去る12月4日、東京都国立市の谷保天満宮の境内と周辺で開催された「谷保天満宮旧車祭2016」。ここでは、見た目は地味だが各時代でエポックメーキングな足跡を残した、隠れた名車を選んでみた。まずは初代 B10系である2台のダットサン『サニー』1000。後に名機といわれるA型エンジンの始祖だ。いずれも未再生の状態を維持した2ドアデラックスだが、グレーの1967年とグリーンの1969年式ではグリルのデザイン、バックミラーの位置、テールランプの大きさ、ホーンボタンのデザイン、サイドマーカーの形など細部に違いが見て取れるのが興味深い。この派生型であるサニー『クーペ1000』(1969年)もあった。荷室はレジャーユースに対応したトランクスルー式だ。日産『スカイライン』1500デラックス(1969年)は珍しい。何かとGTやGT-Rが人気だが、これがいわゆるハコスカの原点。日産がプリンスとの合併後初めて新規発売されたモデルで、エンジンはプリンス製の直列4気筒OHC1500cc「G15型」を搭載している。この個体はコラム3速で、本来はベンチシートだったものをセパレートに換えているだけで、ほとんどがオリジナル状態を保っていた。エンジン音も静かでコンディションの良さをうかがわせた。初代のトヨペット『クラウン』(1956年)もなかなか見かけることが少ない1台。しかもこれは前期型。一番最初のクラウンは排気量1500cc、出力は48psだった。観音開きのドアも特徴のひとつ。日産『セドリック』カスタム(1964年)も初代30型。サイドに回り込んだラップアラウンドウィンドウが特徴のひとつ。この個体はマイナーチェンジで4灯式ヘッドランプが縦から横並びに変更されている。