チューブレスの乗用車用タイヤは釘が刺さっただけでは、すぐには空気が抜けないことも多い。刺さった釘をタイヤが締め付け、空気が漏れることを防いでくれるからだ。だから刺さっているのに気付かずに走行を続けているオーナーも多い。タイヤに釘などが刺さった場合、スティック状のゴムを接着剤とともに外部から穴に押し込み、パンク修理を済ませるのが一般的だ。これならタイヤをホイールから脱着することなく、パンクが修理できる。「しかしこうした外面修理では実は不十分、完全な修理をするためにはタイヤをホイールから取り外し、タイヤの内側から修理する内面修理をする必要があります」。そう語るのはパンク修理資材では国内唯一のメーカー、マルニ工業の説明員だ。同社のブースには、様々なパンク修理に対応する用品がズラリと並んでいた。パンク修理のサンプルとして用意されたタイヤのカットモデルにも様々なパンク修理材を貼り付けている。「ラジアルタイヤは釘などが刺さることでタイヤの内部構造であるカーカスやスチールベルトなどに穴が開いてしまうと、周囲に引っ張られる力が発生してしまうんです。だから内面修理に使うタイヤパッチには強力なナイロンコードが組み込んで補強するようにできています」。件の内面修理が必要な理由を、こう説明してくれた。なるほどタイヤパッチにも様々な形状があるが、厚みがあってしっかりとした手応えを感じさせる作りになっている。こうした内面修理を行えるのは、タイヤ販売店など高度な技術をもっているところのようだが、タイヤの脱着代を含めてもそれほど高くはそうだ。高速走行が多いユーザーは、安心のためにも内面修理を施すことをお勧めしたい。ちなみに近年採用が増えているランフラットタイヤに関しては、パンク後に走行を続けたものはサイドウォールが劣化してしまうので、パンク修理をしても使用することはできない。そのため、応急パンク修理剤を搭載しておくのも賢い手だろう。マルニ工業の応急パンク修理液は、スプレー式ではなく液剤と電動コンプレッサーを使ってパンク穴を塞いで空気を充填する。そのためパンク修理剤の有効期限が6年間と通常のものより長いのはユーザーにとっては有り難い。透明なチューブを使った応急パンク修理液のデモでは、ポリマーが絡み合ってパンク穴を瞬時に塞いでくれるのを確認できた。水溶性のため後で水で洗い流せるので内面修理の際にも作業性が高いのがメリットだそうだ。