カーオーディオの奥深さを知っていただくべく、製品の取り付けにまつわるあれこれを解説している当コーナー。今週からは新たな章に突入する。お題は「メインユニット」。この取り付けにはどのようなやり方やセオリーがあるのかを、1つ1つ考察していく。まずは、「メインユニットを換えない」という選択肢について考えていこうと思う。最近のクルマでは、純正メインユニットが異形インパネに収まっていたり、または、オーディオ以外の機能も持つ、いわゆる“純正マルチ”と呼ばれるタイプのメインユニットも多くなっていて、メインユニットを換えたくても換えにくい、というパターンが増えている。そんなときには、「メインユニットを換えない」という選択肢を取ることとなるのだが…。その場合でももちろん、スピーカー交換は普通に行える。しかしながら、その先に進みにくい。と思いきや、やりようはさまざまある。純正メインユニットを換えずして、本格的なシステムに発展させる手段が、いろいろと存在しているのだ。もっともシンプルなやり方は、“ハイレベルインプット”を備えた「外部パワーアンプ」を導入する、というもの。“ハイレベルインプット”とは、「パワーアンプで増幅された後の“高出力”な信号を取り入れる」入力端子のことを指している。つまり、“スピーカー出力”をパワーアンプに入力し、「外部パワーアンプシステム」を成立させるのだ。なお、これを実際に行うには、少々手間がかかる。“スピーカー出力”はそもそもスピーカーを鳴らすための配線であるので、パワーアンプに繋げられるような仕様にはなっていない。なので、純正メインユニットからスピーカーまで通っているスピーカーケーブルを、どこかしらでカットして、それをパワーアンプのところまで引き伸ばし、さらにはパワーアンプに接続可能な状態に線先を加工する必要があるのだ。だがそのハードルさえ超えられれば、あとは魅惑の「外部パワーアンプ」システムを、普通に楽しめる。が…。このやり方では、発展性が乏しい。コントロール機能は純正メインユニットのままなのでサウンドチューニング能力もそのままであり、また、他のソースユニットを追加していくことにも妙味が少ない。常に純正メインユニットを介して(AUX端子やUSB端子を使って)行うことしかできないので、高音質化の限界も低い…。では、そのあたりを克服するには、どうすればいいのだろうか。それについては、次週より踏み込んでいく。乞うご期待。