今回取材できたのは、その中でもっとも注目を集めるであろう、「スバル・BRZ」。当デモカーには、昨夏に発売され大きな話題を呼んだQuad View ナビゲーション『NXV977D』と、革新のカーオーディオシステム『Full Digital Sound』が搭載され、さらには、急ピッチで開発が進められているという同システムの新ユニット2アイテムも組み合わされている。
思い起こせば『Full Digital Sound』が本邦初公開されたのも、2016年の『東京オートサロン』だった。国内のカスタムカーファンの前に姿を現してから丸2年が経とうとしているこの"未来形"のカーオーディオシステムに、いよいよ次なる展開が、あるのか、ないのか…。
ところで、先進のカーオーディオシステムである『Full Digital Sound』は、そもそも"ハイレゾ音源"に完全対応している。"ハイレゾ音源"の再生が可能なさまざまなポータブルデジタルオーディオプレーヤーとの接続が可能で、スピーカーも"ハイレゾ音源"を余すことなく再生すべく40kHzまでの高域再生性能を有している。
「ミッドレンジスピーカー」もまた、『Full Digital Sound』の可能性をさらに広げるべく開発されている。そもそも再生音の鮮度と解像度の高さには定評がある同システムだが、そこに中域再生のスペシャリストを加えることで、情報量を一層増大させ、サウンド全体をより緻密に、かつ分厚く響かせようと試みられている。『Full Digital Sound』を、今以上に"ハイエンド"の領域へと押し上げようとしているわけだ。
音が鳴り始めた瞬間に、サウンドステージが立体的であることに唸らされた。並のシステムでは、ここまでの立体感を体験することは不可能だ。ステレオとは、音楽を左右のチャンネルに分けて録音しそれを左右のスピーカーで再生することで、音楽を立体的に表現しようとするものだが、そのシンプルな目的が最高レベルで達成されている。『Full Digital Sound』のそもそもの実力に「ミッドレンジスピーカー」の能力が掛け合わされ、音源に含まれている情報が余すことなく再生されている。
また、今までの『Full Digital Sound』デモカーの音と比べて、アナログ的な雰囲気も増している。温かみがあり、柔らか。生身の音により近づいているのだ。「ハイレゾ対応スーパーツィーター」の振動板素材の進化も効いているに違いないが、とにもかくにもシステム全体として、情報量の増大と解像度の上昇が果たされた結果であろう。リアリティがすこぶる高い。
『Full Digital Sound』は、明らかに新境地に到達しようとしている。この「スバル・BRZ」のサウンドは、それを鮮烈に提示している。
■さらにもう2台、『Full Digital Sound』の限界に挑む気鋭のデモカーが登場!
なおこの「スバル・BRZ」では、「ミッドレンジスピーカー」を鳴らさない状態のサウンドも聴き比べ可能だ。「ミッドレンジスピーカー」があるときのサウンドが秀逸過ぎて、フロント2ウェイ時の音が少々物足りなく感じられるのは致し方ないとして、『Full Digital Sound』のポテンシャルの高さは十二分に堪能できる。
また、Clarionブースに展示されるもう2台のデモカーについても紹介しておこう。1台は、リア席中央に装着された2つのフルデジタルスピーカーで中低域をカバーし豊かなサウンドを響かせるという(サブウーファーは未搭載。従ってトランクの積載性は確保されたまま)「日産GT-R」。そしてもう1台は、フロントにフルデジタルスピーカーを2セット取り付け、それにより中低域の充実とボーカルの定位の向上が果たされているという「トヨタ・シエンタ」。両車とも、『Full Digital Sound』の限界を引き延ばすべく、意欲的かつ個性的なシステムレイアウトが採用されている。チェックして損はない。