注目は走る「T型フォード」、カウンタックと並ぶ…小樽クラシックカー博覧会 | CAR CARE PLUS

注目は走る「T型フォード」、カウンタックと並ぶ…小樽クラシックカー博覧会

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かつて、スーパーカーブームを象徴していたランボルギーニの『カウンタック』が2台展示されていた。写真は1985年モデルの50000V。
  • かつて、スーパーカーブームを象徴していたランボルギーニの『カウンタック』が2台展示されていた。写真は1985年モデルの50000V。
  • 蒸気機関車との共演も随所に見られた小樽クラシックカー博覧会。この日ばかりはクラシックな鉄道車両たちも脇役だった。
  • ホンダのオープンカー『S800』(1966年モデルのAS800)の脇を通る蒸気機関車『アイアンホース号』。
  • 小型の商用車も見逃せなかった小樽クラシックカー博覧会。写真は『ダイハツミゼット』の1964年モデル。背後の気動車(キハユニ25形)とも、どこかで共演していたに違いない。
  • 完膚なきまでにシンプルなミゼットのステアリング部。
  • ミゼットのシフトレバー。わずか3速で、オーナーいわく「せいぜい走れて60km/hでしょう」。
  • 注目を集めていた「T型フォード」。プロトタイプは明治時代の1907年に完成。1911年には日本にもフォードの代理店が現れ、当時の価格で293万円で売られていたという。
  • もちろん左ハンドルの「T型フォード」。プロジェクトのメンバーによると簡素でかえって扱いやすいという。

クラシックな鉄道車両と共演する珍しいシチュエーションのクラシックカーイベントが9月11日に北海道小樽市で開かれた。

これは北海道の歴史的な鉄道施設や鉄道車両が一堂に集まった小樽市総合博物館で開催された「小樽クラシックカー博覧会」で、2007年以来、毎年開催されていたが、今回はコロナ禍の影響により3年ぶりの開催となった。

参加条件は、1988年以前に製造された二輪以上の国産車や外国車が基本だが、1995年登録以前のものなら基本条件の同型車であれば参加できるという。

当日は、9時30分開始へ向けて自走できる車両が続々とレトロな街並の小樽市内に集結。参加車両はおよそ90台で、個人的には昔、憧れていたホンダ『プレリュード』や日産『スカイラインRS』、ダイハツ『ミゼット』の姿が嬉しかったが、なんといっても来場者の注目を集めていたものは、最古参のフォード『FORD Model T』だったようで、第1回以来の登場とか。

日本では「T型フォード」と呼ばれており、1926年に製造。ぎりぎり大正時代に生まれた車で、同型車は国内に数台しかないということだが、本国・アメリカではレストアしながら乗り回している人がいるということだ。

保有者は、1924年に設立された自動車運転技能教授所(いわゆる自動車学校)を前身に持つ学校法人北海道科学大学で、かつては教習車として使用。1957年、後身となる北海道自動車短期大学の開学5周年を記念して最初のレストアが行なわれ、以後、動態保存、静態保存を繰り返していたが、法人創立100周年を迎える2024年に向けて、2018年に再生プロジェクトが始動。動態保存へ向けての整備が始まったという。

整備に際してプロジェクトのメンバーがこだわったことが登場当時の姿で、12V配線となっていた電気系統をすべて撤去し、登場当初の6Vバッテリーを使えるようしたほどの熱の入れようだった。

100年近い車齢であることからもちろん整備は苦難の連続だったという。エンジンスターターをアメリカの「T型フォード」専門店から取り寄せ交換したものの、エンジンを始動できず。検証の末、点火プラグを外し、燃料室の圧力を失くした状態でエンジン始動に成功したという。しかし、すぐにエンストしてしまうトラブルに見舞われ、クラシックカー博覧会終了後の撤収時も、案の定、エンストしてしまい、メンバーが手押しで敷地外に移動させるひと幕があった。

走る「T型フォード」

メンバーの話によると、今後もさまざまなイベントに参加するということで、創立100周年でのお披露目時には大学がある札幌市手稲区内での走行も検討されているという。もちろん車検が通らないため、特定の敷地内での走行に限られるが、願わくば、北海道に残る現役最古の蒸気機関車『アイアンホース号』(これもアメリカ製)との並走も見たいものだ。

《佐藤正樹》

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