マイナーチェンジを受けた『ノート』に新たに設定された「e-POWER」は、1.2リットルのガソリンエンジンを搭載するシリーズハイブリッド。ノートe-POWERは完全なシリーズハイブリッドで、エンジンの出力は(一部補器類駆動を除き)すべて電気に変換されバッテリーに充電。前輪をモーターで駆動して走行する。モーターは『リーフ』に使われているものと同様だが、最高出力はリーフ用よりも14馬力ほど低い95馬力となっている。試乗する前は、このクルマの存在価値がわからなかった。別にハイブリッド化しなくても、普通にエンジンで走れば十分。わざわざ、電気を作って、バッテリーを充電して、モーターで走らなくてもいいじゃない…と思ったのだが、これが違った。電気モーターでの加速は俊敏で力強く、エンジンでは得難いもの。例えば高速道路への流入などもよどみなく、あっという間に流れに乗れる。また、エンジン車では絶対に得られないのが、駆動のためのエネルギー回生だ。ノートe-POWERはアクセルペダルを緩めることで回生ブレーキが掛かりエネルギーがバッテリーに蓄えられる。エンジン車では減速時のエネルギーをブレーキで熱に変え大気に捨てるしかないが、ハイブリッド車のノートe-POWERではエネルギーのすべてを捨てなくていい。リーフはブレーキペダルを踏むことで積極的にエネルギー回生するようにセッティングされているが、ノートe-POWERはブレーキによる回生量の変化はない。代わりといってはなんだが、SモードとECOモードでは回生ブレーキの減速度がノーマルモード時の約3倍となるため、アクセルペダルのみでのワンペダルドライブが可能。最初は馴れないが、30分も乗ってしまえばワンペダルドライブも楽になる。どの速度からどのくらいペダルを戻せば目標地点でストップするのか? さえ理解してしまえば運転は楽だ。ワンペダルドライブで完全停止したのちも、ブレーキを一回踏むことでクルマがクリープ状態に入る。この設定がノートe-POWERの運転を楽にしている大きな要因。車庫入れや都内の狭い路地などではクリープ状態があるとないでは運転の楽さがまるで違う。ちなみにノーマルモードではエンジン車に近い運転フィールで、アクセルを戻しても急激には減速しないし、ブレーキを踏まない限り完全停止もしない。ワンペダルという新しいドライブ方法を覚える人も、従来どおりの運転をしたい人にも対応するのがノートe-POWERのモード設定。発進時はバッテリーがしっかり充電されていれば、モーターのみで発進、その後エンジンが始動してバッテリーを充電しつつモーターを駆動して走行する。エンジンは発電効率のいい回転数で回るので、車速とのシンクロ感はない。よく、「CVTはエンジン回転と速度のシンクロ感がなくてダメ」という評価があるが、その評価軸で考えるとこのシステムはまるでダメということになる。しかし、そうした古い考えは捨てたほうがいい。スポーツカーならいざ知らず、街乗りメインのEVならばそれは取るに足らないこと。「おお、充電しているなあ」と思えばいいだけだ。床下にバッテリーを配置したこともあり、ハンドリングは思いのほかいい。重心が下がったぶんだけ、安定感のあるハンドリングを得ていて、エンジン車のノートよりいいフィーリング。試乗車のメダリストは、標準グレードより防音処理が施されていることもあり、快適性も高い。燃費はカタログデータのJC08モードで34.0km/リットル。システムの成り立ちを考えると高速燃費にはさほど期待はできないし、ワンペダルドライブのメリットも高速ではあまり生かせない。しかし、街乗りメインで考えれば、ノートe-POWERはかなりいい乗り味を出してくれるはず。さらに価格が177万2280円~224万4240円と、200万円を切るモデルも用意されていることはなかなか大きな魅力だ。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★諸星陽一|モータージャーナリスト自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
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