運転席に座ったとたんに目が点である。これがボルボなのか。ボルボが社命をかけて追求する安全性。インテリアのデザインやスイッチの位置やカタチなど、計算された理念のもとに作られてきたはずだというのに、この凄まじい変わりよう。これまでのクルマたちと似ている部分は、どれだけ探しても見つからない。ITがクルマと合体しつつある今、培ってきたものをすべてゼロにもどして、新しいボルボを作る決意がものすごいオーラとともに伝わってくる。センターパネルにどかんとつけられたタッチパネルは、そもそもこんな大きさでは電力のほうがかかるのではないか心配してしまう。しかし、最初に感じる違和感も、操作は超絶しやすい。タッチパネルが大きい分、表示も大きいので運転中でも見やすいのだ。これだけ使いやすいと、電力が…などとは言っていられない。安全第一、使いやすさ優先だろう。大きなボディサイズに、よいしょと乗り込みアクセルを踏んだとたんその軽さにびっくりする。この巨体をまったく感じさせない加速感。しかも静か。遮音もさることながら、モーターアシスト恐るべしである。アシスト用の電力が減ってきたときは、チャージモードにすれば充電が可能。そのときは、アクセルの踏みごたえが一気に重くなる。重いといっても、通常のHVモードが軽すぎるのでこんなものかという感じなのだが。ちなみに、チャージできるのは、バッテリーの約3割までに制限してある。PHVなのだから、基本的にバッテリーへの充電は外部電源からというポリシーからだそうだ。PHVを購入しても結局、外部充電が面倒くさくてHVとして使ってしまうパターンは多いようで、それでは二酸化炭素削減にならない。ボルボのこの“規制”は、まったくもって納得である。■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコン パクトカーを中心に取材するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユー ザー視点でのインプレを執筆。
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