国内ラリーの注目レースとなっているXCRスプリントカップシリーズ。中でも9月4日から6日まで開催される第6戦の「ラリー北海道」には数多くのチームが参戦することが予定されている。そんな中、トーヨータイヤがサポートする9チーム・10台のラリーカーが集結する公開テストが開催された。
◆シリーズの山場「ラリー北海道」に10台体制で参戦!新設のXC-2Sクラスに注目

昨年までは北海道を舞台に開催されていたXCRスプリントカップ、今シーズンからは北海道以外(秋田、群馬)での開催も始まり全7戦で争われている。さらにはクラス分けもXC-1、XC-2、XC-2S、XC-3、XC-3Sと5クラスに増えるなど、全国規模のラリーへと拡大中だ。そんなXCRスプリントカップの第6戦にあたる「ラリー北海道」への出場車両が集まるイベントが7月に愛知県岡崎市で開催されたので取材に訪れた。
「TOYO TIRESサポートチーム 公式テスト&合同プレスカンファレンス」(FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES主催)と銘打たれた同イベントは、その名の通りトーヨータイヤがサポートしているチームを一堂に集めたテスト走行&お披露目の場として設けられた。

XCRスプリントカップではトーヨータイヤの「OPEN COUNTRY」(オープンカントリー)シリーズ。R/T、R/Tトレイル、A/T IIIといったタイヤを採用するチームも多く、ラリーでの実績も十分。そんなオープンカントリーを履きこなしたラリーマシンを一度に見られる場として注目を集めた。会場は岡崎市の乙川河川緑地、この場所は2023年にはWRCラリージャパンSSが実施されたこともあるスペース。ここに特設コースが設置され、各マシンのテスト走行が実施されラリーファンならずとも注目のイベントとなった。
参加したのは以下の9チーム。まずは主催者であるFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES・三菱トライトン。哀川翔さんが監督を務める同チーム、ドライバーには川畑真人選手、コ・ドライバーは中田昌美選手が務める。同チームを含めたの参加車両のラインアップは以下の通り。

XC-1クラス
・HASEPRO Racing・三菱 デリカD:5:ドライバー/長谷川智秀選手、コ・ドライバー/厚地保幸選手
XC-2クラス
・FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES・三菱トライトン:ドライバー/川畑真人選手、コ・ドライバー/中田昌美選手
・圭rallyproject with MMC TOYO TIRES・三菱トライトン:ドライバー/竹岡圭選手、コ・ドライバー/山田政樹選手
・K-one Racing with TOYO TIRES・トヨタ ランドクルーザー250:ドライバー/松山北斗選手、コ・ドライバー/羽琉選手
・TEAM JAOS・レクサス GX550h:ドライバー/能戸知徳選手、コ・ドライバー/田中一弘選手
XC-2Sクラス
・WISTERIA with TOYO TIRES・スバル フォレスター:ドライバー/藤野秀之選手、コ・ドライバー/玉城詩菜選手
・TCP MAGIC with TOYO TIRES・マツダ CX-60:ドライバー/寺川和紘選手、コ・ドライバー/川美代子選手
XC-3クラス
・High Bridge First with TOYO TIRES・ジムニー:ドライバー/小玉絵里加選手、コ・ドライバー/松下和樹選手
・High Bridge First with TOYO TIRES・ジムニーシエラ:ドライバー/坂本誠選手、コ・ドライバー/花田圭一選手
・CUSCO Racing・スズキ ジムニー:ドライバー/炭山速斗選手、コ・ドライバー/坂井理崇選手
◆ラリー北海道のステージにもよく似たフラットダートでテスト

各チームのテントやサポートメーカーのブースが並ぶ河川敷の会場の横に設置されたのがフラッドダートの特設コース。午後からはコースオープンとなり各車が走行を開始する。プレスカメラマンの撮影に交じって、コース脇には一般来場者も観戦に集まってきた。中には子供連れの来場も見られる。コースのすぐ横でラリーカーの走りを見られるというめったにない環境なのもこのイベントの魅力。観客の中にはコーナーでスライドするラリーカーが巻き上げる土をあえて被って楽しんでいる来場者も見られるなど、ラリーの迫力を存分に味わえるイベントとなっていたようだ。

今回最も注目したのは新たに設定されたSUV向けのカテゴリーであるXC-2S。クロカン4WDやトラックに加えて、SUVでの参戦が目立つようになってきたXCRスプリントカップに今シーズンから導入されたカテゴリーだ。ここに参戦しているのがWISTERIA with TOYO TIRESのスバル『フォレスター』、ドライバーにはD1GPで昨年のシリーズチャンピオンでもある藤野秀之選手を擁する。
昨シーズンのXCRスプリントカップではジムニーシエラでの参戦でXC-3クラスのシリーズチャンピオンを獲得、今シーズンは新型のフォレスターにマシンをチェンジして臨む。藤野選手にラリーへの適性や走り方について聞いてみた。

「とにかくグラベルでも乗りやすくて速く走らせることができます。しかしフォレスターはまだパーツが少ないので、セットアップが進めばさらにポテンシャルアップできると考えています」。さらにタイヤについてはオープンカントリーのR/T(225/60R17)を採用する、タイヤに対するフィーリングも聞いた。

「昨シーズンのシエラからオープンカントリーR/Tを使っていますが、滑らして走る際のコントロール性が良いのが魅力です。また悪路ではタイヤに負担がかかりますが、バーストなどのトラブルをまったく心配しないで思い切って行けるのも安心感が高いです。おまけですがリエゾンの移動で一般道を走る際に、乗り心地も良いし騒音も少ないの次のステージに向けてリフレッシュするには最適です」

