走って、学んで、笑って…ポルシェの魅力を満喫できる「女性限定体験プログラム」 | CAR CARE PLUS

走って、学んで、笑って…ポルシェの魅力を満喫できる「女性限定体験プログラム」

イベント イベントレポート
ポルシェエクスペリエンスセンター東京で開催された「女性限定体験プログラム」に参加
  • ポルシェエクスペリエンスセンター東京で開催された「女性限定体験プログラム」に参加
  • 「キックプレート」
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  • 記念撮影(ポルシェ女性限定体験プログラム)
  • ポルシェ女性限定体験プログラム
  • 「ローフリクション ハンドリングトラック」
  • 「ローフリクション ハンドリングトラック」
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自分の乗りたいポルシェを選び、クローズドコースでインストラクターのアドバイスを受けながらその性能と走りを堪能する。ポルシェが開催している体験プログラムでは、日常では味わえない高揚感とスポーツカーを駆る楽しみを得ることができる。

場所は、2021年10月千葉県木更津市にオープンした「ポルシェエクスペリエンスセンター東京」(PEC東京)。そこで昨年末に開催された「女性限定体験プログラム」に参加した。

◆女性だけの特別プログラム

オーナー向けのドライビングレッスンなどは他メーカーでも行われているが、PEC東京でのプログラムの特徴はポルシェを所有していなくても参加できることだ。通年では90分のドライビングプログラムを用意している。料金は車種によって異なり、718 ケイマンなら4万7000円、911 カレラを選択すると6万4000円、911 GT3は10万9500円といった具合。2車種を乗り比べできるプランもある。

女性限定体験プログラムは22年3月の国際女性デーに合わせて初開催され、今回で5回目の実施となった。ドライビングプログラムに加え、EV『タイカン』のデモンストレーションラップ、レストラン906でのブランチ、EV講座・チームビルディングを行う。モータージャーナリストの藤島知子氏も、参加者と共に走行を楽しみつつドライビングやポルシェについて語り合い、EV講座などでのサポートをする。

当日は、『718 ケイマン』『718 ケイマンGT4』『718 ケイマン GTS 4.0』『911 カレラ』(2台)『ボクスター』『911 カレラGTS』『911 GT3』『911 ターボ』『911 カレラ4』で10名が参加した。筆者は3リットルの水平対向6気筒エンジンを搭載し、最大出力480PS、最大トルク570Nmを発揮する911 カレラGTSでプログラムに臨んだ。

◆コースやモジュールで走り尽くす

●「ローフリクション ハンドリングトラック」

早速インストラクターから運転技術を学び、ポルシェの性能を知ることができるドライビングプログラムへ。まずは施設内にあるモジュールの一つ、「ローフリクション ハンドリングトラック」へ向かった。ここは、滑りやすく加工された路面で急なコーナーが連続する。パッと見はわかりづらいのだが微妙に高低差も付いている。低速域でオーバーステアとアンダーステアを誘発させ、車両のコントロール方法をトレーニングすることが可能だ。コースの内と外にコーンが置いてあり、赤いコーンでは減速、緑のコーンではアクセルを踏んで車体の動きに応じてステアリングを上手くコントロールしていく。PSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム、横滑り防止装置)をオンにしている時は問題なくスムーズに曲がっていけるのだが、オフにすると当然横方向の制御が効かなくなる。少しアクセルを踏み込み過ぎたため、アンダーステアが出て外側に膨らんでしまった。ちょうど良いところでオフにする感覚を掴めれば、クルマが小さく回ってくれる。

慣れてくるとインストラクターから「次は目線を遠くに移していきましょう」と声がかかる。手前の赤いコーンから2つ先の緑のコーンを見て…となるべく先を見るように気をつける。「目線の移し方で、運転が非常に楽になります。自分がやりたいことの2テンポ先くらいを考えて、ここにクルマをもっていくというイメージをするとより走りやすくなります」というアドバイスを受けた。

●「キックプレート」

次に向かった「キックプレート」は、散水した路面にプレートが埋め込まれたモジュールだ。リアタイヤが通過する瞬間にそのプレートが左右どちらかにスライドし、車両を強制的にスピンさせるシステム。世界中でも導入されている施設はわずかで、アジアでは上海とここPEC東京の2カ所のみでしか体験できないという。メンテナンスも海外から専門の整備士を呼んで行っているそうだ。プレートが動く方向はランダムなので、どちらにスピンするかはわからない。車両の動きに応じてとっさに判断し、カウンターステアを切らなければならない。反射神経や自分の行きたい方向にしっかりとステアリングを切れるかが重要になる。

