純正の標準装備かと思うほどジムニーのスタイルにマッチし、機能性を重視したJB64W/JB74W専用ルーフテント「キャノティエ J3」が、2022年12月24日から発売される。
ルーフテント設営が実にカンタン。煩雑な操作が一切なく、ロックを解除するだけでガスダンパーの力ですぐに設営できる。収納が秒速で終わる点も大きな魅力。また、取り付けたままで車検もOKとのこと。展開サイズは、長さ2,100mm×幅1,120mm×高さ970mm。重量45Kg。付属品として、伸縮式はしご、フロアシート、ウレタンマットがあり、それぞれ専用ケース付となっている。
ジムニーから乗り換える高齢オーナーたち
同商品は、静岡県御殿場市の自動車整備・販売会社として知られる株式会社カマド(かまど717-6/小林雅彦代表取締役社長)で企画開発されたもの。発案者の営業部長 山口孝昭氏に、企画背景や特徴などについて詳しい話を聞いた。
コロナ禍で加速したキャンプブームを背景に企画されたものかと思いきや、そうではないと山口氏はキッパリ言う。同社はジムニー専門カスタムショップ「ジムニー秘密基地」を長年運営しており、定期的にイベント開催や出展を行っている。その一環として、コロナ禍前の2019年10月、全国からジムニーオーナーが集い一泊二日で走行会やオートキャンプなどを楽しむ恒例イベントにブース出展した際、ジムニーではなく、乗りやすくて車中泊がしやすいクルマで参加する高齢オーナーたちが増えていることに、山口氏は気がついた。
ジムニーは趣向性が高く、タイヤ・ホイール・サスペンションといった足回りや外装などをカスタムしてオフロード走行を楽しむオーナーが多い。一方で、普通のクルマより燃費が悪く、重いため加速が鈍いなど “ 我慢が必要な部分 ” がある。そう山口氏は指摘するが、新型ジムニーの登場で流れが変わった。
「グッと快適になり、特に排気量1,500ccのジムニーシエラは走行性能が上がり、長距離走行がラクになりました。外観もカッコよくなり、旧型ジムニーとは違うユーザー層への広がりや、好まれる乗り方も変わってきた。そこへきて、車両法改正や予防安全技術の搭載などで、従来のようなカスタム提案はできなくなりました。当社はジムニー専門店だけでなくスズキディーラー(スズキアリーナ御殿場)の立場として、今後ジムニーをどう訴求するか模索する中で、“ テントを載せれば車中泊できる。最適なものが無いなら作ればいい ” と思った」と山口氏は述べ、企画開発の背景を教えてくれた。
デザイン&安全性能を維持する、本格設計
ベースキャリア(ルーフキャリア)を設置してルーフテントを載せる。それが一般的なスタイルだが、山口氏は「それだと見映えもバランスも悪い」と却下。ジムニーのデザイン性を損ねず、純正オプションのような美しいフォルムで、低重心かつ軽量。女性ひとりでも設営しやすく収納もラクで、自動ブレーキなどの安全性能をしっかり維持しながら走行できて車検も通る、国内製造(御殿場もしくは静岡)で、定価は最小限におさえたい。
「それなら、レーシングカー製造の由良さんに!」と自社カマド小林社長の一声で決定。地元・御殿場でレーシングカーのデザインや設計製作などを手掛けるムーンクラフト株式会社(代表取締役の由良拓也氏は「違いのわかる男」として、1984年頃にコーヒーのテレビCMに出演)に、設計・製作を依頼することに。世界に誇れる一流品を作ろうと、何度となくミーティングを重ね、設計図の完成まで1年半を要している。
必ず実現したかったのは、高身長でも足を伸ばせる広さで、骨組みを斜め上に跳ね上げる仕組みになっている。また、テント生地にも強いこだわりがある。ウエットスーツにも使われる「ネオプレーン」を採用。保温性・防水性・遮光性に優れ、結露も少ない。就寝位置が高いため、周辺キャンパーの動きや野生動物の被害を受けにくく、ぐっすり眠れるという。
車検に通り、保証は1年
御殿場市で老舗の自動車整備・車検・修理、旧車のレストアなども手掛ける株式会社カマドが、自信をもって展開するルーフテントで、車検にも通る商品ゆえ安心感は高い。不具合が発生した場合は同社が対応してくれる。取扱説明書に基づいた通常使用に限り、1年間の保証があるのもうれしい。
ルーフテントの販売・取付は同社でのみ行っており、取付費用込で提供価格は税込770,000円。「この価格設定に、高い! とのお声がありますが、当社で現物をご覧いただくと納得される方がほとんどです」と山口氏。本年11月からモニター体験ユーザーが使用中で、そのフィードバックを受けながら、今後改良を続けていく予定とのこと。開発ヒストリーやわかりやすい取扱説明の動画などが、カマドの公式YouTubeチャンネルに公開中のため、購入検討の参考情報としてチェックするとよいだろう。