ドリフトで培った藤野選手流の走りをラリーにフィードバックするドライビングスタイルについても聞いてみると「クルマが横に向くのには慣れてますから、ラリーでも積極的に滑らして曲げています。コーナーやコンディションによって滑らせると速いのか、ステアリングで曲がるのかを瞬時に判断して積極的に滑らせて曲げるように考えています、なるべく車体に横Gを掛けない走り方も心がけています」とのことだ。

合同テストに参加した車両の中で注目したのはFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESの三菱『トライトン』。川畑選手の走りはとにかくスムーズ&迫力いっぱい。コーナーでは観客へのサービスも兼ねて派手にスライドさせるシーンも見られた。マシンは熟成も進み、2026年バージョンではカラーリングをトーヨータイヤをイメージして青系にチェンジ、さらにECUの最適化やブレーキの変更、サスペンションのリニューアルなども加えて戦闘力を大きくアップさせているのも見どころとなった。

川畑選手は「トライトンはセットアップも進み、乗りやすいマシンに仕上がってきました。またタイヤもオープンカントリーR/Tトレイル(265/70R17)を用いていますが、コントロール性の良さが魅力です。速さはもちろんですが天候が急変しても対応できるのも心強いタイヤです。これらの要素がかみ合った今シーズン、ラリー北海道ではチャンピオンを目指します」と語ってくれた。

総監督の哀川翔さんもデモランでは助手席に座って走行した上で「前回乗った時よりもスムーズに走るマシンに仕上がっています、もちろん望むのはトップです。しかし同時にタイムだけじゃなく楽しむラリーをやって欲しいです」とコメントした。

もう1台のXC-2Sクラス参加車両であるTCP MAGIC with TOYO TIRESのマツダ CX-60、チーム代表の川戸さんにCX60の優位性やタイヤチョイスについて話を聞いた。「直6 3.3Lディーゼルに48Vのマイルドハイブリッドの組み合わせはラリーで有利です。特にマイルドハイブリッドはパワーがパンと出る感覚がメリットとなります。

タイヤはオープンカントリーR/T(265/60R18)を採用していますが、ラリーではタイヤが空転して熱が入ることも多いです。しかしそんな時にも熱に影響されにくい・熱ダレが少ないのがオープンカントリーの優位性でしょう。ブロックのコシの強さもあって、しっかりと駆動力を路面に伝えるパフォーマンスにも長けています」。

同じくXC-2SクラスにレクサスGX550hで参戦するTEAM JAOS、ラリー車両としては珍しい存在のハイブリッド車を採用しているのが同チームの特徴のひとつ。2025年のBAJA1000ではクラス2位を獲得(ハイブリッド車史上初の完走)するという輝かしい実績もあり、ハイブリッド車のラリーマシンとしての可能性を高める存在でもある。

ドライバーの能戸知徳選手は「BAJA1000と同じ車種でXCRスプリントカップにも参戦します。環境を負荷を抑えつつモータースポーツを戦っていきます」とハイブリッド車での参戦への意気込みを語った。使用タイヤはオープンカントリーA/T IIIだ。

XC-2クラスにトライトンで参戦を続けている圭rallyproject with MMC TOYO TIRESの竹岡圭選手にも話を聞いた。「今シーズンはマフラーの変更を予定しています、またシュノーケルの微調整も行って走りのパフォーマンスアップを目指します。目標はいつもどおり完走です。

オープンカントリーR/Tトレイル(265/70R17)のフィーリングはとにかく向きが変わりやすいです、ハイスピードランではライバルに及ばなくても、コントロール性で詰めるのがチームの方針です。その点でもR/Tトレイルは絶好のタイヤです」
◆世界中のラリーレイドで鍛え上げられた「OPEN COUNTRY」で足元を支える

今回の合同テストに参加した9チーム10台のラリーカーにタイヤサポートを実施するトーヨータイヤ、ラリーにおける高いパフォーマンスを誇るオープンカントリーの各モデルの魅力についてトーヨータイヤのグローバルマーケティング部・吉川部長に話を聞いた。「オープンカントリーは数々のレースに参戦することで鍛えられてきた歴史があります。BAJAやダカールラリーなど、世界的なラリーからのフィードバックが製品開発につながっているのが強みです。その一例がトレッド面やサイドウォールの剛性です。またカーカスやベルトなどの内部構造の素材もレースのフィードバックを受けて進化しています」

「XCRスプリントカップはクロカン4WD、トラック、SUV、デリカD:5、ジムニーなど車種もカテゴリーも様々で、さらに使用するタイヤもオープンカントリーR/T、R/Tトレイル、A/TIIIと幅広いです。このラリーから得られるフィードバックは大きなものとなります。ここで得られたレースの知見を活かしてさらに、信頼性の高いタイヤ供給を目指していきます」と語った。

今週末8月1日から2日に開催される「ASAMA ATTACK」には、WISTERIA with TOYO TIRES、FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES、TEAM JAOS with LEXUS、K-one Racing Team with TOYO TIRES、圭 rp×三菱自動車×TOYOTIRESなど7台が参戦。9月に開催されるXCRスプリントカップ「ラリー北海道」、トーヨータイヤのオープンカントリーを履きこなした10台のラリーマシンの、本番での熱い走りに期待だ。


