旧車オーナーの依頼が多い「レザーシート張替え」事業について聞く…ユニオンレザー | CAR CARE PLUS

旧車オーナーの依頼が多い「レザーシート張替え」事業について聞く…ユニオンレザー

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旧車オーナーの依頼が多い「レザーシート張替え」事業について聞く…ユニオンレザー
  • 旧車オーナーの依頼が多い「レザーシート張替え」事業について聞く…ユニオンレザー
  • 神奈川県 横浜市港北区にある「Union leather 横浜」
  • シートカバー国産ブランド『Dotty(ダティ)』公式サイト
  • 施工事例「シトロエン DS」シート張替え(スエード&クロス)
  • 施工事例「ホンダ S600」本革シート張替え
  • 施工事例「ホンダ インテグラ」国産合成皮革素材に張替えて、純正RECAROシートを再現
  • ダティエンタープライズ有限会社の志宇知代表(右)と、ハートアップワールド株式会社の佐藤社長

レザーシートは、革素材ならではの高級感や乗り心地、なめらかな手触り感が魅力。

だが一方で、布(ファブリック)やビニール素材のシートと比べてデリケートでダメージを受けやすい弱点がある。乗降時の摩擦による擦れやヒビ割れのほか、特にホワイト系レザーシートはデニムジーンズの色移りが目立ってしまう。こういった場合、リペア(補修)の選択肢もあるが、経年劣化が酷すぎると対応不可の場合も少なくない。

1台のクルマに長く乗り続ける長期保有化や中古車購入が増える背景の中、リペアできないほど傷んでしまったレザーシートの扱いに困っているカーオーナーにとって「レザーシート張替え」は気になるサービスなのではないだろうか。

そこで、レザーシート張替えに特化したFC事業『ユニオンレザー』を展開するダティエンタープライズ有限会社の志宇知義章代表取締役に、同事業を立ち上げたキッカケやサービス内容、ユーザー層、今後の展開などについて詳しい話を聞いた。

1995年頃、米国の内装張替えビジネスに着目

志宇知代表がレザーシート張替え事業に着目したのは28年前に遡る。国産車のディーラー経営を10年間行ったのち、アメリカ車の並行輸入販売や輸入中古車販売に携わっていた1995年頃、米国ではシート交換やシート張替えといった内装張替えビジネスが活況だった。当時の日本ではそういった事業に注力する事業者が少なかったこともあり、志宇知代表はビジネスチャンスを感じて1997年4月に徳島県でダティエンタープライズ有限会社を設立し、現在は横浜市でレザーシート張替え事業を行っている。

横浜市港北区にある「Union leather 横浜」

同社のレザーシート張替えは、ユーザーの希望をしっかりヒアリングするところから始まる。「単なる物売りのビジネスではなく、カウンセリングを大切にしています。カーオーナー様の困りごとを聞いて、それを解決するための最適な提案に注力し、ご納得頂ける高品質なレザーシート製作を行っています」と志宇知代表は思いを口にする。

ヒアリング後は、レザーシートの素材選定やデザイン作成のほか、車両からシート本体を脱着してシート表皮を剥がし、バラバラに分解して型紙(製図)を作ったあと、オーダーメイドによるシート製作(生地の裁断・縫製・付属部品の縫製)を進行。シートのクッション材がヘタっていたら新品に取り替え、完成したシートに張替えたら、最後にシートを車両に取付する流れとなる。

こういった工程が必要なため最終納品まで1~2ヶ月やそれ以上かかる場合もある。費用については、英国産や欧州産の高品質な牛本革シートを選んだ場合、例えばポルシェのシート1列で28万円ほどとのこと。以前はダティエンタープライズで顧客の車両預かりや代車貸出を行っていたが、現在は行っていない。顧客の指定場所にシートを引き取りに伺い、張替え完成後に出張にて車体へのシート取付け作業を行っている。

顧客ニーズを分析して「シートカバー」ブランドを立ち上げ

志宇知代表は、レザーシート張替え事業を開始した当時の状況や、それを受けて新たに立ち上げたシートカバー国産ブランド『Dotty(ダティ)』についてこう話す。

「1997年からレザーシート張替え事業を開始したものの景気が低迷し、40万や50万といった費用をかける方は少なく、ローンが通りづらい方も増えていきました。そこで私はレザーシート張替えを希望されるお客様の立場になって考え、3つ(シートの汚れ・痛みの改善/高級感の付加/趣味嗜好のカラー・デザインチェンジ)のニーズがあることを強く意識しました。

それを踏まえて “ なるべく費用を抑えて格好いいシートにしたい ” というお客様のニーズに応えるために、長納期かつ高額になりがちなレザーシート張替え事業は限定的な展開に止め、シートカバーの製造・販売を行う独自の国産ブランド『Dotty』を2000年に立ち上げました。本当はレザーシート張替えしたいが予算的に難しいという方でも、シートカバー製品であれば、弊社側もレザーシート張替えよりも原価コストを抑えられ、お客様にはリーズナブルかつ高品質なシートカバー製品を通信販売でも提供できると考え、『Dotty』ブランドの拡販に専念しました」

シートカバー国産ブランド『Dotty』の特徴

『Dotty』では、国産車・輸入車を問わず幅広い車種やグレードごとに専用設計された高品質なシートカバーを数多くラインナップ。15以上のデザインパターンがあり、それらのベースデザインを元にカーオーナーの希望に沿った細かなオーダーが可能。汎用品のシートカバーとは一線を画する品質と、デザインの自由度の高さで人気を集め、リピート需要が伸びているという。

