イタリアの自動車整備機器国際展示会「アウトプロモテック(Autopromotec)」を主催するPromotec社は、3月5~7日に東京ビッグサイトで開催された自動車アフターマーケットの活性化を目的とした商談型展示会「第21回 国際オートアフターマーケットEXPO 2024(IAAE2024)」に初出展した。
そこで今回編集部は、アウトプロモテックの概要や出展規模、近年注目を集めている分野などについて、イタリアから来日したエマヌエーレ・ヴィチェンティーニ氏(Promotec社アウトプロモテック国際エリア責任者)に話を聞いた。
タイヤ関連機材の展示会から発展した「アウトプロモテック」
アウトプロモテックは、1965年にイタリア・ローマで開催されたタイヤやリトレッドタイヤ機材の展示会(SARP)がはじまり。1967年にボローニャに会場を移し、1991年に自動車整備機器関連の展示会(SIAC)と統合されアウトプロモテックの名称となった。2005年から補修部品や自動車関連サービスが加わり、より幅広い自動車アフターマーケット関連商材が集結する展示会へと進化した。特徴として、70社近くにおよぶイタリアの自動車整備機器メーカーが加盟する整備機器工業会「AICA(Associazione Italiana Costruttori Autoattrezzature)」が展示会の企画や出展に全面協力している。
このほか、アウトプロモテックから派生した新しい展示会「FUTUR MOTIVE - EXPO & TALKS-」を2023年11月16~18日にボローニャで開催。同展示会は、持続可能な社会の実現に向けて環境負荷低減を重視した電気自動車(EV)をはじめとする次世代自動車関連商材やサービスなどにフォーカスをあてた出展やカンファレンスが多い。アウトプロモテックと比較すると小規模ではあるが、EUは他国に先駆けてEV普及に注力している背景もあり、今後も継続的に開催する考え(次回は2026年予定)があるという。
EU最大級の整備機器国際展示会
アウトプロモテックは、ヨーロッパを中心とした自動車アフターマーケット業界の最先端技術や整備機器、タイヤ関連設備、洗車設備、自動車部品、サービスなどが集結するEU最大級の整備機器国際展示会として知名度がある。
29回目となった前回開催時(2022年5月25~28日)は会期四日間で7万5141人が訪れ、イタリア以外の海外からは1万1271名が来場。世界各国から1331社が出展(イタリア898社、ドイツ71社、中国60社、日本からはタイヤメーカーの横浜ゴム株式会社と国際オートアフターマーケットEXPO)し、東京ドーム3個分の広さを超える141,000平方メートルの巨大な見本市会場に、世界46カ国の自動車アフターマーケット関連事業者が大集結する展示会となった。なお、アウトプロモテックとIAAEは、2022年5月から協力関係を結んでいる。
ADAS関連の出展者が増加傾向
アウトプロモテック国際エリア責任者のエマヌエーレ・ヴィチェンティーニ氏に、最も出展者が多い分野について尋ねたら「ADAS(先進運転支援システム)搭載車の修理や補修部品関連です。車体に組み込まれた様々なセンサーに対応する技術やツールなどに注目が集まっており、ADAS搭載車の故障診断を行うスキャンツールやキャリブレーションツール(エーミング作業ツール)などを取り扱うメーカーの出展が増えています。また補修部品の分野で、トレーサビリティが重要視されています。部品の原料や生産国がどこなのか把握することが、環境負荷低減の実現につながると考えられています」とコメント。
洗車やカーケア関連については「24時間いつでも洗車が可能な洗車設備の出展などに注目が集まっています。日本のカーオーナーのようにクルマの美観にこだわって、常にキレイさを維持したいというニーズはイタリア人にはあまりありません。ちなみにEUの平均車齢は10~11年ほどですが、EV普及に向けた政策としてイタリアの一部の都市ではガソリン車の乗り入れを禁止しており、その地区で生活するユーザーは必然的にEVに買い替えなければならない動きがあります」とEUならではの社会状況があることを教えてくれた。
このほか、来年5月21~24日にボローニャで開催される『アウトプロモテック2025』の出展申込みがすでに500社を超え、前回開催時よりも出展者数が上回る見込みだという。最後にエマヌエーレ・ヴィチェンティーニ氏は「9年前に来日した際、日本の自動車アフターマーケット業界に閉鎖的な印象を受けたのですが、今回は日本の方々と交流する機会が多くあり、我々と日本の皆様がWin-Winとなる協力関係を築いていける兆しを感じました。今後は意見交換を行いながら、お互いにとって有益な取り組みを行っていきたいです。日本の皆様にアウトプロモテックを知って頂き、出展や来場を検討頂ければ嬉しいです」と話し、日本の自動車アフターマーケット事業者とのリレーションシップに可能性を感じている様子だった。IAAE2024はグローバルな関係構築のキッカケをつかめる貴重な場であることがわかる取材となった。