「ネオクラオーナーズミーティング」(5月29日、水ヶ塚公園駐車場)で注目のカテゴリーのひとつになったのが「軽自動車」。従来はネオクラとしてはそれほどももてはやされてこなかったジャンルなのだが、近年クローズアップされることが多くなっている。
ひとつの理由は、'90年代前期までのバブル全盛期に今では考えられない仕様や装備を備えた軽自動車が数多く販売されていたことがあげられる。
そもそも、軽自動車が現在の規格である660cc仕様に変更されたのが1990年。それまでの550cc仕様からエンジン排気量をアップ、同時にボディサイズも全長が100mmプラスされて3300mmに拡大されたのだ。軽自動車は小さくて非力、装備もチープで庶民の足クルマという概念だったのだが、それが急速に払拭され高性能化や高級化が進むきっかけとなった時代でもあった。
その中でも当時の軽自動車の躍進ぶりを感じさせるのがオープンスポーツだろう。スズキからは『カプチーノ』、ホンダは『ビート』がその代表モデルとして今も人気が高い。いずれも2シーターでオープンモデルというスポーティで遊び心満点なクルマとなっていた。日常の足として地道に働いていたそれまでの軽自動車とはまったく異なる、華やかなクルマにバブル期のユーザーは飛びついたのだった。
カプチーノは軽自動車の自主規制値である64psのエンジン(前期=F6A、後期=K6A)を搭載し、スタイリングのみならず走りの良さもとびきりのオープンスポーツとして今も人気が高い。
一方のビートはNAのE07Aを搭載、5MTとの組み合わせによるスポーティな走りを披露してくれるクルマだった。軽オープンスポーツの系譜はビートの絶版以来、長年途絶えるが2015年に登場する『S660』に継承されているのはご存じの通りだろう。
このように、いち早く軽自動車のオープン・スポーツを市場で人気ジャンルへと押し上げたのはカプチーノ、ビートの両モデルと言っても過言ではないだろう。
現代のユーザーにとってはオープン・スポーツ以上の衝撃なのがマツダ『AZ-1』だろう。なんといっても軽自動車としてはあり得ないガルウイングを装備したクルマとして、多くのクルマ好きの記憶に残るクルマだ。'90年代のイケイケだった時代の軽自動車を象徴するモデルとして注目度満点の車両だ。ミッドシップレイアウトされたエンジンなどもあり、パッケージングはスーパーカーそのもの。それを比較的手軽な価格(当時は非常に高価とされていた)で買うことができる軽自動車で実現したのは、今となっては画期的だった。この手のパッケージを備えたクルマは今後の出現がほとんど期待できないこともあり、中古車市場でも高騰するモデルとなっている。ネオクラでしか味わえない車両の代表モデルだ。
そして軽自動車のネオクラとしては王道となるのがスズキの『アルトワークス』だ。軽自動車にハイパフォーマンスモデルを定着させた代表的モデルであるアルトワークス。しかしベースとなっているのは庶民の足として'70年代に登場した「アルト」だ。軽自動車を代表する車種である同車の派生モデルとして生まれたワークス、ハイパワーエンジンを備えて、軽自動車の軽量ボディとも相まってスパルタンな走りを身上とした。1988年登場の3代目、1994年登場の4代目で隆盛を極めることになる(その後2015年に復活)。タービン交換などアルトワークスベースのチューニング手法も数多く生まれ、スポーツモデルの主要ベース車として長年もてはやされている。
このように、現在の軽自動車にはない魅力を数多く備えたネオクラの軽自動車達。今では新車としては手に入らないパッケージングや本格スポーツモデルなど、個性豊かな車種が楽しめるのが大きな魅力だろう。既に高騰している車種もあるが、中には手ごろな価格で流通するちょっと昔の軽自動車もあるので、自分だけのネオクラを見つけ出して楽しむのも良いだろう。