大切な愛車のボディは、新車のような美しさを保っていたいもの。より長く艷やかな光沢を維持するために、費用をかけて愛車にコーティングを行っている人もいるだろう。しかしながら、愛車でドライブに出かける頻度が高ければ高いほど、飛び石をはじめとするさまざまな悪影響を受け、いつの間にかボディに小キズやヘコミを作ってしまう。街で目にする車の中には、フロントバンパーを擦ったまま修理せず、そのまま乗り続けているケースも少なからずあるだろう…。これからも長く乗り続けたい大切な愛車なら、できるだけ早く、本当に信頼できるプロショップに相談し、鈑金塗装やメンテナンスを行ってほしい。◆意外と知らない? クルマの「塗装」工程クルマいじりが好きな読者には、釈迦に説法かもしれないが、クルマの塗装がどのように行われているのか、しっかり理解している人はどれくらいいるだろうか。新車の塗装は、自動車メーカーの製造工場でロボットなどを活用しながら行われているが、カーオーナーの「愛車」となったクルマの塗装は修理工場などで行われている。その現場での作業工程や、どのような工夫をこらして美しく仕上げられているのかを、知らない人は意外と多いかもしれない。◆熟練の職人が、次世代を担う若人たちへ知識と技を伝える!本記事では、2019年11月15日(金)に、長野県飯田市にある「長野県飯田技術専門校」自動車整備科2年生のカリキュラムのひとつとして行われた『塗装講習』を例にあげて、塗装の基本を紹介したい。この日、塗装講習に参加したのは4名の若き青年たち。クルマが好きで整備士になりたい思いから、地元の高校を卒業後、長野県飯田技術専門校の自動車整備科へ入学。在学中に二級自動車整備士の資格を取得し、来春からは地元ディーラーや自動車修理のプロショップなどで社員として就職することが決まっているという。講師を務めたのは、飯田市内で自動車整備・修理のプロショップを営む企業11社が加盟する「車体組合下伊那支所」の会員である、相互車体有限会社(飯田市中村75)の内山嘉彦社長と、有限会社リーダースカーセンサー 北方サービスステーション(飯田市北方1534-4)の塗装部門担当者、さらに有限会社飯田扇屋塗料(飯田市上郷飯沼527-1)の車両部長がサポートとして参加された。車体組合下伊那支所は、12年前から、長野県飯田技術専門校とタッグを組み、飯田市内で自動車整備・修理に従事する人材を育成する取り組みを継続している。働きながら職人の背中を見て技術を覚える、むかし気質のやり方ではなく、職人自らが生徒たちと向き合い、言葉をつくして丁寧に説明しながら、塗装の基本をレクチャーするのが特徴で、参加した生徒たちからは「わかりやすい」と好評を得ている。今回の講習では、下地処理が施された講習車両を、塗装ブース内でスプレーガンを用いて塗装するカリキュラムで、約3時間(15分休憩含む)にわたって実施された。塗装講習の様子は、以下の写真やダイジェスト動画でご覧いただきたい。▼職人が教える「塗装」のキホン ダイジェスト動画◆「新車肌」仕上げは数年間の経験が必要熟練の塗装工たちが行っている、本格的な塗装は実に奥深い。新車時のような塗装、すなわち「新車肌」に限りなく近いクオリティで仕上げられるようになるには、最低でも5年の経験を積む必要があると、相互車体の内山社長が教えてくれた。クルマの塗装は、自動車整備・修理において、他の作業とは一線を画する「花形」。塗装職人の腕がものをいう究極的な手仕事であることを、今回の塗装講習で垣間見たことで、鈑金塗装の魅力と面白さ、そして計り知れない奥深さを感じた。長野飯田技術専門校で学び、巣立っていく青年たちのように、クルマ好きをきっかけにして、自動車整備や修理、鈑金塗装に携わる若人が増えることを強く願う。<長野県飯田技術専門校について>長野県飯田技術専門校は、長野県が設置運営する、公共職業能力開発施設。主に若者向けの普通過程として、自動車整備科(2年制)と、木造建築科(1年制)がある。このほか、主に在職者・求職者向けの短期過程として、スキルアップ講座や民間活用委託訓練などもある。一般入学試験の応募期間は、令和元年12月9日(月)~令和2年1月8日(水)まで。詳しくは、長野県飯田技術専門校に問い合わせてほしい。電話番号 :0266-22-1067Webサイト:https://www.pref.nagano.lg.jp/iidagisen/index.html
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