ホンダアクセスが10種類の「新車ボディコーティング」を提供する理由と戦略…営業&開発 担当者に聞く | CAR CARE PLUS

ホンダアクセスが10種類の「新車ボディコーティング」を提供する理由と戦略…営業&開発 担当者に聞く

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ホンダアクセスが10種類の「新車ボディコーティング」を提供する理由と戦略…営業&開発 担当者に聞く
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新車の販売台数が伸び続けている。日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会は、2023年7月の国内新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)が前年同月比9%増の37万9053台で、11カ月連続のプラスになったと発表した。

このような動きがある中、新車購入時に「ボディコーティング」施工を希望するユーザーはどれくらいいるのだろうか? ボディコーティング剤は数多くあるため、こだわりが強いカーオーナーは専門店に依頼するケースもあると思うが、ディーラーで施工を勧められて検討するのが一般的だろう。

そこで、自動車メーカー・Honda(本田技研工業株式会社)の100%子会社として1976年に設立され、ホンダ車純正アクセサリーの企画・開発・販売事業を展開し、全国の「Honda Cars」2,341店舗(※2023年4月時点)に商品提供を行っている株式会社ホンダアクセスに取材を依頼。同社が提供する「ボディコーティング」の種類や特徴、需要状況などについて、営業部の笹村賢氏(商品企画担当)と開発部の泉周平氏(開発担当)に話を聞いた。

約半数の顧客が、新車コーティングを希望

「年々ボディコーティングのニーズは上昇しています。近年の傾向として、3年や5年ローンで購入されたお客様が、洗車回数を減らしてキレイな状態を維持できる点をメリットと感じ、保有期間中の美観維持が下取りや売却時の買取査定に影響することも考えて、新車時施工が増えているのではないかと推察しています。

お客様へのご提案ツールとして、各ボディコーティングの特徴や効果、メカニズム、構造、価格などを整理した案内チラシや動画コンテンツを、各サプライヤー様の協力のもと用意しています。また全国の販売店様が導入されている見積書作成システムはカスタマイズ登録が可能で、新車ボディコーティングを自動提案する仕組みを構築されている販売店様もあり、全国トータルとして新車ボディコーティングの装着率は約半数となっています。施工は様々なパターンがありますが、大規模な販売店様では納車整備センターで行われており、一部地方の小規模販売店様は自社スタッフの方が施工されるケースも稀にあります」と営業部の笹村氏は話す。

10種類に拡充された「純正ボディコーティング」

新車ボディコーティングのニーズの高まりを受け、ホンダアクセスはラインナップの品揃えを強化。従来品5種類のうち『プレミアム グラスコーティング グランデ』と『プレミアム グラスコーティング ハイドロフォビック』をリニューアルしたほか、新たに5種類『CPCプレミアムコーティング エクスGN』『CPCプレミアムコーティング ダブルGN』『グラスコーティング ガードコスメSP』『EXキーパー』『ECOプラス ダイヤモンドキーパー』を追加し、トータル10種類を純正ボディコーティングとして今年3月末から提供を開始したと、営業部の笹村氏は説明する。

保証については『EXキーパー』のみ6年で、それ以外の9種類はすべて5年保証があり、メンテナンスキットを付属。顧客情報と紐づけて、施工証明書 兼 保証書を発行できるシステムがあるため、顧客が転居した場合でも全国2000拠点を超える販売店で保証を受けられる。保証期間内に事故などで鈑金塗装修理が必要になった場合は、販売店で車両状況を確認の上、自動車保険(任意保険)の補償対象としてボディコーティングの部分施工も可能。

営業部の笹村氏は「純正品の生産はサプライヤー様に依頼しています。これまで2社のサプライヤー製品を純正ボディコーティングとして採用していたのですが、実は多数のお客様から “ ガラス系コーティングは撥水するのできちんと拭き上げしたり、こまめにメンテナンスしないと水染みがついてしまう ” と改善要望があり、お客様の要望に応えるために各販売店様独自の考えで、純正品ではない製品の取り扱いが増えていく状況がありました。

弊社から販売店様に純正品を取り扱って頂けるようお願いしたところ “ 特定のコーティング剤に惚れ込んでいるから変えられない ”というお声があったため、複数のサプライヤー様の製品を検討しました。社内試験を行った結果、十分な性能を確認できた2社(中央自動車工業株式会社、KeePer技研株式会社)の製品を純正として採用すると同時に、従来品の『プレミアム グラスコーティング グランデ』と『プレミアム グラスコーティング ハイドロフォビック』は商品性能を向上して、リニューアル品としてラインアップしました」と述べた。

開発部の泉氏は「選定を行うに当たり、各サプライヤー様の製品を横並びで評価試験を行いました。未塗装樹脂や装飾メッキ、原料着色パーツなどに悪影響を与えないことはもちろんのこと、ボディコートとしての商品性能を確認する中で、その進化を痛感する機会にもなりました。一世代、二世代前と比べると劇的に進化しており、洗車がしやすくなる品質を実現しています。加えて、耐久面も向上しており、新車向けにふさわしい10種類のラインナップとして自信をもってご提供しています」と話す。

