3月5日(火)~7日(木)に東京ビッグサイトで開催された自動車アフターマーケットの活性化を目的とした商談型展示会「第21回 国際オートアフターマーケットEXPO 2024(IAAE 2024)」は過去最大の開催規模となり、国内外から418社・団体が出展、715小間が展示され、盛況の内に閉幕した。今回のIAAE2024では、国内の出展者の増加はもちろん、特に海外からの出展者が昨年の75社88小間から215社253小間と大幅に増加したことが大きなトピックスの1つとなった。
そこで今回編集部では、25社の自動車部品関連メーカーが出展した台湾パビリオンを取りまとめた台湾貿易センター(TAITRA/中華民国対外貿易発展協会)の張心怡マネージャーに、台湾の自動車アフターマーケット事情から、日本の自動車アフターマーケットに期待することなどについてお話を伺った。
台湾の自動車アフターマーケット事情
台湾貿易センター(TAITRA/中華民国対外貿易発展協会)は、1970年に台湾の対外貿易促進を目的に、台湾政府と業界団体の支援により設立された非営利の団体であり、日本におけるJETROに相当する組織である。台湾国内に4ヶ所の事務所と世界各地にある60以上の海外事務所をネットワーク化し、総勢800名以上のスタッフで台湾企業・メーカーの国際競争力の強化、海外企業のビジネスマッチング、世界市場への進出をサポートしているほか、年間約30の国際専門見本市を主催している。
張氏に台湾の自動車アフターマーケットについて伺うと「台湾はICT、IOTの分野が昔からの強みとしてあります。それらの分野を跨いで自動車産業に進出していく企業が多いのが最近の特徴です。強い分野を応用し、EVなどに押し出していくという印象ですね。EVが普及していくと、車載ソフトが大きな分野になることは間違いありませんので、その意味では、台湾にはアドバンテージがあると言えます」と話す。その上で「電池などの分野は日本の技術が先進的ですが、EVの緩やかな普及に伴い、電子関連機器や電子制御システムなど、もともとアドバンテージがある分野のニーズは上がってきており、台湾でもその業種は伸びています」とも話してくれた。
今回出展していた25社は、いずれも台湾を代表する有力企業とのことで、アドバンテージがある分野を中心に、なるべく新製品・新技術を提案し、IAAEを足がかりに日本の自動車アフターマーケットへの浸透をまずは図りたいという考えを持っているという。
なお台湾の年間の新車販売台数は42~45万台で推移しているそうで、その10倍の規模がある日本の自動車アフターマーケットへの期待は大きいと張氏は話した上で
「今、最も懸念しているのは価格面です。中国には価格競争では勝てないですし、近年は品質も上がってきており、その点には脅威を感じています。しかし、先ほど申し上げました通り、車に搭載する電子的な分野においては専門性、品質も台湾にはアドバンテージあると考えています。また台湾企業と日本企業は、特に車に対する安全意識が高いという点が共通しています。TAIPEI AMPAの展示会にも日本のバイヤーが多くいらっしゃいますが、その目的は車の安全装置やシステムの部分の開拓です。日本企業は、その部分を中国企業に求めることはあまりないと思いますので、その意味で台湾企業と日本企業はマッチする部分が多いと思っています。
有名な例が、日本の自動車メーカーであるマツダが、台湾の企業に対して、5年間を掛けて品質と評価のスパンを設け、工場の設置、生産の仕方、仕組みなどを5年で審査した後、量産に合意したという事例があります。日本の厳しい安全基準と高い安全意識に応えていく力が台湾企業にはあります」と日本企業との連携にも自信を見せた。
電子分野で強みを持つ台湾は、そのアドバンテージを生かし、日本の自動車アフターマーケットに浸透を図っている。高い安全意識と厳しい基準をクリアできる力を持っている台湾企業の存在は、連携・協力という意味では頼もしくもあり、日本の自動車アフターマーケットの活性化という意味では、大いに刺激になる存在だと感じた。