電子機器製品などを製造するコックスが、バスの「置き去り事故」防止支援装置の試作品を製作し、実証実験を開始した。年内の正式販売開始を目指す。
幼稚園などの送迎バス車内に児童が置き去りにされ、熱中症によって死亡するという事故が後を絶たない。そこでコックスは、「バス置き去り防止支援装置」を開発した。
◆後方からのブザー音で、車内確認を促す
安全装置の仕組みは極めてシンプルだ。エンジンを切るとブザーから警告音が鳴り響き、車内後部に設置された「停止ボタン」を押すと音が止まる。運転手や添乗者に対し、警告音を通じて車内後方への移動を促すことで、必ず車内を確認するようになるというわけだ。
装置はブザー、無線、それらを制御するユニット、及びブザー停止ボタンから構成される。エンジンをかけるためにACC(アクセサリー電源)がオンになった時点で装置が起動、ACCがオフになった時にブザーが作動する。車内後部に位置する停止ボタンを押すことでブザーが停止する。
本製品の計画当初には、広範な安全確保という点から大規模なシステム構築を想定していたという。しかし、より早急に安全を確保することが重要であると考え、簡素ながらも安全を助ける製品の開発へとシフトした。
◆車内安全のダブルチェックを可能にするオプション製品
またオプションとして、5つまで増設可能な追加停止スイッチや、「設置用無線受信機」の追加が予定されている。
無線受信機はバスではなく職員室などの園側に設置が想定されるもので、ブザー停止ボタンが押されなかったり、一度車内のブザーが停止した後に再度ボタンが押された際に、受信機から警告を発するための装置だ。車内のブザーが機能していない場合や、万が一児童が車内に取り残された場合にも、緊急通報のための手段として活用できる。
車内への置き去りは、人命に関わる深刻な事故に繋がる。事故を未然に防ぐ仕組みを確立し、手順と共に普及させることが、悲劇を繰り返さないために必要だ。コックスは本装置を事故防止の一助としたいとしており、実際の装置稼働の様子を動画サイト上で公開している。