住友ゴム山本社長「水素エネルギーの“地産地消”スキームとして広く提供していきたい」 | CAR CARE PLUS

住友ゴム山本社長「水素エネルギーの“地産地消”スキームとして広く提供していきたい」

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左から新エネルギー・産業技術総合開発機構の大平英二氏、住友ゴム工業の山本悟社長、産業技術総合研究所の古谷博秀氏
  • 左から新エネルギー・産業技術総合開発機構の大平英二氏、住友ゴム工業の山本悟社長、産業技術総合研究所の古谷博秀氏
  • 住友ゴム工業の山本悟社長
  • 水素トレーラーと水素受入施設
  • 水素ボイラー
  • 住友ゴム工業白河工場の太陽光パネル
  • 住友ゴム工業白河工場

住友ゴム工業は4月18日と19日、福島県の白河工場に設置したカーボンニュートラル実現に向けた施設を報道陣や地元の有力者らに公開した。太陽光発電と水素を活用したもので、タイヤの製造段階で排出される二酸化炭素(CO2)を実質ゼロに抑えた。

◆白河工場でCO2排出ゼロ設備

「タイヤ製造で使用するエネルギーには、電力と天然ガスの2種類がある。従来から電力においては、省エネルギーの推進、コージェネレーションの拡大、太陽光発電の導入、再生可能エネルギー由来のクリーン電力の調達を軸にしてCO2削減に取り組んできた。しかし、製造段階でカーボンニュートラルを達成するには加硫工程でのエネルギー転換が課題となっていた」と山本悟社長は説明する。

加硫工程では、熱と圧力を加えてタイヤを仕上げるのだが、そこで使用する蒸気を化石燃料である天然ガスを使用して発生させていた。これでは目標としている工場全体のカーボンニュートラルが実現できない。そこで、代替となるエネルギーを検討し、たどり着いたのが水素エネルギーだった。

2021年8月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として支援を受け、主力タイヤ工場である白河工場で水素を活用したタイヤ製造の実証実験がスタート。そして、「ファルケン」ブランドの高級車向けフラッグシップタイヤで製造時のカーボンニュートラルを実現、23年1月から量産を開始した。

◆太陽光パネルで発電も

駐車場の屋根に設置した太陽光パネルによる発電で製造機器の電力をまかない、加硫工程で必要となる蒸気は水素の燃焼で生み出す。現時点での生産規模は年間6万本程度を予定しているという。余談だが、太陽光パネルの屋根は従業員に好評とのことだ。というのも、冬にクルマの屋根の雪下ろしをしなくて済むからだ。

住友ゴムはカーボンニュートラルへのと取り組みとして、2030年にCO2排出量を2017年比で50%、2050年0%と、企業活動全体でのカーボンニュートラルの実現を目指している。そのために、白河工場での取り組みを国内外の工場に広げていく予定だ。

◆水素エネルギーの地産地消

「この実証実験のもう一つの柱として、福島県における水素エネルギーの地産地消モデルの構築を目指している。当社で確立した水素エネルギーの地産地消スキームをモデルケースとして、その技術を世に広く提供していきたいと考えている」と山本社長は強調する。

白河工場は「環境で地域をリードする工場へ」という目標を掲げており、この3月には「第11回みどりの社会貢献賞」を受賞。これは緑化推進活動、生物多様性の保全、地域社会貢献活動、地球温暖化への配慮などが評価されてのものだが、今回のタイヤ製造のカーボンニュートラル化に向けた取り組みで、さらにその目標に近づいたと言えるだろう。

《山田清志》

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