防錆施工の松竹梅…3つのメニューを提供する整備工場に聞く | CAR CARE PLUS

防錆施工の松竹梅…3つのメニューを提供する整備工場に聞く

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3種類の防錆メニューを用意(有限会社赤松自動車)
  • 3種類の防錆メニューを用意(有限会社赤松自動車)
  • 普段見ることのないクルマの下廻りは錆が進行しやすい
  • 山形県新庄市の有限会社赤松自動車(代表取締役:小関雅彦)
  • イチネンケミカルズのシャーシーブラック7
  • PPGのQP140
  • ダイノール社のデニトロール
  • デニトロール施工風景
  • 3種類の防錆メニューを用意(有限会社赤松自動車)

北海道や東北地方、北陸地方など、雪が多く降る地域の方が頭を抱えるのが「クルマの錆」である。これは、融雪剤の成分である塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどがクルマに付着することで錆が進行するからだ。

もちろん錆に対して全くの無策というわけではなく、これら地域では防錆施工を施す車両が殆どである。しかし、防錆処理にも様々な方法があり、どんな種類のものがどのような効果を生むのかまで理解しているユーザーは少ないのではないだろうか。

3種類の防錆メニューを用意

そんな中、豪雪地帯として知られる山形県大蔵村にある自動車整備工場・有限会社赤松自動車(代表取締役:小関雅彦)では、3種類の防錆メニューを用意し、お客様に合った内容の防錆を提案しているという。


一番簡易的な防錆メニューが「シャーシーブラック」と呼ばれるものだ。施工時にマスキングを行わないため比較的安価に施工が可能であるが、効果の保ちは半年程度で定期的な施工が必要となるという。赤松自動車で最初に取り入れた防錆メニューであり、現在ではこのメニューを積極的に提案することはなく、価格面などで要望があった場合に施工をしているという。


次に、中古車購入時や既に使用している車に勧める防錆メニューが「QP140」である。最大の特徴は錆の進行を止める効果があるため、これまで新車購入時またはしっかりと錆落としをしなければできなかった防錆対策ができるという点だ。また効果の保ちに関しても、一度施行した箇所に上塗りができるという強みがあり、車検毎にメンテナンスを行えばよいという。


最後に最も本格的な防錆メニューだが「デニトロール」と呼ばれるものを案内している。本製品の特長は“全体防錆”と“長期保持力”である。全体防錆とは、先の2つが車両の下廻りへの防錆作業に対して、本製品では下廻りだけでなく、構造上袋状になっており錆が発生しやすいボンネットやドアの内側まで防錆処理を行うことができる。また、デニトロールの防錆剤は塗膜がゴム状で柔らかく、それを200μの膜厚(他の2つは40μ程度)で施工することで、次のクルマに乗り換えるまで効果が持続するよう設計されているという。

様々なお客様のニーズにあわせて

同社が3つの防錆メニューを取り揃えるようになったのは、お客様の満足度からだという。元々の防錆メニュー「シャーシーブラック」では保ちが短く効果が限定的であったことから、効果の持続する防錆メニューを探し色々と試した結果、行き着いたのが「デニトロール」だ。長期間効果が持続する防錆メニューではあるが、新車時の施工に限定されることや、初期費用の高さという課題も併せ持っている。これらの課題を解決するために最近導入した防錆メニューが「QP-140」である。本製品は「デニトロール」ほどの持続性はないが、一度施工した部分への上塗りが可能なことから2~3年(車検)毎のメンテナンスで効果を得られること、リン酸亜鉛により錆の進行を抑えるため中古車や使用過程車においても施工が可能という特長を持っている。これによって、様々なお客様のニーズに応えられるようになったという。さらに小関社長は「自動車の長期保有化によりお客様のニーズは変わってくる。防錆だけでなくコーティングや車内クリーニングなど10年後も残るサービスを行っていきたい」と話す。


最後に誤解がないように言うが、どれが良いとか悪いとかいう話ではなく、重要なのはそれぞれの特性をユーザーにしっかりと説明し納得して選択いただくことである。

一台のクルマを長く乗り続ける人が増えてきている。また、マイカーリースや残価設定ローンのように、契約終了時に車両の状態を査定されるシステムも増えてきている。車両の価値が下がり後で後悔することのないように、整備工場からの情報提供が必要なのではないだろうか。

《カーケアプラス編集部@市川直哉》

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