昨年の3倍、1,200人超が来場した『ジュニアメカニック2025@福岡』…九州運輸局 森田整備課長の手応えと思い | CAR CARE PLUS

昨年の3倍、1,200人超が来場した『ジュニアメカニック2025@福岡』…九州運輸局 森田整備課長の手応えと思い

イベント イベントレポート
昨年の3倍、1,200人超が来場した『ジュニアメカニック2025@福岡』…九州運輸局 森田整備課長の手応えと思い
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2025年10月4日(土)・5日(日)の2日間、福岡市博多区のマリンメッセ福岡B館は、楽しみながら自動車整備・修理に関わる体験にチャレンジする子どもたちの笑顔と熱気に包まれた。

国土交通省 九州運輸局が企画を発案し、2回目の実施となった小中学生向けの本格的な自動車整備体験イベント『ジュニアメカニック2025@福岡』には昨年の約3倍となる1,278名の親子連れが会期中に来場。地元テレビ局の放映もあり、入場受付には行列ができるほど大盛況となった。

地元ディーラーや業界団体が多数参加

昨年に続き2回目となった今回は、前回を上回る16の地元企業・団体が参加。地元ディーラー、自動車整備学校、車体整備協同組合、日本自動車連盟に加え工具メーカーの協力もあり、プロが現場で使用する工具や設備を使用し、実車で様々な体験を楽しめるコンテンツが用意された。屋外エリアには高所作業車や20トン超の大型トラック、冷凍車、自衛隊車両、大型バス(大型第二種教習車)など多彩な車両があり、子どもと一緒に保護者たちも自動車整備・修理について興味・関心を深める機会となった。

子どもたちは「自動車整備」や「塗装」に興味津々

ジュニアメカニックの企画を発案した国土交通省 九州運輸局に在籍する自動車技術安全部 整備課 森田恵整備課長は2度目の開催を終え、大きな手応えがあったと述べる。

「大盛況で、本当に驚きました。開場して1時間もしないうちに体験コンテンツの予約が埋まってしまうほどで、嬉しい限りです。会期初日は午後から悪天候に見舞われましたが、会場では子どもたちが目を輝かせながら、本物の工具や車両に触れる姿が随所で見られました。

今回、特に高い人気を集めていたのは、プロが現場で使用する塗装ブースでスプレーガンを使い、水性塗料で実車にペイントする塗装体験でした。カラフルな塗料を吹き付ける子どもたちの表情は真剣そのものでした。屋外でも塗装体験が行われており、そちらも人気でしたね」

森田整備課長は、子どもたちの様子を見て気づいたことがあった。インパクトレンチでタイヤのボルトを締めたり、インパクトドライバーでエンジンのネジを外して分解したりと、電動工具の振動やパワーをダイレクトに感じられる作業は、子どもたちの喜びの度合いが高く、達成感からくる笑顔が眩しかった。

意外だったのは、VR運転体験。実車ではなくバーチャルな運転体験は「子どもたちにとって、どうなのだろう?」と森田整備課長は思っていたという。子どもたちの実際の反応は、大盛り上がり。列ができるほど人気だった。運転免許を持てない子どもたちが、リアルなグラフィックの中で自由に車を走らせる体験はゲームをプレイする感覚だったようで、子どもたちは夢中になって楽しんでいた。

VR運転は今回のイベントのためにメーカーに依頼して特別に持ち込まれたもので、ディーラー店舗でも体験できないコンテンツだった。森田整備課長は「実際の整備体験ではありませんが、自動車や運転に興味を持つ入り口として、バーチャル体験は大きな役割を果たしていたと思います」と振り返った。

屋外で大規模に展開された体験コンテンツについても、森田整備課長は高く評価する。昨年に引き続き、高所作業車への乗車体験や大型トラックのワイパーを動かしたり、普通免許対応の小型トラックをベースにしたキャンピングカーの内部見学も注目度が高かった。このほか、バイクやスポーツカー、教習用の大型バスの乗車体験もあり、屋外エリアも大いに盛り上がっていた。

子どもと保護者に整備の重要性を伝える機会

イベントの目的は、次世代を担う子どもたちに自動車整備士という仕事の魅力を伝え、将来の人材につなげることにある。その点を踏まえながら、森田整備課長は “もう一つの重要な目的” が達成できたことに、大きな手応えがあったという。

「本来の目的は、未来の自動車整備士の人材確保ですが、我々としては自動車の安全・安心を根底で支えている点検整備の重要性を広く知って頂きたい思いがありました。子どもたちだけでなく保護者の方も一緒に参加して、自動車整備や塗装などについて理解を深める機会になったことが本当に良かったです。

我が子がタイヤ交換に奮闘する姿を見守りながら、『タイヤの空気圧って大切なんだね』と頷く父親や、分解されたエンジンを前に『ここで爆発が起きて、だからカーボンの清掃が必要なんですね』とプロの整備士の説明に熱心に耳を傾ける母親の姿を会場の至る所で見かけました。子どもたちが楽しむ姿を通して、保護者が自ら愛車のメンテナンスの必要性を再認識する。それは、まさにこのイベントが目指した理想的な姿です。保護者の方々から、メンテナンスの大切さが分かったという声を直接聞くことができ、やりがいを感じました」

参加企業にも大きなメリット

イベントに参加した企業にとっても大きな価値があったことが窺える。今回初参加となった地元ディーラーは、基盤で通電の仕組みを学ぶコーナーや、車両のボンネットを開けて日常点検体験を行ったり、新型車の各所に隠されたメーカー施策の“かくれマーク”探しなどを用意。子どもたちが宝探し感覚でマークを探している最中、父親たちが熱心に新型車を眺める光景が見られた。ディーラー担当者は「新型ですか? と保護者たちから質問も多く、プロモーションとしても手応えがありました」との声もあった。

森田整備課長は、来年に向けた課題も口にする。来場者が殺到して予約枠がすぐに埋まってしまい、体験できなかった子どもたちもいた。危険を伴わないコンテンツであれば問題ないのだが、エンジン分解体験などは怪我の恐れもあるため予約定員数で保険適用の対応が取られており、追加の体験受付を行えなかったケースもあった。そこで見学を了承したところ、イベント終了時までずっと見学していた子どもがおり、ディーラー担当者も心苦しい思いだったという。来年はコンテンツの予約受付枠を増やし、より多くの子どもたちが安全に楽しく体験できるように工夫や見直しが必須だと、森田整備課長は改善に向けて取り組む考えを伝えた。

九州運輸局 自動車技術安全部 整備課 森田恵整備課長(中央)をはじめ、整備課 土田篤専門官(左)と整備課 取違康隆専門官(右)の3名は、会期二日間にわたって「ジュニアメカニック@福岡2025」に来場

整備士不足という自動車業界全体の課題解決には、子どもと一緒にカーオーナーである保護者たちが、高度化する自動車整備・修理の現状や、プロの現場で使用されている最新設備などを知ってもらう機会があることは実に重要だろう。森田整備課長は来年以降も長期的に「ジュニアメカニック@福岡」を開催したいと話していた。子どもたちの笑顔と、それを見守る大人たちの真剣な眼差しは、自動車アフターマーケット業界の明るい未来に繋がっていく。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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