車体整備の現場で「AI塗装ロボット」導入が進む台湾…テスラ認定工場やトヨタ系ディーラーで稼働 | CAR CARE PLUS

車体整備の現場で「AI塗装ロボット」導入が進む台湾…テスラ認定工場やトヨタ系ディーラーで稼働

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車体整備の現場で「AI塗装ロボット」導入が進む台湾…テスラ認定工場やトヨタ系ディーラーで稼働
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車体整備の現場では、ますます高度な鈑金塗装技術が求められる中、熟練職人の高齢化や若手人材の不足が深刻化している。日本から近い台湾でも同様の課題を抱えており、その解決策として、台湾のテスラ認定工場やトヨタ系ディーラーでは、AI塗装ロボット「PaintGo」の導入が増えていることがわかった。

台湾のテスラ認定工場やトヨタ系ディーラーで、AI塗装ロボット「PaintGo」の導入・稼働が増えている

AI塗装ロボット「PaintGo」

車体整備工場向けのAI塗装ロボット「PaintGo」は、2025年2月開催の『国際オートアフターマーケットEXPO2025』で日本初上陸となり、大きな注目を集めた。一方で、高い品質が求められる日本の車体整備の現場で、補修塗装をロボットで自動化できるものなのか、その点を心配する声が少なくなかった。そこにきて、日本からほど近い台湾で導入が増えているという動きは、実に興味深い。

AI塗装ロボット「PaintGo」は、2025年2月開催『IAAE2025』で日本初上陸となり、大きな注目を集めた

台湾でのAI塗装ロボット運用実態を取材

そこで当編集部は、台湾でのAI塗装ロボットの運用実態や日本市場での導入メリットを探るべく、PaintGoの日本販売代理店であるニジェス株式会社(本社:埼玉県川越市)の涂 集勝社長に取材を依頼。涂社長とともに台湾に赴き、AI塗装ロボット導入事業者のテスラ認定工場・高登車體塗裝藝術股份有限公司(以下、高登車體/コウトウシャタイ)の黃 崇誠代表に話を聞くことができた。

鈑金塗装の経験を積んで起業

黃社長は、塗装職人として7年ほど鈑金塗装の修行を行い、台湾南部の高雄市で2000年に起業。 “ 大きな集団の末端にいるよりも、小さな集団でもいいからそのトップになった方が良い ” という鶏口牛後の思いで独立したと話す。

2006年に他社を吸収合併し、現在の社名(高登車體塗裝藝術股份有限公司)に変更。6200坪の規模を誇る巨大な工場を台湾・高雄市に構えている。

AI塗装ロボット「PaintGo」を導入している、台湾のテスラ認定工場・高登車體塗裝藝術股份有限公司

テスラ車の鈑金塗装の受託業務を開始したのは2017年からで、翌2018年に認定工場となる。2026年時点において、台湾にはテスラ直営の店舗も含めて7拠点あり、このうち3拠点とPDIセンターは黃社長が経営に関わるグループ企業で展開している。

今回訪問した拠点の敷地内にはテスラ専用充電器「スーパーチャージャー」が数多く設置されており、待合室では台湾国内向けの「テスラ延長保証サービス」の案内を見かけた。

高登車體の敷地内には、多数のテスラ専用充電器「スーパーチャージャー」を設置
高登車體の待合室で見かけた、台湾国内向けの「テスラ延長保証サービス」の案内

補修塗装の約30%をAI塗装ロボットが担う

黃社長は以前からAI塗装ロボット「PaintGo」に注目しており、試作機の段階から自社で導入。鈑金塗装のプロ目線で気になった点をメーカーに伝えて改善提案を行い、黃社長が求める品質を実現できるようにブラッシュアップして製品化されたことが、今回の取材でわかった。

高登車體の塗装ブースに導入されているAI塗装ロボット「PaintGo」で、ドアを塗装しているところ

開発段階から黃社長が関わっていることもあってか、高登車體では、補修塗装の約30%(主にバンパー以外のパネル)をAI塗装ロボットが担っているという。黃社長は「ロボットは職人の代わりではなく、協力者。職人をより付加価値の高い作業に集中させるためのものだ」と強調する。

