目の届かない部分における手抜き処置や、質の低い作業など、粗悪修理の行われた車両は、命の危険も伴う。今後このような不具合車両が無くなるよう、安全で適切な修理を行うことの重要性を呼びかけていきたい。
◆ケース1

事故でフロント回りを損傷した車両。念のためリフトアップして下回りを確認したところ、他の箇所にも損傷が認められた。過去の事故で、リヤ回りに潰れた状態で修理されてない部位があった。仮に、この車両が再度、追突事故に遭った場合、衝撃力が緩和されないので、乗っている人に大きな被害が発生する可能性が高い。また、溶接がはがれていて強度不足となっていたり、過去の事故でパネルが歪んでしまったものも修理されてない。過去に修理した工場は、外観から解る損傷は修理したが、見えない部分の修理はほぼ手を付けていなかった。
(写真1-1、1-2、1-3)
◆ケース2

足回りから異音がするということで入庫した車両。確認すると、タイロッドエンドの割ピンが入ってないことがわかった。しかも、ボルトの頭の部分もみえてなかった。慎重に確認したところ、タイロッドエンドが左右逆に取り付けられていた。重大な事故にならなかったのが、不幸中の幸いだ。
(写真2)
◆ケース3

ボディーが腐食しているということで入庫した。確認したところ、過去の修理作業(リヤフェンダー取替)で、防錆作業や下地処理作業がキチンとされていなかったことが原因とわかった。
(写真3-1、3-2、3-3)
◆ケース4

事故で入庫した車両の損傷診断をしたところ、サイドメンバーに破断亀裂が出ていた。破断面から推定すると、今回の事故での破断ではなく(今回の損傷は軽微だった)過去の事故で損傷したが修理してなかったものだった。場所は、エンジンメンバー取り付けボルトの近くで、常にエンジンの振動などを受けていて非常に危険な状態だった。
(写真4-1、4-2)