赤碕ダイハツ有限会社が「第5回 整備事業者アワード2026」の大賞を受賞 | CAR CARE PLUS

赤碕ダイハツ有限会社が「第5回 整備事業者アワード2026」の大賞を受賞

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赤碕ダイハツ有限会社が「第5回 整備事業者アワード2026」の大賞を受賞
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2026年4月20日、自動車アフターマーケットの未来を切り拓く事業者を顕彰する「第5回 整備事業者アワード2026(主催、日刊自動車新聞社)」の表彰式が開催された。数ある先進的な取り組みの中で、栄えある大賞に選出されたのは、鳥取県東伯郡琴浦町に拠点を置く赤碕ダイハツ有限会社(代表取締役 上田啓悟氏)である。同社が主導する「過疎地域のカーライフを守るコトモビ」プロジェクトは、地域の整備難民を防ぐという本業での地域貢献が高い評価を得ての受賞となった。

「整備難民」の発生と地方インフラの崩壊

鳥取県中部に位置する琴浦町は、人口約15,000人に対し高齢化率38.9%と、典型的な過疎化の課題を抱えるエリアである。公共交通機関の撤退が相次ぐ中、自家用車は単なる移動手段を超えたライフラインとして機能している。しかし、この生命線を維持すべき整備業界の足元が揺らいでいる。大手ディーラーの撤退や、後継者難による町工場の廃業が相次ぎ、エリア内では整備難民が現実の問題として浮上していた。

上田氏は当時の危機感を「このままでは地域の移動が失われてしまうのではないかという危機感がありました。公共交通機関の脆弱な地方では、自動車はインフラ、まさにライフラインです。しかし、少子高齢化、整備の高度化、働き方改革……我々町の整備工場にとって、難題は増えていくばかりでした」と振り返った。

競合をパートナーへ変える「地域最適」の思想

上田氏が導き出した答えは、個社での生存競争を捨て、地域全体で維持機能をシェアする「琴浦モビリティグループ(コトモビ)」の結成であった。これは、単なる親睦団体ではない。休日や繁忙期の分散、得意分野に応じた業務の外注化、高額な整備設備や検査機器の共有、さらには事故・故障時の緊急対応に至るまで、実務レベルでの強固なアライアンスを構築したのである。特筆すべきは、同業他社という競合をパートナーへと転換させた点だ。

上田氏は「市場が小さくなっていく中で、自分の会社ばかりが頑張ったところで、5年・10年先の安定した経営は望めないという結論に達しました。自分たちのことだけを考える競争ではなく連携。個社最適ではなく地域最適へと考えを変えました」と個社最適の限界を強調した。

この「地域最適」という視点は、今後の自動車アフターマーケットを読み解く上で極めて重要なキーワードとなる。OBD車検への対応や特定整備制度の運用など、現代の整備には多額の設備投資と高度な技術力が求められる。個社でこれらすべてを網羅することはもはや不可能に近い。コトモビのモデルは、設備や技術を地域で共有資産化することで、コストを抑えつつ提供サービスの質を維持する、合理的な生存戦略と言える。

ユーザーに与える「安心」という付加価値

この取り組みがユーザーにもたらした最大のメリットは、移動の自由の「継続」である。上田氏のスピーチの中で「あるお客様から『1人だと迷惑をかけるから、そろそろ免許返納をしなくちゃいけないと思っていたけれど、琴浦町にはコトモビがあるから、あと3年運転することにしたわ』と言われました」と、高齢顧客とのエピソードを紹介した。

整備工場が連携し、24時間365日のバックアップ体制(緊急対応の共有など)を構築することは、ユーザーにとって「この町にいれば、万が一の時も誰かが助けてくれる」という強力な心理的安全性に直結する。これは、個別の整備技術だけでは成し得ない、地域インフラとしての整備ネットワークが持つ真の価値である。

業界の標準モデルに

赤碕ダイハツの上田氏は、最後に「地方の車屋も全然錆びれていく業界ではなくて、これからもっとかっこいい整備士、かっこいい車屋を排出して、息子たちが帰ってきたい、若い人たちが田舎で就職したいと思えるような幸せな地域を作っていきたい」と締めくくった。

日本の自動車保有台数が減少局面にある今、従来の「待ち」の姿勢や、価格競争によるシェアの奪い合いは、地域全体の共倒れを招く。コトモビが証明したのは、競合他社と手を取り合い「地域全体の維持能力」を高めることが、結果として自社の存続とユーザーの利便性守る最短ルートであるという事実だ。過疎化という逆境を「連携」という武器で突破した琴浦町の事例は、全国の整備事業者にとって、2030年代を生き抜くための標準モデルとなるべきものだろう。

《カーケアプラス編集部》

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