光岡自動車は、人材で「100年続く会社を目指す」…内定式で社長がライブ演奏 | CAR CARE PLUS

光岡自動車は、人材で「100年続く会社を目指す」…内定式で社長がライブ演奏

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光岡 バディ
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  • 光岡自動車が9月に生産終了する オロチ (写真:ファイナル オロチ)
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  • 光岡自動車の光岡章夫社長
  • 光岡自動車 内定式

企業の未来を担う若手社員の採用は重要な経営戦略の1つだ。殊に、100年に1度と言われる大変革期に突入した自動車業界において、人材不足や育成環境の課題は規模の大小に関わらずどの会社も抱えていることだろう。

光岡自動車は11月22日に2023年度新卒者内定式を実施した。来年創業を55周年を迎える日本で10番目の自動車メーカーは、どのように「人」を採用し育てていくのか。人事・採用担当者に聞いた。

◆独創的なモデルを次々と世に

光岡自動車は1968年に富山県で個人創業された光岡自動車工業に端を発する。当初は自動車板金業を行っており、その後中古車販売事業もスタートした。79年に株式会社光岡自動車を設立し、82年には自社オリジナルカーの開発・製造・販売を開始。原付免許で運転できる50ccエンジン搭載の「ゼロハンカー」を発売した。

93年に改造車『ビュート』(日産『マーチ』ベース)を発売。翌94年に発表したオリジナルカー「ゼロワン」は、96年に型式認定を取得し、国内10番目の乗用車メーカーとして認可された。その後も、『オロチ』や『リューギ』(トヨタ『カローラアクシオ』ベース)など個性あふれるデザイナーと熟練の職人が手掛けた独創的なモデルを世に送り出していく。近年では『ロックスター』(マツダ『ロードスター』ベース)や光岡初のSUV『バディ』(トヨタ『RAV4』ベース)が注目を集めている。

現在は、このオリジナルカーの開発・製造・販売行う「ミツオカ事業」、VWやアウディ、フィアット、ジープなどの正規輸入車を取り扱う「正規ディーラー事業」、新車・中古車の輸出入販売を行う「BUBU事業」を展開。光岡自動車のみで352名、国内グループ全体で462名の従業員を抱える(2021年12月末現在)。

◆“人”の部分に注力することの重要性

光岡自動車が新卒採用を開始したのは4年前。初年度は19名を採用した。その理由について人事担当の坂井晶氏(同社監査役)は「これまでは開発や設備に経営資源を投じてきましたが、100年続く会社を目指す上で、“人”の部分に注力することが重要だと考えました。特に会社を支える軸となる新卒の採用は欠かせない」と話す。

コロナ禍の影響もあり、採用はリモートと対面を組み合わせて実施。「面接の際には、“クルマが好き” “光岡自動車が好き”といった本質を見極め、また入社前後のギャップが生じないように当社の実態を予めきちんと伝えるようにしている」という。

今年はメカニック8名、カーライフプランナー5名、本社人事1名、ショールームアテンダント3名、デザイナー1名、クラフトマン2名(うち障害者枠1名)の計20名が内定した。メカニックは過去最多の採用数で、「若い人のクルマ離れが叫ばれていますが、特にメカニック人材の確保は中途でも苦労するところ。新卒で採用し、社内で育成する方針です」とのことだ。

これまでは中途採用で即戦力を採用してきたため、育成環境を整える努力もしているという。今後は富山に研修施設を作り、各分野の既存社員を「講師」として人材育成を行う体制を構築したいそうだ。「まずは富山にミツオカ塾ならぬメカニック養成所を開設したいという構想があります。高校生、専門学校生問わずメカニックを志す新卒者の採用強化に力を入れ、経済事情から進学できない高校生を3級整備士として育成することも考えています。そのように育成の仕組みを内製化することで、光岡の精神をしっかりと伝えていきたい」(坂井氏)

ミツオカ事業の要となるデザイナーも1名を採用。「光岡のクルマは万人受けするものではありません。でも、クルマに対する希望をデザインで具現化し、『何だろうこれ?』という興味関心を持ってもらえるものだと思います。そのような独自の魅力を発信する若手人材も重要視しています」(坂井氏)

◆社長がライブ、ユニークな内定式の真意

そんな独創的なクルマを世に送り出してきた光岡は、内定式もユニークだった。場所は東京・六本木の老舗ライブハウス。内定式後のパーティー、ではなく、始めからこの場所で行われるのだ。取引先であるステランティスジャパンのポンタス・ヘグストロム社長(当時)やゼネラルモーターズ・ジャパンの若松格社長が祝辞を述べ、光岡自動車の光岡章夫社長がスピーチした後、内定者一人ひとりに内定書が授与された。ここまでは通常の流れである。

そしてしばし歓談の後始まったのが、なんと光岡社長がボーカルを務めるバンド「Acting」によるライブ演奏。GMジャパンの若松社長もゲスト参加しドラム演奏を披露したのだった。ライブ演奏の後、光岡社長に話を聞くと「何を伝えたかったかというと、“遊び”がないとダメってこと。遊びや楽しさがないと何事も続かない。それをこの場で知ってもらいたかった」と語った。4月の入社式では、新入社員に社内のテストコースで光岡のクルマをドライブしてもらうのだという。内定書を手渡す際や曲の合間に「(来年4月に)待ってるよ!」と声をかけ、会場内でも内定者と気さくに話す社長の姿が印象的だった。

坂井氏は最後に「自動車業界はエコへの取り組みに注力していく方向ですが、我々は大手メーカーと同じことをやっていては生き残れません。デザインやクラフトマンシップを始め、どの事業でも光岡だからできることがある」と話した。「夢、挑戦、次代へ。」というスローガンを掲げる光岡自動車は、その独自性を貫きながら100周年を迎える準備を進めている。

内定式で社長がライブ演奏、光岡自動車は人材で「100年続く会社を目指す」

《吉田 瑶子》

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