2026年5月2日(土)・3日(日)の二日間、静岡県御殿場市にて「技術遺産・80年前の戦車用エンジン特別展示会」が開催される。主催は、NPO法人防衛技術博物館を創る会(静岡県御殿場市、小林雅彦代表)。イベントでは、第二次世界大戦時に日米の主力戦車を支えた実物エンジン3基を展示するほか、修復中の九七式中戦車改の変速機や履板なども披露される。さらに同会の小林代表理事が修復状況を伝える特別講演も予定。入場・講演も無料で参加できる。
オーバーホール直前 “ オリジナル状態 ” の見納め
イベントの最大の目玉は、レストア作業が続く「九七式中戦車」の修復工程において、極めて重要な節目となるエンジン・オーバーホール直前の “ オリジナル状態 ” を間近で見られることだ。
主要展示物となる九七式中戦車用のエンジン「SA12200VD」は、イベント終了後、実動化に向けた内部調査とオーバーホールのために全てのパーツが完全に分解される。80年前の技術者たちが組み上げたそのままの姿を体感できるのは今回が最後であり、文字通り見納めの展示会となる。
三菱重工製・九七式中戦車用「SA12200VD」
走行可能な状態を目指して修復中の九七式中戦車用「SA12200VD」は、昭和17年製の空冷V型12気筒ディーゼルエンジン。戦後80年を経た今もなお圧倒的な存在感を放っていることが、撮影画像からも伝わってくる。会場では、実物の大きさや質感を体感することができる。

3基の「心臓部」を比較・観察できる
今回のイベントでは、設計思想が異なる3基のエンジン(三菱重工製・九七式中戦車用「SA12200VD」/神戸製鋼製・九五式軽戦車用「A6120VDe」/コンチネンタル社製・M4シャーマン用「R975」)の実物を並べて展示される予定のため、それぞれを比較しながら観察できる二度とない機会となる。
神戸製鋼製・九五式軽戦車用「A6120VDe」は、九州大学の内燃機関研究室で教材として使用されていた空冷直列6気筒ディーゼル。実戦投入されずに保管されていたため、当時の工作精度を克明に伝える奇跡的な保存状態を維持しているとのこと。会場ではその状態の良さを、じっくり確認することができる。

コンチネンタル社製・M4シャーマン用「R975」は、米軍の主力戦車を支えた空冷星形9気筒ガソリンエンジン。故障交換用に備蓄されていた未使用新品で、歴史の空白を埋めるような美しい状態を保っているという。撮影画像を見てもわかる通り、巨大なエンジンが腐食のない状態で保存されていたことがわかる。実物を目の前にすると、高度な技術の結晶が放つ圧倒的な存在感に衝撃を受けること間違いなしだ。

このほか、現在修復作業が進行中の「九七式中戦車改」の変速機や履板(キャタピラパーツ)など、普段はまず目にする機会がない内部構成部品も特別公開される予定とのこと。さらにスペシャル企画として、小林雅彦代表理事が修復時のエピソードや今後の展望などを語る特別講演も注目だ。初日の2日(土)は14時から、最終日の3日(日)は11時から開催される予定となっている。
日本初「戦車博物館」実現に向けて邁進中!
主催のNPO法人防衛技術博物館を創る会は、日本初の公設「防衛技術博物館」を御殿場市に設立することを目指し、2011年から活動を開始した。機械産業の歴史を正しく継承し、防衛技術を後世に遺そうとする真摯な取り組みは、多くの熱狂的なミリタリーファンや技術愛好家たちから熱烈な応援・支援によって成り立っている。
これまでに、九五式軽戦車の日本帰還や、九七式中戦車の修復プロジェクトにおいて、クラウドファンディングで多額の支援金を集めるなど、ファンとの二人三脚で数々の奇跡を実現させてきた。今回のイベントも、そうした支援の結晶であり、修復の現在地を確認できる重要な場となるだろう。
なお、本イベントは技術遺産の公開を目的としており、軍服等のコスプレでの来場や、モデルガン等の持ち込みは厳禁となっている。あくまで技術遺産を静かに見守り、後世へ語り継ぐための場であることを念頭において開催される。
◼️開催概要
名称:技術遺産・80年前の戦車用エンジン特別展示会
日時:初 日/2026年5月2日(土) 12:00 ~ 18:00
最終日/2026年5月3日(日) 09:00 ~ 15:00
会場:静岡県御殿場市竈717-6(カマド自動車工場内特設会場)
交通:JR御殿場線「南御殿場駅」下車徒歩30秒、JR御殿場駅よりタクシーで約10分
入場:無料(展示物の見学と講演聴講含む)
問合先:NPO法人防衛技術博物館を創る会 事務局(電話/0550-82-2854:カマド自動車内)
事務局サイト:www.tank-museum-japan.com

