エンジンの生命線! 水温管理の重要性 | CAR CARE PLUS

エンジンの生命線! 水温管理の重要性

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ラジエーターの正しいイジり方
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夏場だけではなく、サーキットでスポーツ走行をするならしっかりと施しておきたいのが水温対策。エンジンの寿命に直結するだけに重要になるが、ラジエーターを厚くすればいいというものでもないのだ。

空冷ポルシェを除くほとんどのクルマのエンジンは冷却水によって冷やしている。エンジンは適温にしておくことが重要で水温が高くなるとダメージを受けてしまう。最近のエンジンはほとんどがアルミ製でオーバーヒートすると歪みやすい。歪んでしまうとパワーが落ちるどころか、冷却水が漏れ出したりと深刻なトラブルになって、ほぼ再起不能。直すより中古エンジンに積み替えたほうが遥かに安いという話になる。

◆水温管理の重要性

一般的なラジエーター

水温管理は必須だ。だが、通常街乗りではノーマルのラジエーターで十分。サーキットでスポーツ走行をしようとか、大幅なパワーアップをした場合には冷却対策が必要になる。そこでラジエーター交換という話になる。昔は「銅3層」とか「アルミ2層」に交換したなんてという人も多かった。

これはノーマルよりもコア増しをして、厚みを出したラジエーターに交換したということ。厚みが増えて放熱する面積が増えることで冷却性能をアップさせようということなのだ。たしかにそれも対策のひとつ。実際にひと昔前はそれで上がっていた水温を下げることができた。

しかし、厚みを増やしたラジエーターにはデメリットもある。まず、重さの問題。単純に厚みが増すことで蓄える水量が増えて重くなる。大した重量増ではないと思いたいが、特に車体の先端でオーバーハングの先なので効果が大きく現れやすい。悪い意味で重さが効きやすいのだ。

ボンネットの先端はとくに重さにはシビアな部分。エンジンルーム内のバッテリーをドライバッテリーにすることで10kg程度軽くしても軽快感は味わえる。ボンネットを鉄製からFRP製にすることでも約10kgくらい軽量化ができるが、それでも明確にわかるほど効くもの。それがエンジンルームの先端で数kg重くなると当然重くなった効果が出てしまうのだ。

◆ラジエーターは強化すればいいというわけでもない!?

非常に目の細かいラジエーターも存在する

実は厚みがあるラジエーターの方が冷却には不利という考えもある。そもそもラジエーターは冷却水の温度を空気中に放出するもの。チューブと呼ばれる楕円形の水路を冷却水が流れ、空気によって冷やしていく。そのときに効率をよくするためにチューブとチューブの間にギザギザのフィンを入れて、表面積を増やしてよく冷えるようにしている。

そこで重要になるのが流速だ。ラジエーターに流れ込む風の速さのこと。風がラジエーターに当たって、抜けていかないと熱を奪うことができない。この抜けが重要で、厚みを増やすほど風は抜けにくくなる。風が抜けないと冷えないので、厚いラジエーターにするほど冷えるというわけではないのだ。

重要になるのがこの風の抜けと厚みのバランス。例えば富士スピードウェイのような高速コースがメインだったら、流速の高い風がバンバン入ってくるので厚いラジエーターでも冷える。しかし、ミニサーキットを走るならむしろ薄めのラジエーターの方がよく冷えることも多い。つまり純正ラジエーターの方がよく冷えるなんてこともあるのだ。

この流速と厚みについては、厚みだけでなくフィンピッチなども同じように深く関係がある。フィンピッチとはフィンのギザギザの細かさのこと。フィンピッチが細かいと風は抜けにくいが表面積は大きいので高速ステージ向き。逆に低速ステージを走るなら風が抜けやすいフィンピッチが粗いもののほうが冷えやすい。

◆ラジエーターにも相性がある

スポーツ性能の高い車輛はフロントグリルも独特

このようにフィンのピッチでも冷え方は大きく変わる。なので「どこそこのラジエーターは高かったのに冷えない!!」なんて話を聞くが、それはどんなステージ用に作られたものかを見極めなければならない。渋滞から300km/hまでどんなところでもいつでも最高に冷えるラジエーターというものは存在しないのだ。

あとは材質。一般的に銅は自己放熱性が高く、風が当たらなくても冷えやすいので街乗りやミニサーキット向き。アルミは風が当たらないと冷えにくいのでサーキット向きと言われていた。しかし、それもひと昔前の話で、現在はそもそも銅製ラジエーターを製造できるメーカーが減り、アフターパーツでもほとんど銅製がない。その代わりにアルミ製でフィンピッチや厚みなどを最適化することで、街乗りでもよく冷えるモデルなども増えてきている。

ラジエーターは付けるだけで冷えるかどうかは設計によるので、購入前にどんなステージ向きに作られているかよく確認して購入するようにしてもらいたい。

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《加茂新》

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