プロショップの徹底活用法をインストーラーの立場からレクチャしてもらうニューカマー特別編。講師は福岡県のエモーション代表・橋本さん。今回は予算を決めてユニットを選ぶ際のポイントについて紹介してもらった。プロショップを活用して良い音を楽しもう。◆スピーカーの交換を考えるなら取り付け費用を考慮して配分するはじめてプロショップを訪れるユーザーにエモーションの橋本さんにショップサイドからのアドバイスをしてもらうカーオーディオ・ニューカマーの特別編。後編ではシステム選びの基本的なノウハウについて紹介していくこととした。前回は予算をある程度決めておくのは必要とお伝えしたが、例えば10万円の予算を考えているユーザーを想定してみた。「10万円の予算をすべてスピーカーに使うのではなく、スピーカーと取り付け費用に予算をうまく振り分けてください。取り付けにはバッフル、デッドニング、スピーカーケーブルなども含まれています、また調整もプロショップが長けている部分なので良い音を引き出すには欠かせません。スピーカーの能力がすべてだと思っているユーザーもいるようですがそうではありません、総合的な音の良さを引き出すには取り付けは必須なのです」。では、スピーカーの交換を前提に考えると、どのように選んでいけば良いのだろう? はじめてプロショップに訪れたユーザーにはハードルが高いのではないだろうか。「よく言われることですが、自分のいつも聴いているCDや音源を持って行くことです。そしてとにかく時間を掛けて気が済むまで聞くことです。じっくり時間を掛けて決めていくのが大切です」。次に、どのスピーカーが良いのかを見極めていくにはどうすれば良いのだろう。これも初心者にはわかりにくい部分だろう。「どのスピーカーが“良い音”なのかを探していくのではなく、“自分が心地良い”と思うスピーカーを探すようにしてください。これがもっとも間違いない方法です。お買い得品を探すのではなく、自分に合ったユニットを探してください。スピーカー選びは絵画や陶芸作品を選ぶのと同じ感覚だと考えてください」。「スピーカーを選んでいく中で、ショップのスタッフに“このスピーカーが良いんですよね?”とお伺いを立てる必要はありません。スピーカー選びはクイズではありません、ショップのスタッフが答えを持っているわけではないのです。自分が心地良い音だと感じたらそれを選んでください。“俺はこれが良い!”が正解なのです」。◆愛車の弱点を見極めて予算内で効果的に音を良くする方法を提案前編で紹介したとおり、プロショップでは来店したユーザーのクルマのシステムを見て・音を聴くことで弱点を見極めていきます。その上でまず取りかかりたい変更点をアドバイスしてくれる。スピーカー以外に真っ先に取りかかりたい弱点があるならば、スピーカー交換以外のシステムアップを提案するケースもある。ユーザーが思い込みでシステムアップするのではなく、あくまでも愛車の音を良くするナビゲートをしてくれるのがプロショップなのだ。「最初はスピーカーを交換をすると思い込んでいるユーザーも多いですが、その他のケースもあることを憶えておいてください。例えば純正ナビが非常にチープな音の場合もあります。これではスピーカーを交換しても多くは望めません。その場合は最初に取りかかりたいのがナビの交換です。例えば楽ナビ・クラス以上のモデルに交換することで良い音のベースを作ります。さらにこのクラス以上のナビに交換すると調整機能も豊富になるのも魅力です。近年は手頃な価格のナビでもタイムアライメントが装備されています。市販ナビは内蔵アンプがしっかりしているモデルも多いです。これも音に大きく影響しますので要チェックです」。クルマの音を良くする最初の一歩はスピーカー交換だけではないことをプロショップは教えてくれる。どこに弱点があり、予算内でもっとも効果的に音を良くする方法は何なのかを的確にアドバイスしてくれるのもプロショップのワザなのだ。◆ユーザーの聴きたい音を探り出しオーダーメイドで良い音を作り出す予算に合わせてシステムを導入していくには手順があるという。「システム導入時に無理していきなりレベルを上げるよりも、徐々にステップを踏んでレベルアップしていくのが良いでしょう」。その理由は、エントリーユーザーは現時点で自分が求めている音がどこにあるかをまだ把握できていないケースが多いからだ。そこで現在使える予算を考えて、無理なくスタートできるシステムを考えると良いだろう。それでも満足できなくなってきた時に初めて次のシステム変更を考えていけば良いのだ。また、自分が望んでいる音を貪欲に追求することで、プロショップがそれに応えてユーザーの望む音を提供してくれる。お仕着せのサウンドではなく、本当に心地良い音を作り出して提供してくれるのがプロショップの魅力だ。「ユーザーの主義主張を認めるのがプロショップです。ユーザーが好きなジャンルの曲を心地よく聴けるようにするのもプロショップです。ユーザーの聴く曲ならどんなジャンルでも対応できます。例えばパンクが好きなユーザーがやってきた場合、中域をくっきり出す、サブウーファーはハイパスしてスピード感を出すなど、曲調を考えて最良の状態で聴くためのシステム、取り付け、調整を実施します。あくまでも主人公はユーザーなのです。聴きたい音を高いレベルで叶えてくれるのがプロショップだと考えてください。ユーザーに感動してもらいたい、“すごいですね”と言ってもらいたい、そんなことを常に思っているプロショップと付き合うときっと良いオーディオライフが送れます」。このようにユーザーのニーズを形にしてくれるのがプロショップだ。ここまでのレクチャーでプロショップはものを売るだけの店ではないと言うことがわかったのではないだろうか。まずはプロショップに出向いてみよう。自分のフィーリングに合うプロショップと肩肘張らずに気楽に付き合っていけば、良い音を作る力になってくれるはずだ。