現代のクルマと切っても切れないのがECUチューン。エンジンを制御するコンピュータの内部データを書き換えることで、意図的に封印されているパワーを開放したりできる。
アクセルペダル操作に合わせたスロットルバルブの開き方を変えたり、ターボ車ならブースト圧を変えることで、より強い力でエンジンに空気を押し込むことができる。
◆パワーアップは確実に出来る!
裏に潜むECUチューニングの暗部とは
このECUチューンは現代のチューニングでは必須のもので、ECU書き換えができなければマフラー交換さえもできない車種もある。ECUでデータを最適化しないとエンジンチェックランプが点灯してしまったりするのだ。
だが、このECUチューンは自動車メーカー的にはNG。ECU内部にアクセスしてデータを書き換えるもので、いわばハッキングのようなもの。そこで問題になるのがプロテクトである。エンジン制御コンピュータの内部データは自動車メーカー的には触ってほしくない。そこでさまざまなプロテクトを掛けてあるわけだが、それをチューニングのプロたちはかい潜って書き換えているのである。
現代のクルマではそのプロテクトも厳しくなっていて、簡単にECUチューンができない車種も増えているのだ。そこで問題となるのがそのECUチューンができない車種。とくに最新車種ではECUチューンができない場合も多い。そこで今、注目されているのが圧力センサー割り込みコンピュータだ。
たとえば、ノーマルでブースト圧が1.0kg/cm2に設定されているクルマがあるとする。そこで圧力センサーでブースト圧が1.0kg/cm2のとき、この機械を通すことでクルマのECUには0.8kg/cm2という信号に変化させる。するとクルマ側はまだ0.8kg/cm2と認識しているのでもっとブースト圧を上げて1.0kg/cm2にしようとする。すると実際のブースト圧は1.2kg/cm2程度まで上がるというもの。
メインECUのデータは書き換えずに、圧力センサーからの信号をアレンジすることで簡易的にブーストアップがされるのだ。タービン交換のような大幅な変更はできないが、軽くブースト圧を上げるくらいならば十分に可能。データとしても純正データのままなのでトラブルが起きることもほとんどない。それでいてターボ車なら20~30psのアップが可能。コスト的には10万円以下なのでそのパフォーマンスにも優れるのだ。そして、最大の魅力はECUチューンが確立されていない車種にも対応できることだ。
もともとこういったパーツは90年代から発売されていた。その後メインECU書き換えチューンが主になり、すっかり過去の存在になっていたが、ECUチューンが難解な車種が増え、再び注目されているのだ。車種によってはメインECU書き換えとほとんど結果が変わらないこともあり、圧力センサー割り込みコンピュータチューンが主流になっている車種もあるのだ。
◆手軽にパワーアップ出来るからこそ
メンテナンスも考えないと最悪の事態が!?
気をつけたいのは手軽なチューンではあるが、ブースト圧が高まっているので、エンジン側の状態はしっかりと健康を維持しておきたい。純正プラグを新品にする。熱価はプロショップのアドバイスに従って選んでもらいたいが、無闇に熱価を上げるのもデメリットがあるので慎重に。
エアクリーナーフィルターなども新品に。汚れていると思った以上に排気抵抗になることもある。また、エアクリーナーボックスごと交換している場合などは、圧力センサー割り込みコンピュータ側が対応しているか要確認。
吸気側のレイアウトが変わると大幅にセッティングが変わることがあり、それがエンジンに致命的なダメージを与える可能性もある。その組み合わせによっても可否があるので、こっちを付けたほうが良かろうとか、パワーが出そう、などの推測ではなく、しっかりとパーツ選びをプロデュースしておきたい。
そういった基本さえ押さえておけばローリスク・ハイリターンで楽しめるのがこのチューニングのポイント。簡易的なブーストアップと侮るなかれ、きちんとした効果でもっと走りが楽しくなることは間違いない。