公道で車両を運転する場合、自転車を除いて自賠責保険に加入しなければならない。交通事故を起こした場合、運転者の責任の一部は、この保険金で補われ、被害者が救済される。では、自動運転が進化しても、それは可能なのだろうか。自動運転モードで事故が運転者の責任といえない場合、問題は複雑化する。自賠責は運転者の損害賠償を補償するものなので、事故原因が自動運転車両にあるとすれば、保険金の支払いは対象外になりかねない。さらに自動運転車両のメーカーの損賠賠償責任を問うためには、製造業者等の損害賠償責任を定める製造物責任法で追求することになるが、現状の法律は、自動車事故など想定外だ。各社が2020年に向けて実現しようとしているレベル3、レベル4の自動運転は、人の動作にシステムが介入して運転の一部、あるいは無人で運転するというものだ。自動運転モードの事故が、運転者の責任と言い切れない状況が生まれる。現在の自動運転車両は、車線変更前の安全確認や自動運転中の監視を運転者が行う義務がある。事故が起きた時の責任はすべて運転者の責任で、法律そのものが自動運転車両の存在を完全に認めているとは言い難い。そうした車両が広く普及し始めても、被害者救済を目的とする自賠責保険の制度は今のままでよいのかという危機感は、法律家だけでなく損害保険会社にもある。国土交通省自動車局が11月2日に開催する「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」は、弁護士と法律に詳しい大学教授で委員を構成する。自動運転が現実のものとなるにつれて、ようやく日本でも「事故の責任」が議論になってきたという証左だ。「自動運転に損害賠償責任をどう盛り込んでいくかのあり方を検討していきたい」。担当の保障制度参事官室は、今年度中に数回の会合を予定する。
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