高登車體のスタッフは40名で、そのうち11名が塗装を担当。現在は、テスラ車の鈑金塗装に特化しており、テスラ車以外の車両は受け付けていない。月間修理台数は約160台ほどで、台湾での作業工賃(レバーレート)は約12,000円。高登車體グループ3社トータルでのテスラ修理事業の売上は、日本円で年間およそ25億円ほどだという。

黃社長は、AI塗装ロボット導入による結果として、ゴミ(ブリスター)の発生が75%減少し、職人の手作業では16~20箇所発生していたゴミが4~5箇所に激減して、磨き工程の負荷が大幅に軽減されたという。さらに、最大30%の塗料使用量カットも実現。「メーカー推奨の3回塗りを、AIによる緻密な制御で2回に集約しています。40ミクロン以上の膜厚を確保しつつ、材料コストを3割近く削減できている」と黃社長は述べた。

AI塗装ロボット「PaintGo」で、塗装を終えたドア
修理の仕上がりをチェックするブース

日本語対応で「ぼかし塗装機能」搭載予定

今回の取材では、日本語で表記された操作管理画面を見ることができた。専用ソフトがインストールされたタブレット端末をキーボードやマウスで操作する仕様で、管理画面がシンプルでわかりやすく操作しやすそうな印象を受けた。

中でも注目したいのは「ぼかし塗装機能」の搭載が予定されている点だ。取材時(2026年1月11日時点)はテスト段階と表示されていたが、日本の車体整備工場向けとして、ぼかし塗装機能の搭載は大きなポイントだろう。

日本での販売を本格化、実機を「IAAE2026」で展示

PaintGo日本販売代理店であるニジェスの涂社長は「2026年から本格的に日本での販売を開始し、まずは20台ほどの導入を目指したいと考えています。日本は、保険会社との関係性やディーラーに修理を依頼する傾向が高いなど文化の違いはありますが、塗装の作業効率を上げたいと思っている車体整備工場にとって、AI塗装ロボットの導入は大きなメリットがあるはずです」とコメントする。

初期コストは、約1,600万円(設置・教育・初年度システム利用料込)で、ランニングコストは2年目以降から月額18万円のソフトウェア使用料が発生する。対応車種として3,000車種以上のデータを保有。新型車でも20~30分のモデリングで対応可能。推奨の塗装ブースサイズは、高さ2.8m×幅4m×奥行き7m程度。

ニジェスの涂社長は「ぜひ日本の皆さんに、AI塗装ロボットの実際の動きを見てほしいですね」と話し、2026年2月12日~14日に東京ビッグサイトで開催される『国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE2026)』で実機の展示を予定。AI塗装ロボットの実機や動作、日本語対応の操作管理システムを、目の前で見ることができる貴重な機会となるだろう。

AI塗装ロボットで「職人の業務負荷軽減」

台湾の車体整備業界では、AI塗装ロボット導入による均一的な仕上がりと効率性が高く評価されているようだ。今回訪問したテスラ認定工場だけでなく、トヨタ系ディーラーでも既に約10台の導入が決定。中国も含めたグローバルでは、すでに200台以上の販売実績があるという。

今回の取材で、AI塗装ロボットは、職人の作業をすべて置き換える“自動化ツール”ではなく、あくまでも「職人の業務負荷軽減」に貢献する設備だと感じた。車種を判断し、データとの整合性を確認する段取りが重要になるため、車種が限定されるレンタカー・カーシェア車両や、大量の法人リース車両の修理を抱える大規模事業者にとって、AI塗装ロボットの導入には大きなメリットが期待できるように感じる。なお導入した場合、塗装ブースがほぼAI塗装ロボット専用になるため、大規模事業者での利用が現実的だと思われる。

人手不足が深刻化する日本の車体整備業界において、AI塗装ロボットの活用は、職人の負担を減らし、作業の回転率を上げるための新たな武器になり得る可能性があるのではないだろうか。

《カーケアプラス編集部》

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