幕張メッセで10月9日に開幕した「農業WeeK / 次世代農業EXPO 2019」には、農作業の効率化、生産性の向上を図るためのドローンがいろいろと展示されている。そんな中で、ダイハツ工業はそのドローンが離発着できる軽トラックを開発、展示した。まるで小さな“空母”のようだ。それは『ハイゼット・トラック』の荷台を改造したもので、二層に分かれている。上にドローンを乗せる金属板が設置され、その金属板は後方にスライドできるようになっている。その下は予備のバッテリーや農薬、除草剤、肥料などを置ける収納スペースで、運転席の後ろにはアンテナが立っている。通常のハイゼットよりも荷台が頑丈につくられているそうだが、なぜダイハツがこんな軽トラックをつくることになったのか。そこには切実な問題があった。「軽トラックを使用している農家がどんどん減っている。なんとか農家を助けて豊かにしていかないと、軽トラックの需要は減って共倒れになってしまう。そこで、ドローンをつくっているナイルワークスとコラボして、今回の軽トラックをつくって参考出品した」とコーポレート本部副本部長の谷本敦彦氏は説明する。ナイルワークスのほうも、ドローンでなんとか農家の役に立ちたいと考えており、ダイハツから話が来たときには二つ返事でOKしたという。そして、1年かけて完成させた。ダイハツが離発着ポートの設計など荷台づくりを担当し、ナイルワークスがドローンが確実に離発着できるシステム制御を担当した。ただ、この形に完成させるまでにはいろいろと苦労があったそうだ。ダイハツはクルマの開発に当たって、農家からさまざまな要望を聞いた。しかし、その要望をすべて盛り込んでしまうと、積載量の制限である350kgをオーバーしてしまう。「必要なものを整理して、350kgに収まるようにするのがたいへんだった」と谷本氏。ドローンは完全自動運転のナイルワークス製「Nile-T19」(約500万円)で、使用する場合は金属板を後方にスライドしておく。すると、ドローンが自ら飛んでいき、高精度で農薬散布などを行う。そして、バッテリーの容量が少なくなると、その荷台に戻ってくるのだ。ただ、事前に田んぼなどの測量をやっておく必要がそうだ。「これまで農薬などの散布は4人がかりで行っていたが、この軽トラを使えば1人で行うことができる。しかも、ドローンが自動で荷台の上に戻ってくるので、ドローンを荷台に載せる作業をする必要もない」と谷本氏は話す。文字通り、農作業の負担を軽減できるわけで、高齢者にとっては腰を痛める心配もなく、実に有り難い。もちろん、普通の軽トラックとしても使用できる。価格については今のところ未定で、販売についてもリースにするか検討している。現在、地域の農家と付き合いのある販売店とどういう形態が農家にとっていいのか話し合いを進めているところだという。「なかなか各農家に1台というのは難しいので、地域で1台購入してもらって、誰でも使えるようにしていくのが一番いいのではないか。いずれにしても、農家を含めてみんなで知恵を出し合って、いい方法を見つけていきたい」と谷本氏と話し、すでに売って欲しいという農家もあるという。将来的には自動で充電もできるようにして、24時間稼働できることを目指しているそうだ。
コスト削減とカーボンニュートラルに貢献!日本でも市場広がる“再製造品”に中国企業も熱視線【アウトメカニカ上海2024】 2024.12.9 Mon 23:31 12月2日~5日まで、中国・上海のNational Exhibition and Conve…