2000年にスタートして20年が経過した2020年2月、志宇知代表は福岡県久留米市でシートカバー専門店「カーショップコネクト」を展開していた春山克代表に『Dotty』事業を譲渡。現在は春山代表が率いる株式会社ダティインペカブルが事業展開を続けている。

シートカバー国産ブランド『Dotty(ダティ)』公式サイト

「レザーシート張替え」は富裕層の旧車オーナーに人気

志宇知代表は『Dotty』の事業譲渡後、レザーシート張替えに特化したFC事業として『ユニオンレザー』を2020年3月からスタート。一度は縮小したレザーシート張替え事業に、改めて注力した理由を聞いた。

「シートカバー製品の普及で、張替え事業者が相当に減少しました。そんな状況の中で40~60代の旧車オーナー様から、レザーシート張替えの相談や依頼が増えてきたのです。張替え前にリペア(補修)の選択肢がありますが、あくまで “ 応急処置 ” のため1年後などに傷みが目立ったり、リペアしたことで悪い状態になってしまったという相談もありました。リペア可能なダメージでもリペア箇所が多いとツギハギになって見栄えが悪くなってしまいます。このため富裕層の旧車愛好家の方は、リペアではなく、できるだけ純正に近いレザーシートへの張替えを求められており、その希望にしっかり応えたいと思って『ユニオンレザー』をスタートしました」

明瞭な作業内容と価格設定がポイント

志宇知代表がFC事業として『ユニオンレザー』を展開するにあたり、最もこだわったのは作業内容と明瞭な価格設定だった。高額になりがちなレザーシート張替えだからこそ、わかりやすい価格設定にする必要があったという。車両サイズを4クラス(S/M/L/特殊)に分けて作業内容を具体的にし、レザーシート素材は3種(英国産・欧州産のハイクラスナッパ仕上げ牛本革/英国産・欧州産の標準牛本革/日本製の合成皮革)で、シート数(1~3列/1脚のみ)によって価格設定している。

このほか、スポーツシート・ブランド「RECARO」のクロス生地を皮革等の素材(オール本革/本革&アルカンターラ/合成皮革/ニット生地)に張替えるメニューも用意。オプションメニューもあり、ドアパネルやドアノブ、コンソールカバー、天井、シートヒーター(TC-STYLE社製)の張替えにも対応する。これらの情報を『ユニオンレザー』サイト内でわかりやすく表出し、公式SNS(Facebook、Instagram)で数多くの施工事例を継続的に情報発信することで、旧車愛好家を中心としたカーオーナーからの問い合わせや依頼が増え続けているという。

施工事例「シトロエン DS」シート張替え(スエード&クロス)
施工事例「ホンダ S600」本革シート張替え
施工事例「ホンダ インテグラ」国産合成皮革素材に張替えて、純正RECAROシートの雰囲気を再現

今年7月から新体制に

今後の展開について志宇知代表に尋ねたら、今年7月から新体制になったことを教えてくれた。

「2020年3月から2023年6月までの約3年3ヶ月、レザーシート張替え事業に注力したことで、旧車オーナー様のニーズが高いことがわかりました。より一層レザーシート張替え事業を活性化したいのですが、私は今年60歳を迎え、体力的な限界を感じていました。

そこで、レザーシート張替えに対する思いや意欲が高く、事業拡大の器がある若い世代の方に事業譲渡するのが最適だと考える中で出会えたのが、ハートアップワールド株式会社の佐藤義寛社長です。岡山市北区で車両販売や車検・整備のほか、日本ではまだ少ないテスラ認定の修理工場(テスラ認定ボディショップ)および、ヒョンデ協力整備工場でもあり、テスラ車向けのオリジナル・カスタマイズパーツブランド「KOKORO」も展開されている佐藤社長なら『ユニオンレザー』を任せられると思い、今年7月に事業譲渡しました。

今後弊社はユニオンレザーFC事業部として培った自動車インテリア架装事業を全国に広め、『ユニオンレザー』事業のアドバイザーとして、佐藤代表と共に取り組んでいく考えです」と志宇知代表は話していた。

ダティエンタープライズ有限会社の志宇知社長(左)と、ハートアップワールド株式会社の佐藤社長(右)

『ユニオンレザー』ではFC加盟店を全国に広く募集している。加盟条件は、顧客来店時に商品案内やサンプル品の展示ができる店舗と張替え可能な作業スペース、最低1台以上停められる駐車場も必要。加盟料は、加盟金165,000円、展示商品110,000円、ロイヤリティ47,300円(1ヶ月/ロイヤリティには本部による加盟店地域へのネット宣伝広告費用が含まれる)で価格は税込。

営業品目としては、レザーシート張替え、シートカバー販売&取付け、テスラ商品の販売&取付け、そのほか今後導入される新商品の販売・取付け。レザーシート張替えの作業内容としては、加盟店が顧客のシート表皮を剥がしてユニオンレザー本部へ郵送(表皮分解やシート縫製を行う必要はない)。加盟店は本部製作のシート完成品を受け取り、顧客が希望する場所で完成品を取付ける。作業時間の目安は、一般的な車種で2列の場合、表皮剥がしで1日、表皮取付に1~2日。そのほか、FC加盟事業者向けの研修情報などの詳細は『ユニオンレザー』サイト内に公開されている。

クルマの長期保有化が進む中、今後もより長く乗り続けたい大切な愛車のレザーシートが傷んで困っているカーオーナーにとって、純正シートのような仕上がりや、オリジナルの特別なデザインも実現できる「レザーシート張替え」は魅力的なサービスといえそうだ。カーディテイリングショップや整備事業者、中古車販売店などは新規事業として検討する価値があるのではないだろうか。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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