人気ナンバーワンは『ハイドロフォビック』

10種類のラインナップのうち、最もシェアを獲得しているのは、リニューアル以前から純正品として提供されている『プレミアム グラスコーティング ハイドロフォビック』。撥水基配合の高耐久性ガラス系被膜により、汚れがつきづらく光沢感も持続できる性能があり、施工参考価格は約6万円~9万円(車両サイズによって異なる)とのこと。

「性能と価格のバランスが取れている商品として人気を集めていると、弊社では考えています。車両販売価格が高い車種ほど、より上級のボディコーティングを選ばれる傾向があるのですが、だからといって、コンパクトカーや軽自動車を購入されるお客様は低価格なボディコーティングだけを選ばれるわけではありません。大型車より施工価格が手頃なため、せっかくの新車だからとハイグレードのコーティングを選ばれる傾向もあります」と営業部の笹村氏は話す。また特定エリアで突出してニーズが高いわけではなく、車種を問わず幅広いカーオーナーから選ばれているという。

ちなみに、ハイドロフォビックからひとつ上のグレードとなる『プレミアム グラスコーティング グランデ』『CPCプレミアムコーティング ダブルGN』『EXキーパー』は施工参考価格は約11万円~16万円。さらに高いグレードの『CPCプレミアムコーティング エクスGN』は施工参考価格が20万円を超え、より高品位のボディコートを求めるカーオーナーにも応える。

降雪地帯や沿岸部では『アンダーコート』が人気

ホンダアクセスでは、ボディコーティングだけでなく、複数のカーケアメニュー(アンダーコート/撥水ボディコート/洗車コンディショナー/泡洗車/ヘッドライトリペアコート/虫汚れ取りなど)を用意している。

このうち『アンダーコート』は、塩害によるボディ下周りのサビ防止目的として、降雪地帯や沿岸部でのニーズが高く、沿岸地域においては沖縄や千葉、神奈川でヒット商品とのこと。新車時だけでなく、定期的に再施工の依頼があり、新車・既販車を問わず人気メニューとして定着しているという。『洗車コンディショナー』は、拭き上げ時に洗車クロスに塗布して使用する商品でDIYの手洗い洗車を好むカーオーナーのリピート率が高い傾向。『ヘッドライトリペアコート』はヘッドライトの黄ばみによって落検になる場合もあるため、車検前にニーズが増えているという。このほか、未塗装樹脂パーツ向けのコーティングについて、営業部の笹村氏は「市場ニーズがあることは認識していますが、純正化には至っていません」との回答だった。

今後は、中古既販車向けサービスに注力したい

営業部の笹村氏は「拡充に取り組んだことで、我々の想定を超える勢いで全国各地の販売店様で新規導入が増え、新車ボディコーティングは潜在的なニーズがあったことを確信しました。特にKeePer技研様の商品を純正化したことで販売実績が伸びています。同社のノボリが町中にあることでお客様の認知が非常に高く、新車商談時にご提案してもピンと来なかったお客様でも“ KeePerを塗れるのなら ”と施工を希望される方が増えています。今後は新車購入後のお車や、中古車もしっかりケアできるように “ 純正品質 ” のサービス提供を検討しているところです」と話す。

開発部の泉氏は「弊社の純正ボディコーティングは中古車にも対応できる商品です。10年以上前のホンダ車の販売履歴にまで遡り、あらゆる外装パーツの材質をピックアップして適合性評価を行っています。昨今はHonda SENSING(安全運転支援システム)などさまざまな先進装備が搭載されていますが、そういった車種でも万が一にも問題が出ないことを確認したボディコーティング剤を純正品として採用しています。今後、中古車に施工するには、下処理の磨き作業費を含めた提供価格になります。お客様が中古車のボディコーティングに求められる品質とは、どういったものなのか。しっかり深堀し、適正価格と品質を見定めなければなりません。施工については、弊社から販売店様に外部パートナー様を紹介する体制を調え、全国の販売店様で導入頂ける状況を作りたいと考えております」と今後の考えを具体的に教えてくれた。

全国2000以上のホンダディーラーに純正品を提供するホンダアクセスが、10種類もの新車向けボディコーティングの提供を開始したことで売上が伸び、今後は中古車向けの低価格メニューを開発して、ホンダディーラーに施工パートナー事業者を紹介できる体制構築を検討していることが、今回の取材でわかった。自動車メーカー直資の企業が “ 純正品質 ” のサービス提供を実現するには、一定水準の施工技術を有するボディコーティング専門店との連携が必要になってくるだろう。両者がしっかりタッグを組むことで施工を希望するカーオーナーの満足度が向上し、カーディテイリングビジネスの活性化につながることを期待したい。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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