完全自動運転EVの開発・販売に取り組むTuring(チューリング)株式会社は、研究車両・試作車両などの受託開発を行う株式会社東京アールアンドデーとの戦略的パートナーシップを締結。2025年までに、自社オリジナルのレベル2+自動運転EVを100台、2030年には完全自動運転を実現した上で10,000台のEV生産・販売を目指すことを発表した。
21年設立のスタートアップ企業
「We Overtake Tesla(テスラを超える自動車メーカーになる)」をミッションに掲げる、チューリング株式会社は、千葉県柏市に本社を構えるスタートアップ企業。世界で初めてプロ棋士を倒した将棋AI「Ponanza」開発者の⼭本⼀成氏と、カーネギーメロン⼤学で自動運転を研究し、Ph.D.を取得した⻘⽊俊介氏との共同で2021年に設立。
代表取締役の⼭本氏が得意とするAI開発と、CTOを務める⻘⽊氏の自動運転ソフトウェア設計・開発を強みとし、AI深層学習技術を用いた限定領域に留まらない完全自動運転EVの開発・大量生産販売の実現を目指している。創業からわずか2年で、10億円の資金調達を実施済みで、自社での車両生産体制構築を見据え、2023年中にさらなる資金調達を実施する予定だという。
同社は、今年1月にプロダクト第1号として、トヨタ・レクサスを改造して自社開発のAI自動運転システムを搭載したレベル2自動運転車を販売(成約済)。特殊なセンサー等を用いず、フロントガラスに取り付けられたカメラで読み込んだ画像データから、白線や前走車をAIが検知/判断して車両を操作できる点が特徴で、これまでに千葉県柏市や北海道で公道走行実証実験も行っていることが紹介された。
40年以上、先行試作車両や量産車両を開発
一方、株式会社東京アールアンドデーは、1981年の創業以来、40年以上にわたって先行試作車両や量産車両の開発、先端素材を活用した部品開発などに注力。2021年に創業40周年を迎えたことを機に、今後は受託業務のみならず個性的でわくわくできる未来を創り出す「モビリティメーカー」になることを目指している。これまで日本の全ての自動車メーカーの開発支援を手掛けており、車両の開発・製造は得意分野だが、ソフト開発技術が乏しいため、チューリング株式会社とのパートナーシップ締結で、さらなる飛躍を遂げたい考えが伝えられた。
今回のパートナーシップ締結は、チューリング株式会社のAI・ソフトウェア技術と、株式会社東京アールアンドデーの車両開発における豊富な経験をかけ合わせて、自動運転EVを共同開発することが狙いであり、これを機に、車両開発を加速させていく考えが述べられた。また、2025年に100台の生産・販売を目指す自社オリジナル自動運転EVの想定販売価格は1台1500万円ほどで、販売ターゲット層は自社を応援してくれる顔が見える支援者とのこと。まずは、2023年中に、両社でオリジナルのシャーシを設計・開発した上で、機能を絞った試作車の製造を予定。今後の進展について、積極的に情報発信していくことも伝えられた。