先に出ていったクルマがくるりと一回転する姿を見て「おお、あんな風になるのか…」と少しぎょっとするのだが、「落ち着いてしっかりと対応すれば大丈夫」というインストラクターの言葉に勇気づけられ、意を決して突入。30~40km/hにスピード合わせ入っていくと、リアに衝撃がありクルマが向きを変える。一瞬のことなのであれこれ考えている暇はない。始めはPSMをオンにしているので、クルマが反対向きになることはなく何とか真っ直ぐ止まることができた。

一度やってみれば楽しさが勝るのがこのキックプレート。次はPSMをオフにしてみる。自分でも少し遅れたと感じたが、車体が横向きになってしまった。PSMの性能とありがたみを実感するとともに、次こそは成功したい、という気持ちが湧いてくる。数回挑戦するうちにPSMオフでも体勢を立て直せるようになった。ここでも大切なのは目線だ。「どうしてもクルマが動いた瞬間に、体が向いた方向を見てステアリングもそちらに切ってしまう人が多い。そうするとスピンしてしまいます。クルマが向きを変えても自分が行きたい方向をしっかりと見ていれば、体も反応して体勢を立て直すことができます」とインストラクター。極力避けたい状況だが、日常でもハイドロプレーニング現象や雪道などでスリップする可能性はある。その時にクルマはどんな状態になるのか、どう対処すればいいかを知っていることは安心につながると感じた。

●「ダイナミックエリア」

「ダイナミックエリア」はドライ路面で、フル加速によるローンチコントロール、急制動、スラロームを体験できる。普段の運転ではなかなか体験することがないが、アクセルを思い切り踏み込んだらどうなるのか、どのくらいの距離で停止できるのか、どのくらいのインパクトがあるのかを知る良い機会になる。ノーマルモードは一般道の走行をイメージしたモードなので、エンジンの出力が押さえられておりクラッチの繋がり方もマイルド。サスペンションも柔らかめに設定されている。スポーツ+モードは、エンジンの出力がアップしギアの上がり方も明確になる。0-100 km/h加速3.7秒を誇る911カレラSのパワーと性能を実感する。

その後は、スラロームだ。PSMとのオンオフや走行モードを切り替えながらクルマの挙動の違いを試す。今回の車両には「ポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)」も装備されていたので、ロールコントロールの効果も感じられた。スポーツ+モードではよりシャープにパイロンを回っていける爽快感を味わえる。

●「ドリフトサークル」

次は、散水された低ミュー路の円周コースへ。定常円でくるくると周りながら、アンダーステアとオーバーステアを体験する。徐々にアクセルを踏み込み40~45km/hくらいでフロントが逃げていきアクセルを抜くとリアが滑り出す。カウンターステアを当てて、ゆっくりとアクセルを踏みドリフトに挑戦しようとするのだが、これが難しい。踏み込みすぎてスピンしてしまった。クルマが滑り出すタイミングを見極め、的確にステアリングを切り、アクセルもコントロールしなければならない。「ボクスターは4気筒のターボなのでパワーが出づらく、出るときは一気に出るので難しいけれど、これ(911カレラS)ならあまりアクセルを踏み込みすぎなければドリフトできると思います」と言われたものの、完璧に成功させることはできなかった。

とは言え、名前に合わせて必ずドリフトをしなければいけない、というわけでもない。インストラクターによれば「クルマの動きを把握して、コントロールのコツを掴めればOKです。横スライドの制御ができていない人は、一気に回ってしまう。滑った後ずるずるずるとゆっくり回っている場合はコントロールできている証拠」とのこと。「惜しかったですね。あそこまでできればもう少し」と励ましを受けてコースを後にした。

●「ハンドリングトラック」

PEC東京を囲むように作られたハンドリングトラックは、鈴鹿サーキットのS字、ニュルブルクリンクのカルーセル、ラグナセカのコークスクリューなどをモチーフにしたコーナーが設けられたエキサイティングなコースだ。全長は約2.1kmあり、約40mの高低差が付けられている。

