大雨により車内で被災する---。車が水没したとき、正しい手順で速やかに車内から脱出しよう。2020年に国交省が「水没車両からの脱出手順と脱出用ハンマー搭載のお願いについて」を発表しているので、再度記事にまとめる。冠水した道路を自動車で走行した場合、エンジンなどの機能が停止し移動できなくなる危険がある。そして水位によっては、水圧で車両からの脱出が困難になる。こうした状況では、以下の手順で速やかに脱出しよう。●水没した車両からの脱出手順(1)水位が低いうちにドアを開けて車から脱出する。(2)水圧などでドアが開かない場合、窓を開いて脱出する。(3)ドアも窓も開かない場合は、 脱出用ハンマーで窓を割って脱出する。ただし、フロントガラスに使用されている「合わせガラス」は割れない。一部の車種ではドアガラスやリアガラスにも「合わせガラス」が採用されていることがある。自分の車の破砕可能な窓ガラスを事前に確認しておくこと。(4)それでも脱出できない場合も、あきらめない。浸水により車内の水面が天井に近づき内外の水位が同程度になると、ドアが開く可能性は高まる。●脱出用ハンマーの備え付け水位の上昇に伴い、車内からドアや窓を開くことができなくなった場合、素手で窓ガラスを割ることは困難だ。自動車の窓ガラスは、走行中の安全性確保のため充分な強度を有しており、専用の道具を使わずに破砕することは難しい。自動車の窓ガラスを破砕する専用の道具である「脱出用ハンマー」は、自動車販売店、自動車用品売店、ホームセンター、インターネット通信販売などにで、1000円未満の価格で入手できる。脱出用ハンマーの備えは「命綱」の確保だ。脱出用ハンマーには幾つかの種類があり、使いやすそうなものを購入するといいだろう。(1)金づちのように握って先端で窓を叩き割るように使用する「金づちタイプ」。(2)アイスピックのように握って窓に叩き付けて使用する「ピックタイプ」。(3)先端を窓に押し当てることで自動で先端が飛び出し窓を破砕する「ポンチタイプ」。脱出用ハンマーの購入時には、JISマークやGSマークなど、性能を保証する表示がある製品や、販売店が推奨する製品を求めるのがよい。国民生活センターが実施した試験では、窓ガラスを破砕できない粗悪品も報告されている。なお、フロントガラスなどの「合わせガラス」はハンマーでは割れない。ハンマーの使用方法や、車両の破砕可能な窓ガラスの箇所を事前に確認しておこう。