ボッシュは10月26日に開幕したジャパンモビリティショー2023に出展。“Let's shape the new era of mobility, together.”をテーマとし、持続可能なモビリティ社会を築くための多岐にわたるソリューションを展示している。同日の記者会見では、代表取締役社長クラウス・メーダー氏と取締役副社長クリスチャン・メッカー氏が、日本市場での強固な成長と、ソフトウェアを核とした事業展開について語った。
ボッシュの2023年の日本国内売上は、前年の3400億円から20%以上増加し、過去最高を更新する見込みだ。これは、日本の自動車生産台数が10%増と予測される中で、ボッシュの売上がそれを上回る速度で回復することを意味している。メーダー氏は、「ボッシュの日本での拡大は、地元の自動車メーカーをサポートすることが目的であり、ハードウェアだけでなくソフトウェアカンパニーとしても進化していく必要がある」と強調した。
ボッシュは、ハードウェアの強みを活かしつつ、ソフトウェアを主軸にした製品やサービスを提供している。特にeモビリティ製品では、SiCチップからドライブシステム一式までをカバーし、2026年には60億ユーロの売上を目指している。メッカー氏は「ボッシュは、システムサプライヤーを超え、ソフトウェアを中心とした自動車開発のトレンドに対応している」と述べた。
具体的なソフトウェア製品としては、横滑り防止装置ESCの中核制御システムとして機能する「ビークル ダイナミクス コントロール2.0」がある。この製品はマツダ『ロードスター』改良新型に採用され、ドライバーのコントロール範囲を広げながら安全を確保する「DSC-TRACK」制御モードも開発された。
加えて、ボッシュはソフトウェアを活用したサービスも提供している。例えば、「RideCare Insight」はフリート管理向けのサービスであり、センサーボックスとAIを用いたクラウドベースのデータ分析を通じて、車両の損傷や車室内の喫煙を検知し、管理者にリアルタイムで通知する。2023年末までには、日本の顧客が北米で展開するカーリース事業向けに実証実験が行われる予定だ。