1周目は50km/hほどで左側をキープ。2周目から速度を上げてホットラップに入る。ライン取りやアクセル、ブレーキングのポイントなどをインストラクターに教わりながら、周回を重ねていく。ここのコーナーにも緑と赤のコーンが置いてあり、加速・減速の目安になる。起伏があり、様々なコーナーも用意されているので、スピードを上げていくとチャレンジングなコースであることがわかった。

始めに一通りインストラクターの運転でコースやモジュールの説明があった後は、どこへ行っても良い。ハンドリングトラックで悠々と走りを楽しむのも良し、ドリフトサークルでひたすらドリフトの練習をするのも良しだ。インストラクターによれば、「上手くできなくて悔しい! と同じコースで何度もトライする方もいれば、また今度にして他のコースを楽しむという方もいて人それぞれ」とのこと。どのように90分を使うか、自分で選べるのも嬉しい。また、コース内には複数台の車両(参加者)がいるが、こちらがリラックスして臨めるようインストラクターが的確に案内をしてくれる。

なるほどポルシェは技術の粋を集めた高性能なスポーツカーだ。しかしこのプログラムでは、基本的な運転テクニックも丁寧に教えてもらえる。どんなクルマでも安全に運転するための基礎は同様。911 カレラSの楽しさを味わうと共に、日々のドライブに役立つ有意義な知識も得られた。

◆EVでどう走るか? 旅のプランを考える

ドライビングプログラムの後は、タイカンのデモンストレーションラップを体験。参加者3人で1台に同乗し、インストラクターの運転でハンドリングトラックを2周走る。プロの運転、EVならではの加速感や乗り心地に「さっき走ったコースと同じとは思えない、景色が全然違う」「今までにない感覚」と驚きの声が上がる。近未来的なポルシェエレクトリックスポーツサウンドには「宇宙船みたい」との感想が聞かれた。

その後は、レストラン906でブランチが振る舞われた。PEC東京のコースを眺めながら、見た目にも味にもこだわった料理に舌鼓を打つ。

続いて、3つのチームに分かれ、EVに関するチームビルディングを行う。普段EVに乗っているという人はゼロ。筆者が訊いた範囲でもEVに乗ったことがある人はおらず、先程のタイカンが初めてとのことだった。各社からEVモデルが登場し注目度は徐々に高まりつつあるものの、まだ“身近な存在”ではないようだ。ポルシェは「2025年には新車の半分を電動車(EV・PHEV)にする」という目標を掲げている。先程のデモラップとあわせ、EVについてもっと知ってもらいたいと用意された時間だ。

まず始めに、EVの歴史や特性、充電形式の種類などが説明された。それらの内容を踏まえ、いよいよチームビルディングにトライ。テーマは「タイカンで京都まで行こう」だ。タイカンは50%、約200km走れる状態まで充電した状態で、朝8時にPEC東京をスタート。その日の20時までにウェスティン都ホテル京都に到着することを目標とし、旅のプランを考える。目的地までは約500kmあるので、途中で必ず充電が必要になる。途中どこに寄って何をするかは自由。時間内に到着すればOKだ。

Googleマップを駆使し、ポルシェのチャージングマップも活用しながらどこで充電するかを考える。ポルシェのスーパーチャージャーは20分で200km分、急速充電なら30分で100km分、普通充電なら1時間で32km分充電が可能。充電量と残量、滞在時間、目的地までの距離を計算しながらルートを組む。

その後各チームの代表者が自分たちの考えたプランを発表し、挙手によって優勝が決まる。見事一番多く票を集めたのは、富士スピードウェイと鈴鹿サーキットをハシゴしてスポーツ走行と長距離ドライブを楽しむ旅を提案したチーム。せっかくタイカンで旅をするならと、走りに走ってその魅力を存分に味わう1日を過ごすプランだ。

もう一つのチームは富士スピードウェイに寄りつつ、静岡の人気ハンバーグ店「さわやか」でランチ、富士山とタイカンの2ショットを撮影し、走りも食も楽しむプラン。途中「浜松のポルシェセンターに立ち寄って充電をしたいところだが、残念ながら充電器がない」との鋭い指摘も。ポルシェの担当者によれば浜松には2023年中に充電器が設置される予定だそうだ。

一方、著者のチームは、浜松でうなぎを食べることを絶対目標として、プランを構築。横浜でブランチ&充電の後、浜松で昼食、名古屋のヒルトンホテルで充電するとレストランやカフェが10%オフになるとの情報を得て、当然プランに組み込む。19時過ぎにホテルへ到着し夕飯を堪能する、という終始食に特化した内容で、一度もサーキットで走るという考えが浮かばなかったが、これが満場一致の理想的プラン。チームワークは抜群だ。アイディアを出し合いながら参加者同士で和気あいあいと楽しい時間を過ごした。

