なくされてしまうことも。近年では、フロントガラス交換に車両保険を適用すると翌年からノンフリート等級が1等級ダウンしてしまう一方で、フロントガラスに先進安全装置用のカメラが設置されている場合もあり、交換時にはそれらの調整作業(エーミング)を要するため交換費用が高額になりがち。修理工場によっては保険適用を勧めるケースも少なくないそう。ドライバーにとってそんな悩ましい飛び石だけに、最近では保護する術にも広がりが出始めている。◆コーティングで保護するという新しい考え方フロントガラスを保護する手段は、「フィルム」と「コーティング剤」の2種類に分けられる。フィルムを貼り付けて保護するプロテクションフィルムは、これまで高級車を中心に普及してきた。主流となっているのはアメリカのBRAY(ブレイ)社やClearPlex(クリアプレックス)社などの製品。例えばブレイの製品はランボルギーニやマセラティ、フェラーリ、パガーニなど名だたる高級メーカーが採用している。車高(フロントガラス面の位置)が低く、サーキットなどでの高速走行をする機会もあるスーパーカーやスポーツカーのオーナーから支持されるとともに、ガラス面が立っているバスやトラックといった商業車両での需要も高まっており、現在では世界40カ国以上で販売されている。一方、フィルムを貼るのではなく、液剤を塗布するコーティングでも保護を打ち出す製品・サービスが登場した。プロショップ向けにコーティング剤「PGP」の輸入販売を手掛けるリアルネットプロモーションでは、飛び石からの破損を対象とした保証プログラムを開始。同プログラムを付帯してフロントガラスにPGPを施工し、2年間の期限内に飛び石破損が生じた場合、最大10万円が保証される。フロントガラスの液剤でのコーティングというと従来は撥水を主目的としたものが主流で、コーティング剤での飛び石保証は同社によると業界初だとか。現在、全国各地で取り扱い施工店を拡大しているという。実はこのPGPもアメリカ・サンディエゴ発の製品。強固な被膜を特徴としており、キズのほか、高い防汚性や撥水性が備わるのも嬉しいポイント。またガラスのほかホイールやボディなど様々な素材に対応しており、ボディへの施工では、下地処理剤を塗布してから磨くという独特な施工法により、オリジナル塗装を削りたくないというクラシックカーオーナーからも高い需要があるそうだ。◆安全に関わるクルマだからこそ、しっかりとした選択を「液剤でガラス面を傷から守る」というと特殊なことのように感じるが、実は既に身近なところでは広まりつつある。多くの人がフィルムを貼っているであろうスマートフォンだ。そのスマホでも近年、大手キャリアショップで液剤コーティングの施工サービスを提供していたり、量販店で専用コーティング剤が売られていたりと、フィルムに加えてコーティングも普及しつつある。ただ、フィルムにしてもコーティングにしても、防キズ効果はあるものの、施工したら絶対に割れないというものではなく、耐久性や強度、施工時の質感、施工性などはそれぞれに特徴がある。クルマの場合は費用面でもスマホほど気軽に施工できない上に、正しく施工しないと走行の安全にも関わりかねない。そのため、普段の運転頻度や予算などに応じてガラスをどう保護するのか、精通するプロのディテイリングショップなどで相談しながら決めるのが良いだろう。
日本初上陸、光学技術により“クリア”な仕上がり&品質保証10年のプロテクションフィルム「ONYXHIELD(オニキスシールド)」とは? 2024.10.31 Thu 20:46 ボディやフロントガラスの飛び石キズ防止や、ポリカーボネート…