「ダムサンデークラシック」が1月16日、群馬県みどり市の山間部にあるドライブイン駐車場で行われ、レアなヒストリックカーが続々と集まった。
同県桐生市から栃木県日光市へと延びる国道122号は峠越えのワインディングロード。その中間地点にある「草木ドライブイン」の第2駐車場で毎月第3日曜日に行われている旧車のイベントだ。
主催しているのは「ジャック・ヒストリック・カー・クラブ」(JHCC)という旧車クラブ。桐生市で「ジャックと豆の木」というカフェレストランを経営する小山修さん(62)が事務局長となり、群馬大学桐生キャンパスでの「クラシックカーフェスティバルin桐生」の運営を始め各種イベントやサーキットでの走行会など、様々な活動を行っている。
店に集う旧車好きと1995年に設立したJHCCの会員は現在30名ほど。英国車やイタリア車など1975年以前に製造された欧州車が中心で、草木ダム湖畔にある「みかげ原展望地駐車場」で第1日曜日に「ダムサンデー」を開いてきた。その後、メンバーのみならず誰でも参加できるとあって集まって来る車が増えたため、近くの草木ドライブインが提供する第2駐車場で1980年以前に製造された車両が参加できる「ダムサンデークラシック」を第3日曜日に開催することに。今回で「クラシック」は3回目の開催となった。
この日集まってきたのは60台ほど。山間部は寒さが特に厳しくなり旧車とそのオーナーにとってもなかなか辛くなる時期にもめげず、これほどやって来るのがダムサンデーだ(グリーンシーズンはこの何倍にも膨れ上がる)。MG『1100』のオーナーなどは「フロントグリルに向けて電熱器で30分温めたらやっとエンジンがかかったよ」と笑っていた。
アルファロメオ『ジュリア』やロータス『ヨーロッパ』『セブン』、BMC『ミニ 』といった常連のほかに、新たに「おっ」と目を見張る参加車両も。中でも丸目2灯が愛らしいシトロエン『ID』(1968)はかなりの希少車。“宇宙船”とも言われたスタイルや油圧制御のハイドロニューマチックなど先進的なメカニズムを満載したDSの廉価版で、英国仕様の右ハンドルでミッションはマニュアルというレアな個体だ。新たに冷房のユニットを増設した以外はほとんどノーマルで、サスペンションのハイドロも生きており「船のような乗り心地が快適」とオーナー。外装は2年前に某所で見つけたボロボロのままだがこのままじっくり楽しみたいという。
その隣にあったフィアット『126』(1973年)も珍しい。イタリアでベストセラーカーとなった「500(ヌオーヴァ・チンクエチェント)」の後継モデルとして1972年に発売された600ccの“バンビーノ(男の子)”。80年代からはポーランドでライセンス生産されたが、この個体は本国製の初期型。内外装は完全ノーマルで、シンプルながらグリーンのシートやドアの内張りなどが今もおしゃれだ。エンジンやミッション、ブレーキなどの機関はオーバーホールされており、非力ながらきびきびと良く走るという。
他に、フォルクスワーゲン『シロッコ』やフィアット『600ムルティプラ』、ホンダ『T360』、マツダ『コスモスポーツ』、日野『コンテッサ』、いすゞ『117クーペ』、三菱『ミニカ』、スズキ『セルボ』などが集結。お昼頃まで旧車談議に花を咲かせていた。