再生に向けた鈑金から創造芸術への昇華、旧車を生み出すメタルワーカーが目指す頂…日本のBP職人がLAZZE工房で初研修 | CAR CARE PLUS

再生に向けた鈑金から創造芸術への昇華、旧車を生み出すメタルワーカーが目指す頂…日本のBP職人がLAZZE工房で初研修

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再生に向けた鈑金から創造芸術への昇華、旧車を生み出すメタルワーカーが目指す頂…日本のBP職人がLAZZE工房で初研修
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アメリカ・カリフォルニア州のグローバービーチに、金属加工を極めたい職人たちが世界中から集う工房「LAZZE.inc」がある。主宰するのは、自動車カスタムや金属アートの分野で知られるスウェーデン出身のメタル・シェイピング職人 Lazze(ラジー)ことLazze Jansson(ラース・ジェンソン)氏。ここでは、世界中の職人を惹きつけてやまない少人数制の特別な研修が行われている。

今回、日本から初めて2名のハンマーワーク職人がこの研修に参加した。一人は、テスラやアストンマーティン、ジャガーなどの高級車・EVの認定工場として高い技術力を誇り、日本のBP業界で高い知名度がある株式会社ビーライト創業者の小野隆二会長。もう一人は、パテ埋めや再塗装をせずに車のボディのへこみやえくぼを精密に修復する革新的な外板修復技術「セノキ流 総合外板修正」を確立したセノキモータースの瀬迺木信道代表取締役だ。

当編集部は二人に同行し、カリフォルニア州にあるLAZZE工房に赴き、貴重な研修の場を取材した。

叩く音がしない工房で1枚の鉄板が立体へと変わる

鈑金現場といえば、金属の鉄板を激しく叩く音が響き渡るのが通常だが、LAZZE工房は驚くほど静かだ。BGMのラジオが心地よく聴こえるほどの静けさの中で鈑金の研修が進む。鉄板を叩くのではなく、専用の機械を駆使して手作業で金属を成形していくからだ。

今回取材した研修は、全3コースのうち基礎となる3日間の1st step クラス。平らな1枚の鉄板から、手作業で自動車のフェンダーを成形していく工程を学ぶカリキュラムとなっていた。

平らな鉄板を自在に操る「4つの基本要素」

ラジー氏が提唱するメタル・シェイピング(金属成形)の本質は、非常にシンプルだ。平らな金属板に対して行えるアプローチは「切る」「曲げる」「縮める(シュリンク)」「伸ばす(ストレッチ)」という4つの基本要素のみで構成されている。

この原理さえ理解すれば、バイクのフェンダーから1932年式ロードスターのボディ、1941年式ウィリスのアルミボディに至るまで、思い通りの金属ボディを作り上げることができるという。

実際の研修では、プレス加工に頼るのではなく、手作業用の特殊な工具を組み合わせて成形を進めていく。

上下の金属ローラーで鋼板を挟んで圧力をかけながら往復させることで滑らかな曲面を作る「イングリッシュホイール」や、金属薄板に凸凹の筋をつけて補強や形状調整を行う「ビードローラー」、切断や溶接、加熱を一切せずに金属を縮めたり伸ばしたりしてカーブ形状を生み出す「シュリンカーストレッチャー」といった専用工具を使って金属を加工する。

工房を主宰するラジー氏は、幼少期から「捨てられた材料を新しいものへ生まれ変わらせる」ことに情熱を注いできた。一方向への折り曲げしかできなかった少年時代の課題意識から出発し、独学でツールの改良と技術開発を重ね、画期的な金属加工法を確立。1996年からスウェーデンで研修を開始し、2005年のアメリカ移住を経て、これまでに世界中から3,500人以上が受講してきた。金属加工を極めたい世界中の職人たちが集まるLAZZE工房は、まさに職人たちの憧れの地となっている。

職人技の先にある「アート」への挑戦

研修期間中、過去の受講生が制作したボディを載せた車両に試乗する機会があり、公道を問題なく走行できる高いクオリティだった。また工房には、25年前にアメリカで行われた最初の受講生が制作・寄贈したというフォードのV8エンブレムのオブジェが飾られており、技術の継承と絆の深さを物語っている。

ワンオフパーツの制作から、旧車ベースのホットロッド(1930年代アメリカ発祥のカスタムカー)車両の製作まで手がけるラジー氏だが、彼が最後に見据える夢は、自動車をテーマにしたアートの制作だという。

ラジー氏は、他者からのオーダーではなく、自身のクリエイティビティに従い、利益のためではなくパッションで作品を作り上げることに心血を注ぐ。自宅リビングに飾られた回転台付きのオブジェ(台座まで自身でオリジナル制作)は、まさにその情熱のあらわれだ。

世界的にレストアや旧車ビジネスへの注目が高まる昨今、金属加工を「車の修復」から「アート」へと昇華させるラジー氏の技術は、今後さらに存在感を増していくだろう。

今回、日本人初のLAZZE工房研修生となったビーライト小野会長とセノキモータース瀬迺木社長は、カリフォルニアで学んだ本物の技術とスピリットを持ち帰り、日本の車体整備業界に、これまでにないワクワクするような風を吹き込んでくれそうで、今後の二人の取り組みに目が離せない。

《カーケアプラス編集部》

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