東北初開催迫る『ジュニアメカニック2025 in 東北』の狙いとは? 東北運輸局 玉屋部長「子どもたちと保護者の記憶に残したい」 | CAR CARE PLUS

東北初開催迫る『ジュニアメカニック2025 in 東北』の狙いとは? 東北運輸局 玉屋部長「子どもたちと保護者の記憶に残したい」

特集記事 インタビュー
国土交通省 東北運輸局 自動車技術安全部 部長の玉屋 博章氏
  • 国土交通省 東北運輸局 自動車技術安全部 部長の玉屋 博章氏
  • 9月4日に実施された『ジュニアメカニック2025 in 東北』第5回 実行委員会の様子
  • 昨年10月に、福岡で開催された『ジュニアメカニック2024 @ 福岡』は大盛況に
  • 『ジュニアメカニック2025 in 東北』開催チラシ

国土交通省 東北運輸局も主催に加わり、東北エリアで初となる入場無料の小中学生向け自動車整備体験イベント『ジュニアメカニック2025 in 東北』が9月20日(土)・21日(日)に宮城県仙台市の夢メッセみやぎで開催される。

この催しは、自動車業界向けのビジネス展示会『オートアフターマーケット東北2025』と同時開催されるイベントだが、どのような経緯で国土交通省 東北運輸局が主催団体として参画するに至ったのか。同局 自動車技術安全部 部長の玉屋 博章氏に話を聞いた。

自動車整備士を “なりたい職業” の候補に

玉屋部長がまず触れたのは、自動車整備士の人材不足の現状だ。全産業の平均有効求人倍率が約1.5倍であるのに対し、自動車整備士は令和6年度で5倍を超えている。高校生や専門学校生、大学生といった就職希望の学生たちに自動車整備士の仕事をアピールしても、時すでに遅し。卒業前に他の職種で内定をもらっているケースがほとんどのため、従来通りの採用活動は手遅れ感が否めない深刻な状況に陥っている。

「この状況を変えるには、もっと早い段階から “なりたい職業” の候補に自動車整備士を入れてもらう必要がある」と玉屋部長は言い切る。そこで着目したのが、国土交通省 九州運輸局の発案で昨年2024年10月に初開催された自動車整備体験イベント『ジュニアメカニック2024@福岡』だった。

同イベントは、自動車業界向けのビジネス展示会『オートアフターマーケット九州2024』と同時開催され、福岡を中心とした自動車メーカー系ディーラー11社が体験コーナーを設けて実施。初の試みゆえに来場者が集まるのか不安があった中、地元テレビ局のニュース番組で開催初日の様子が放送されたこともあり、会期二日間で432名が来場した。

プロの自動車整備士さながらのユニフォームに着替えた子どもたちが、工具を手にしながら一生懸命に整備体験にチャレンジする様子が会場の各所で見られ、笑顔と笑い声が溢れた。その姿を通じて保護者たちは自動車整備士を身近に感じ、子どもたちにレクチャーするプロたちは、自動車アフターマーケットに従事することの尊さを実感する貴重な場となった。この成功事例を知った玉屋部長は「ぜひ東北でも実施したい」という強い気持ちから、今回、主催団体として参画するに至る。

参加企業に広がる共感と協力

今回、東北エリアで初開催となる『ジュニアメカニック2025 in 東北』には、仙台を中心とした自動車ディーラーなど20以上の事業者や団体が参加企業としてエントリーしている。

玉屋部長に取材した当日、エントリー企業各社が一同に出席する5回目の会議が行われ、積極的な意見や質問が飛びかっており初開催への熱量を感じた。

その様子について玉屋部長は「それだけ多くの地元企業が人手不足を痛感していることが背景にあり、自動車業界を良くしたいという共通の思いを持って参加されています」と述べる。人材不足を嘆くばかりではなく、国土交通省と民間の自動車業界関係者が連携しながら “自ら動いて情報発信する” 姿勢の大切さが垣間見えた。

9月4日に実施された『ジュニアメカニック2025 in 東北』第5回 実行委員会の様子

子どもと保護者の “ 記憶に残る ” 体験の場にしたい

玉屋部長は今回のイベントを行うことで、子どもたちだけでなく、自動車整備士の仕事について詳しくない保護者世代にも、その重要性や専門性を知ってもらう機会にしたいと狙いを語る。

「お子さんたちが本物の工具に触れ、現場のプロから説明を受けながら車両を触る実体験が重要で、その体験はきっと記憶に残ると思います。1度の開催ではなく、長期的に継続する必要性も感じています。

また、お子さんはもちろんですが、保護者の方にも自動車整備士の仕事を知って頂ける機会を設けたいと考えました。近年普及が進むADAS搭載車に必要なOBD車検やスキャンツール、エーミング作業を知ることで、整備費用についてもご理解頂ける場になると感じています。

このイベントを通じて、自動車に触れる楽しさ、定期的なメンテナンスの必要性、そのメンテナンスを行うにはプロの専門家(自動車整備士)が欠かせないことをぜひ知って頂きたい。見るだけでなく、乗る・触る・作業を行うことができるのが最大の特徴です」と魅力を言葉で伝える。

最後に玉屋部長は「現役のプロの皆様にもぜひ来場頂き、イベントに参加する子どもたちが自動車整備の仕事に新鮮さや面白さを感じている姿を見て、ご自身の仕事の尊さや価値を再発見して頂きたい」と自動車アフターマーケット業界に従事するプロたちに向けて呼びかけた。

なお『ジュニアメカニック2025 in 東北』の参加対象は東北エリアの小中学生(安全確保のため保護者同伴必須)で、公式サイトにて来場事前登録を行えば入場料が無料になる。

▼『ジュニアメカニック2025 in 東北』参加エントリー企業・団体
いすゞ自動車東北株式会社 / 株式会社シュテルン仙台 / 株式会社スズキ自販宮城 / スバル東北株式会社 / 仙台トヨペット株式会社 / 株式会社日産サティオ宮城 / 日産プリンス宮城販売株式会社 / ネッツトヨタ仙台株式会社 / 株式会社ホンダモビリティ東北 / 三菱ふそうトラック・バス株式会社 東北ふそう / 宮城ダイハツ販売株式会社 / 宮城トヨタ自動車株式会社 / 宮城日産自動車株式会社 / 宮城日野自動車株式会社 / 宮城ホンダ販売株式会社 / 株式会社ヤナセ 札幌東北営業本部 / UDトラックス株式会社 東北地域 / 一般社団法人 日本自動車連盟宮城支部 / 京都機械工具株式会社 / 一般社団法人 宮城県自動車整備振興会 / コマツカスタマーサポート株式会社 東北カンパニー / 仙台東警察署 / 仙台市消防局 宮城野消防署 / 学校法人 角川学園専門学校 花壇自動車大学校 / 学校法人 赤門学院専門学校 赤門自動車整備大学校 / 宮城県立仙台高等技術専門校 ※順不同

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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