はじめてプロショップでインストールをしたユーザーを紹介しているこのコーナー。今回は特別編としてユーザーがプロショップに行く際に知っておきたい情報をショップ側からレクチャーしてもらうことにした。講師は福岡県のエモーション代表・橋本さん。◆プロならではの経験を信頼して音を良くするための相談に望む本格的なオーディオインストールこれからはじめようとしているユーザーに対して、プロショップに行く前にこれだけは知っておきたい情報を今回の講師である橋本さんにうかがった。エントリーユーザーには少し敷居が高いプロショップだが、プロショップの魅力を知った上で、うまく付き合っていくことが良い音を作るために近道になる。プロショップを徹底活用してオーディオライフを豊かにしていこう。「“愛車のオーディオの音をもっと良くしたい”と思っているならば情報収集は大切です。しかし発信源がアマチュアのブログなのか、プロショップのアドバイスなのかでは大きな違いがあります。巷に溢れる玉石混淆の情報を自分で整理して、何が信頼できるかをしっかり見極めるのが第一歩でしょう。その点でプロショップはカーオーディオのプロなので経験や実績に基づいた情報を持っているので信頼が置けます。プロショップに行って相談することが良い音を作る近道になるのはそんな理由からなのです」。毎日カーオーディオを扱っているプロショップは各ユニットの音の傾向、スピーカーとパワーアンプの相性など、さまざまな情報を豊富な経験からインプットしている。普段から聞き込むスピーカーやシステムの数は膨大になり、ユーザーレベルでは及ばない経験値を備えているのだ。だからこそユーザーニーズに合わせた的確なアドバイスができるのがプロショップだと橋本さんは語る。「ラーメンの食べ歩きだったら個人でもたくさん経験して自分なりの評価をすることもできるでしょう。でもスピーカーやオーディオユニットではそこまでの数を簡単には経験できません。それをやっているのがプロなのです」。◆ユーザーのクルマの弱点を見抜き改善ポイントを提案するのがプロ自分のクルマを良い音にしたい場合、最初に何からはじめれば良いのだろう? これはエントリーユーザーが真っ先に悩むことだろう。“スピーカー交換からはじめる”という情報やアドバイスも多く見られるが、本当にすべてに当てはまるのだろうか?「純正ナビのままでスピーカーを交換するケースを考えてみてください。本当にスピーカー交換がベストな選択なのでしょうか? 目的は“スピーカーを交換する” ことではなく“愛車の音を良くする”ことです。今の自分のクルマにもっとも的確な手法は何なのか、それを考えてオーディオのシステムアップをスタートしてください。プロショップに行ったらまず最初に“自分のクルマの音をもっと良くしたい、どうしたら良いです?”と質問するといいでしょう」。エモーションでは来店したユーザーから、上記のような質問をされた場合、まずはクルマのシステムを確認して音を聴くという。それは現状のシステムがどのレベルであっても変わらない。「システムを見て音を聴くことでそのクルマの弱点を調べます。純正スピーカーの音が良くないのか、純正ナビの能力が低いのか、それを的確に見極めていけるのもプロショップです。またユーザーには不満点は? いつも聴く音楽は? といったリサーチも欠かしません。どんどん掘り下げていくことで、このお客さんの場合はどんな方向性に持って行けば良いかといったプランを作り出すのです」。次に重要なのはやはり予算だ。ある程度は自分で想定した金額を決めておくことが必須。ただし5万円、10万円、20万円、30万円など、かなり大まかな予算を決めておけば良いだろう。「仮に5万円の予算でどこまでできますか、と聞かれてもプロショップは真剣に付き合います。それはプロショップには元々オーディオが大好きなスタッフが集まっているからです。だからこそオーディオに関する相談には真剣に向き合えるのです。予算内で最適なプランを提案して満足感を味わってもらったり、“すごい”と言ってもらうのがプロショップの仕事なのです」。◆ユーザーが想定したシステムアップとは別に最適プランが見つかる場合もあるでは具体的に「音を良くすること」をスタートさせてみよう。エモーションが考える手法は「弱いところを補う」「現状のシステムには無いユニットを追加する」の二つの方向性がある。特にエントリーユーザーがオーディオのレベルアップを考える際には基本となるので良く憶えておいて欲しい。「以前ジムニーで店にやってきたお客さんがいました。その方は“アンプを追加したいんだけど5万円でどの程度のものが入れられます?”というオーダーでした。そこでクルマのシステムを見せてもらい音を聴いてみました。すると純正スピーカーはフルレンジでナビの音もあまり良くありません。オーナーにリサーチしたところ、こもっている音が嫌だ、良く聴く曲はHIP-HOP。そこで私が提案したのがトゥイーターとサブウーファーの追加でした。それまでなかった高音と低音を追加することで満足感を得てもらうのが狙いです。完成した音を聴いたユーザーは大満足でした。このクルマの状態と予算、ユーザーの求めていることを総合的に考えればパワーアンプの追加が音を良くするための最適な手法ではなかったと言うことなのです」。現時点のシステムに対してどんな手法が自分にとって最適なのか、そんな相談に対して的確なプランを提案ができるのがプロショップだ。一方で橋本さんはこうも指摘する。「入門者にありがちなのですが、ショップ側の意見の言いなりになってしまうことがあります。ムダに威張る必要はありませんが、客なのですから自分の意見はしっかりと主張しましょう。ショップを信頼した上で自分がやりたいことを伝えればその答えを出してくれるのもまたプロショップなのです。プロショップとの良好な関係を築いていくのはここからでしょう」。プロショップでインストールする際のヒントを教えてくれるニューカマー特別編、後編ではより具体的なシステムアップの考え方や手順、選択肢などについて紹介していくので期待して欲しい。