藤島氏はチームビルディングを振り返ってこう語る。「やはり電気自動車(EV)はまだ新しいものとしてよくわからない部分もあると感じている人が多いと思います。まずは、イメージを持ってもらうことが重要。EVやタイカンについて理解を深める一つの機会になると思いますし、改めて感じるのは女性が旅のプランを考えるのが得意だということです。EVの仕組みや充電しながらどこかへたどり着いて…って知らないと結構難しいと思うのですが、本当に少しのヒントしかなくても京都までにここに寄ってあそこに寄って、何分充電すれば何km走れるとすぐ理解して、皆さんでわいわい楽しく話し合ってくれるんです。長距離をEVで出かける楽しみってそういうところにあるんだなってこちらも気付かされるし勉強になりました。

今回のプログラムでは初めての人にもわかりやすく噛み砕いた説明をしているので、カーボンニュートラルとこういったモビリティの両立という部分も皆さんに考えてもらうきっかけになればとも思います。とはいえポルシェがつくるクルマですから、タイカンはEVである以前に普段乗ること自体もスポーツドライビングも楽しめる良さがあります。色々な視点でEVについて興味を持ってもらえれば嬉しいですね」

◆想いは様々、参加者の声

今回参加した人たちはどのようなきっかけや想いがあったのだろうか。県内から訪れた女性は、「PEC東京ができたと知って、どんな施設なのか興味があった」という。広大な敷地に作られた本格的なコースやモジュールに感嘆の声を上げていた。インストラクターからはドライビングポジションについてアドバイスを受けたそうで、「知らず知らず癖になっている部分を教えてもらえてよかった」と話していた。

別の参加者は、以前自宅でポルシェを所有していたもののマニュアルの左ハンドルで、結局当時は全然乗りこなすことがなかったのだそうだ。「それが心残りでいつかまた乗りたいと思っていました。だから、今回のプログラムを知ってすぐに申し込んだんです。念願のポルシェでドライブすることができて嬉しい。また参加したいと思います」とのこと。

そのほか、「ポルシェの流線型でスタイリッシュなデザインが好きで、よくサイトを見ていた」という女性も。「クルマの運転はしているものの、サーキットで走ったことはなくポルシェに乗るのも初めて。どうしても一般のプログラムだと他の人に迷惑をかけてしまうのではないか、という心配がありましたが、女性だけということで安心して参加できた」と語る。

藤島知子氏は「いらっしゃる皆さんは、普段はポルシェではない車に乗っていて『ポルシェに乗ってみたい』という方もいれば、女性だけのプログラムで色々と試せるから不安なく参加できるという人もやはり多い。今日は『3年ほどペーパードライバーで久しぶりに車に乗りました』という方もいらっしゃいました。ここは必ず認定のインストラクターが同乗して、その人のスキルにあったアドバイスをしてくれるので、安心できますよね。何かそこで一つ目標が達成できたりすると自信につながって、もっと走りたいと思ってもらえたり笑顔になってもらえることが嬉しい」と話していた。

今後も女性限定プログラムは内容をブラッシュアップして続けていくと共に、ほかにも様々な機会を提供する予定だという。PEC東京の佐藤麻子マネージャーは「毎回、申し込んでくれる女性たちの探求心や充実した体験をしたいという想いをすごく感じるので、それにお応えできるようにこちらも頑張っていきたい。昨年は子供向けのテックプログラムも実施し、普段入れないワークショップの中でクルマの説明をしたり同乗試乗をしてもらいました。大人向けはないのか? という声もいただいており、検討しているところです」と話す。PEC東京は開かれた場所なので、ポルシェオーナーでなくても、レストランやカフェ、ショップを楽しみにふらりと訪れてほしいとのことだ。

ポルシェジャパンのフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフ代表取締役社長は、PEC東京1周年イベントで「ショールームでもなく、レース場でもない。ユーザーもファンもブランドを知りたい方も、ここに来て五感でポルシェを体験してもらいたい」と語っていた。今回、まさにその言葉や理念を体現していると実感した。今後どのようにPEC東京やプログラムが進化していくのかにも期待したい。

《吉田 瑶子》

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